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「通関士」は輸出・輸入手続に不可欠な存在です!

2021-01-15

「通関士」という資格をご存知でしょうか。
輸出や輸入経験のある方は、通関業者で働いている人、というような漠然としたイメージをお持ちかもしれません。
輸出者や輸入者に代理して通関手続等を行うことを業とする者のことを「通関業者」といいますが、通関業者が通関業務を行うためには、原則として、通関業務を行う営業所ごとに通関士を設置する必要があり(通関業法13条)、通関士が通関業者における通関業務の中核を担っております。

通関士となるためには、年に1回実施されている通関士試験という国家試験(貿易実務に関する唯一の国家試験です。)に合格する必要があります。もっとも、通関士として通関業務に従事する場合には、勤務先の通関業者の申請に基づいた財務大臣による確認を受ける必要があり、通関士試験に合格したとしても、このような確認を受けない場合には、通関業務に従事することはできません(通関業法31条)。そのため、通関士試験に合格をし、通関業務を行う場合には、必ずどこかの通関業者に所属する必要があります(通関士試験に合格しても、通関業務を行わない場合には、通関業者に所属する必要はありません。)。

以上のとおり、通関士は、輸出や輸入手続をはじめ、貿易の専門家と言えますので、輸出・輸入ビジネスの縁の下の力持ちのような存在として、今後も日本社会にとって不可欠な存在であり続け、経済のグローバル化が進む一方の現代社会においてその重要性は高まり続けることが予想されます。
なお、平成31年4月1日時点で、通関業者の営業所は全国に2092ヶ所、それらの営業所で通関業務に従事する通関士の人数は、8216人となっております(これまでの漠然としたイメージよりも人数が多いという印象をお持ちになる方が多いのではないでしょうか。)。

通関業者や通関士の業務内容、通関士試験の概要や試験問題等に関しては、今後も折に触れてご紹介していこうと思いますので、今後ともご覧いただけますと幸いです。

労働基準監督署に相談に行ったけれど・・・

2021-01-14

「労働基準監督署に相談に行ったけれど思うような対応をしてもらえなかった」、という話を聞くことがあります。
思うような対応をしてもらえない理由としては、主に、①相談時の客観的資料の不足、②他の相談との兼ね合い、③是正勧告の強制力の無さ、といった点が考えられます。

例えば、会社側にどれだけ掛け合っても残業代を支払ってもらえないので、労働基準監督署に相談し動いてもらえば、流石に会社側も対応を改めると思っていたが、実際はそうではなかった、というようなケースを想定してみましょう。
確かに労働基準監督署は、会社の労働基準法違反行為等を監督する機関ですが、相談に行けば必ず従業員側の立場ですぐに動いてくれるとは限りません。
というのも、そもそも労働基準監督署の人員は限られておりますので、他の相談との優先順位というものがあることは避けられません。
また、客観的な資料をある程度揃えて相談に行かないと、労働基準監督署としても動き出すことが難しいとの判断になることも十分あり得ます。労働基準監督署が、相談を受けた会社すべてを調査することは不可能ですので、ある程度客観的な資料をそろえて相談に行った方が、労働基準監督署が動き出しやすくなると言えるでしょう。
さらに、労働基準監督署の調査の結果残業代未払等の労働基準法違反が認められた場合、刑事事件化される場合もありますが、通常は、会社側に対して是正勧告をすることになります。もっとも、これは強制力のない行政指導の一種ですので、必ずしも会社が応じるとは限りません。

以上のとおり、労働基準監督署に相談に行ったとしても、思うような対応をしてもらえないケースは十分考えられますが、注意すべきは、労働基準監督署は、あくまでも第三者的な立場から客観的会社の労働基準法違反等を調査監督する機関であり、労働者の味方や代理人として動く機関ではないという点です。この点は勘違いされている方もいらっしゃいますが、相談に行く際は十分に注意すべきであり、相談者の代理人として会社側と交渉等を行う弁護士等とは大きく異なる点と言えます。

税関のイメージをお持ちですか?

2021-01-12

輸出入・貿易に関与している方は、税関がどのような機関であるかはよくご存じであるものと思いますが、一般の方にとっては、税関は馴染みがあるようで実際にはあまりよく知らない(空港で色々検査している人達、という程度の認識をお持ちの方もいるでしょうか。)機関であるものと思われます。
そこで、本日は、税関という機関を簡単にご紹介いたします。

税関とは、財務省管轄の役所であり、日本全国に9つ設けられております。
税関が設けられている場所は、北から、函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄です。
各税関がそれぞれの担当地域を管轄しておりますが、管轄内では更に支所や出張所が複数設けられております。
税関の主な業務内容は、
①日本と海外間の物の移動の管理、取締りを行うこと、②税金を適切に徴収すること、③貿易統計を整理・公表すること、といったことがあげられます。

業務内容①については、一般の方にもなじみがある業務内容かと思われます。
日本に輸入する貨物、日本から輸出する貨物について、それぞれ輸入手続、輸出手続を統括し、適正な輸出入が実施されるように管理します。密輸を防ぐこともこの業務の一環です。
業務内容②についても、イメージを持ちやすいのではないでしょうか。
例えば、日本に貨物を輸入する場合、当該輸入貨物には関税が課される場合があります。
この関税が輸入者から適切に納付されているかどうかを管理、監督することが税関の業務の一環となっております。
他方で、業務内容③については、意外に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
税関のHPをご覧いただけばわかりますが、各税関毎に貿易統計が公表されております。日本は貿易が非常に重要な国ですので、このような貿易統計は、非常に重要な資料と言えます。

現代社会において、国をまたいだヒト、モノ、カネの流れは拡大の一途ですので、今後税関の役割の重要性はますます高まっていくものと思われます。
税関もそのことを十分認識しているようで、2020年6月に財務省関税局が「スマート税関構想2020」という税関行政の中長期ビジョンを公表いたしました。
税関の現在のあり方や今後のビジョン等を理解できる資料ですので、税関への理解を深めるためにご一読いただいてもよいかもしれません。

当ブログでも、「スマート税関構想2020」の概要を折に触れてご紹介していきたいと思います。

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