Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category

特許品を輸入し、権利者の許可の下、日本で複製する場合のライセンス料と課税価格について

2022-09-12

本日は、特許品を輸入し、権利者の許可の下、日本で複製する場合のライセンス料と課税価格の考え方についてご紹介いたします。
これまで本コラムにおいて貨物を輸入した場合の課税価格の考え方についてご紹介してまいりました。
特許品を複製する場合のライセンス料と課税価格の関係性については、頻繁に問題となる重要な論点といえるところ、課税価格の計算を間違えると、事後的に加算税が課されるリスク等がありますので、十分注意する必要があります。

貨物の輸入をビジネスとして行っている方は是非ご参照いただけますと幸いです。

 

1 特許品を輸入し、権利者の許可の下、日本で複製する場合のライセンス料と課税価格について

「輸入貨物に係る」特許権等の使用に伴う対価であって、かつ「取引の状況その他の事情からみて当該輸入貨物の輸入取引をするため」に買手により支払われるロイヤルティやライセンス料は加算要素の一つとされておりますが、当該輸入貨物を本邦において複製する権利の使用に伴う対価は除かれております。
ここで、「輸入貨物を本邦において複製する権利」とは、輸入貨物に化体され、又は表現されている考案、創作等を本邦において複製する権利のことを言います。
例えば、特許発明である機械その他の物品が輸入された場合において、これと同じ物品を本邦において製造する権利のことを言い、ビデオテープ、録音テープを輸入し、日本において複製する場合も含まれます。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

無償提供物と課税価格について

2022-08-22

これまで、輸入貨物の課税価格の考え方について、何度かご紹介してまいりました。
課税価格をどのように考えるのか、加算要素とは何か、ということは貨物の輸入をビジネスとして行っている方には非常に重要な問題といえます。
本日は、加算要素に関する問題の内、特に重要であるにもかかわらずよく勘違いされている、無償提供物と課税価格の関係性についてご説明いたしますので、あわせてご参照いただけますと幸いです。

 

1 無償提供物と課税価格について

輸入貨物の課税価格は、「現実支払価格」にその含まれていない限度において「加算要素」の額を加えた価格によることを原則としており、買手が無償で又は値引きをして直接又は間接に提供した輸入貨物に組み込まれる材料、部分品等に要する費用は「加算要素」の一つです。
この買手が提供した物品の費用は、買手が自らこれを生産した場合、当該物品の生産費によることとされ、買手がこれを提供するために要した運送費用、保険料等も含まれます。
したがいまして、買手が、売手に対して提供する無償提供物は、課税価格の加算要素となります。
そして、買手が当該無償提供物を作成するために要した生産費(取引価格、関税、通関費用、工場までの運賃等、工場での加工賃等)及びこれを提供するために要した運賃等(無償提供物の本邦輸出港までの運賃、通関費用等を含む。)の総額を輸入貨物の課税価格に加算する必要があります。

 

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買手が輸出国で行った梱包の費用について

2022-08-08

貨物の輸入をビジネスとして行っている方の中には、当該貨物を輸出国側で梱包してもらった上で輸入するという運用をとっている方もいらっしゃるものと思います。
もっとも、このような梱包作業に何らかの費用が発生している場合には、当該費用を課税価格に加算する必要が生じる可能性があることを知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は、梱包費用と課税価格について、特に、買手が輸出国で行った梱包の費用についてご紹介いたします。
課税価格の考え方は、貨物の輸入をビジネスとして行っている方にとっては非常に重要な考え方となりますので、是非ご参照いただけますと幸いです。

 

1 買手が輸出国で行った梱包の費用について

輸入貨物の課税価格は、「現実支払価格」にはその含まれていない限度において「加算要素」の額を加えた価格によることを原則としており、関税定率法4条1項2号ハには加算要素の一つとして当該輸入貨物の包装に要する費用が規定されております。そして、この包装に要する費用には、材料費の他、人件費その他の費用も含まれることとなっております。
以上から、例えば、買手側が、自社の社員を輸出国側に派遣して、梱包作業を実施させた場合には、梱包用資材の費用、作業員の往復の旅費、これらの者のホテル代等の輸出国における滞在費及び日当又は賃金等を含む総額が、課税価格に加算すべき梱包費用となりますので、注意が必要です。

 

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保険料と課税価格について

2022-07-04

本日は保険料と関税価格についてご紹介いたします。
課税価格をどのように算定するか、課税価格にはどのような費用を加算する必要があるか、といったことは、輸入をビジネスとして行っている方にとっては、非常に重要な問題といえます。
特に保険料をどのように加算するかといった点は、運賃等と同様によく問題となる点といえます。
以下ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 保険料と課税価格について

輸入貨物の課税価格を計算する場合の「輸入港までの運賃等」に含まれる「保険料」とは、原則として、輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に関して実際に要した保険料のことを指します。
そのため、輸入貨物が輸入港に到着した後の保険料(例えば、国内運送に係る保険料など)は、輸入貨物の課税価格には算入されません。
ただし、これらの費用が現実支払価格又は輸入港までの保険料等に含まれており、その額が明らかではない場合には、貨物を輸入するにあたって支払った保険料の総額を輸入貨物の課税価格に加算する必要があります。

なお、「輸入港に到着するまでに要する保険料」とは、原則として、輸入貨物の輸入港までの運送に関して実際に要した保険料のことをいいます。
そのため、輸入貨物に保険が付されていない場合には、実際に支払われていない保険料を見積もって課税価格に含める必要まではありませんのでご注意ください。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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輸入者が自力で貨物を運送した場合の運賃と課税価格の考え方について

2022-05-30

先日のコラムにおいて、貨物の運賃と課税価格の関係性についてご紹介いたしました。
本日は、輸入者が外部の業者等を利用することなく、自力で貨物を運送した場合における運賃と課税価格の考え方をご紹介いたしますので、併せてご確認いただけますと幸いです。

 

1 輸入者が自力で貨物を運送した場合の運賃と課税価格の考え方について

例えば、輸出国において、貨物を輸出者から引き渡された後、輸入者が自ら用意したチャーター機で日本まで貨物を運搬した場合、輸入者は自ら運搬を手配した以上は、運賃として課税価格に加算する費用はない、と考え、実際に輸入申告価格に運賃相当額を加算していない方もいらっしゃいます。
しかし、このような考え方は誤りですので、れまで上記の考え方を取っていた場合には至急今後の取扱いを変更していただく必要がある点には十分ご注意ください。

すなわち、課税価格に運賃として加算すべき費用は、輸入貨物を輸入港までに運送するために実際に要した費用になります。
そのため上記の例では、利用したチャーター機が輸入港までの運行に実際に要した燃料費や乗組員がいる場合には、その乗組員にかかった費用等の総額を加算することが必要です。
なお、運賃等の額を算定する場合には、客観的なかつ数値化された資料に基づいて行い、当該資料がないときは定率法4条の2以下の規定により課税価格の決定することになります。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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運賃と課税価格について

2022-05-16

本日は、運賃と課税価格についてご紹介いたします。
些末な話だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、貨物の輸入をビジネスとして行っている方にとっては、貨物の運賃は必ず発生する費用であり、運賃と課税価格は密接な関係性をもつものです。
そのため、一回ごとの運賃はたいしたことなくても、回数を重ねると相当程度の金額となりますので、注意が必要です。
以下、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 運賃と課税価格について

まず、輸入貨物の課税価格は、現実支払価格にその含まれてない限度において運賃等の加算要素の額を加えた価格(取引価格)によることを原則としております。
そして、「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用」は加算要素の一つとされております。

ここで、「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、原則として、輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用のことを指します。
仮に、複数の輸入貨物に係る運賃が一括して支払われる場合には、原則として、個々の輸入貨物に関連する額を案分して当該輸入貨物の課税価格に算入することになるので、注意が必要です。
具体的には、運賃の案分は、運賃の算定基準(従量、容積等)によって行われることになります。

運賃と課税価格の考え方として、たまに問題となるのは、運送途上の日本の港で外国貿易船から他の外国貿易船に船移しがされた場合の課税価格への加算の考え方です。
この点については、課税価格に加算すべき運賃は、外国貿易船から船卸されるまでの運賃であり、外国貿易船から他の外国貿易船への船移しは、日本の港に船卸したわけではありませんので、特段考慮しないことになります(すなわち、最終的に日本の港で船卸されるまでの運賃が課税価格に加算されます。)。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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関税率表の解釈に関する通則1、2(a)、2(b)について

2022-03-07

本日は、関税率表の解釈に関する通則のうち、通則1、2(a)、及び2(b)をご紹介いたします。
関税率表の解釈に関する通則とは、関税率表の適用について統一的な運用を確保するための分類解釈の原則を示したものとなります。
貨物の輸入をビジネスとしていらっしゃる方には是非ともご理解いただきたい内容となりますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 通則1について

通則1は、部、類、節の表題は、単に参照上の便宜のために設けたものです。
この表の適用に当たっては、物品の所属は、項の規定及びこれに関係する部又は類の注の規定に従い、かつ、これらの項又は注に別段の規定がある場合を除くほか、通則2以下の原則に従って決定されることになります。

 

2 通則2(a)について

通則2(a)は、各項に記載するいずれかの物品には、未完成品の物品で、完成した物品としての重要な特性を提示の際に有する者を含むものとし、また、完成した物品(この2の原則により完成したものとみなす未完成品の物品を含む。)で、提示の際に組み立ててないもの及び分解しているものを含みます。

 

3 通則2(b)について

通則2(b)は、各項に記載するいずれかの材料又は物質には、当該材料又は物質に他の材料又は物質を混合し又は結合した物品を含むものとし、また、特定の材料又は物質から成る物品に葉、一部が当該材料又は物質から成る物品を含みます。

 

4 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

通告処分について

2022-02-28

先日のコラムにおいて、通告処分の概要をご紹介いたしました。
本日は、犯則事件の際に、検察官に告発される場合についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
通告処分は行政処分ですが、検察官に告発された場合には刑事事件となりますので、対応には十分注意する必要があります。

 

1 検察官への告発について

以下の犯則事件については、通告処分をすることなく、検察官にその処分を委ねることが適当であるため、直ちに告発するものとされています。

①申告納税方式が適用される貨物に係る関税に関する犯則事件(関税法144条)
税関職員は、関税法110条1項1号(関税を免れる等の罪)又は111条1項2号(許可を受けないで輸出入する等の罪)の罪にかかる犯則事件の調査により犯則があると思料するときは、直ちに検察官に告発しなければなりません(関税法144条)。

②販促嫌疑者の居所が明らかでないとき、上場が懲役の刑に処すべきものであるとき等(関税法145条、146条2項)。

③犯則者の居所が明らかでない等のため、通告することができないとき(関税法147条2項)

また、犯則者が通告処分を受けた場合に葉、20日以内に通告の旨を履行しないときは、税関長は、検察官に告発しなければなりません(関税法147条1項)。
ただし、上記の20日を経過したとしても、犯則者が、告発前に履行した場合には、告発は行われません。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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関税の納期限の延長について

2022-02-07

本日は、申告納税方式により輸入する貨物の関税の納期限の延長について、ご紹介いたします。

 

1 関税の納期限の延長について

申告納税方式が適用される貨物(ただし、特例申告貨物を除きます。以下同様です。)を輸入する者は、当該納税申告をした貨物の関税の納期限について延長を受けたい旨を税関長に申請し、かつ、その関税額に相当する担保を税関長に提供した場合には、3月以内に限り納期限の延長を受けることができます(関税法9条の2第1項、第2項)。

 

2 個別延長について

申告納税方式が適用される貨物の輸入者が、個々の輸入申告ごとに、納税申告をした関税の納期限について、税関長に対してその延長を受けたい旨の申請書を提出し、かつ、当該輸入申告書に記載した関税額の全部または一部に相当する担保を税関長に提供して延長が認められた場合には、当該提供した担保の額を超えない範囲内で、輸入の許可の日の翌日から3日以内に限り納期限が延長されます(関税法9条の2第1項)。

 

3 包括延長について

申告納税方式が適用される貨物の輸入者が、特定月の前月末日までに、当該特定月中に輸入しようとする貨物に課されるべき関税の納期限について、その延長を受けたい旨の申請書を輸入の予定地を所轄する税関長に提出し、かつ、特定月において輸入しようとする貨物に係る関税額の合計額に相当する額の担保を税関長に提供して延長が認められた場合には、特定月における関税額の類型学が当該提供した担保の額を超えない範囲内で、特定月の末日の翌日から3月以内に限り納期限が延長されます(関税法9条の2第2項)。

 

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納税義務者が自ら関税額を訂正する方法について

2022-01-24

貨物の輸入をビジネスとして行っている方の中には、貨物の輸入後に輸入申告価格が間違っていたことが判明したため、輸入申告価格を訂正し、納税した関税額を訂正したいと考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本日は、輸入申告価格に誤りがあった場合に、納税義務者が自ら関税額を訂正する方法についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 納税義務者が自ら関税額を訂正する方法

(1)修正申告について
納税申告をした者又は納税申告を必要とする貨物についてその輸入の時までに納税申告がないことにより税関長から決定を受けた者は、納税申告、税関長が行った構成又は決定に係る課税標準又は納付すべき関税額が、その本来納付すべき関税額よりも過少であった場合には、自発的にその関税額を増額変更する申告をすることができます(関税法7条の14)。
このような増額変更のための申告を修正申告といいます。

(2)更正の請求について
また、納税申告をした者は、納税申告をした関税額又はこれについて税関長が行った更正にかかる関税額が本来納付すべき関税額よりも過大であった場合には、その過大な税額について、税関長に対して減額すべきことを請求することができます(関税法7条の15第1項)。
この税関長に対して税額の減額を請求することを更正の請求といいます。
更正の請求は、修正申告とは異なり、あくまでも税額の減額を税関長に対して請求するという形式となっている点には注意が必要です。

 

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