貿易取引における商品の品質の規定方法

貿易取引により貨物を輸出するにあたって、貨物の品質を契約書上明確に規定する場合も多いものと思われます。
日本において日本の業者間で取引をする場合には、継続的な関係性を有していることから、特に商品の品質を契約書上明記していなくても、相互の信頼関係に基づき想定範囲内の品質の商品を引渡してくれることも多いのですが、海外の業者との取引においてこのようなことを行ってしまうと、想定もしていないような劣悪な品質の商品を送ってくるということも十分考えられるので注意が必要です。

そこで、本日は売買契約における品質決定の代表的な方法のうち、見本売買と標準品売買をご紹介いたします。

 

1 見本売買(Sale by Sample)

見本売買とは、売手又は買手が実際に取引したい商品の見本を示して品質を決定することを指します。
この時使用されている見本を品質見本(Quality Sample)といい、また、買手が売手に提出した品質見本に対して、売手にサンプルを作って提示するように求める場合もあります。
なお、この試作品の見本を反対見本といいます。

以上のとおり、見本売買においては、見本と実際の取引商品が品質、性能、形状について一致していることが重要とされます。
そのため、見本と取引商品が相違している場合は、売主はその責任を問われることになります。

 

2 標準品売買(Sale by Standard Quality)

農産物、水産物、畜産物等の品質は、自然条件等に左右されます。
そのため、上記1のような見本売買とすることは非常に難しいと言わざるを得ません。貿易取引において見本と現物との正確な一致を求めることは不可能とさえいえます。
そこで、標準品を示し、当該標準品と品質のずれを価格で調整する方法を使うことが考えられます。

国際上の標準品売買には、次の2つの品質条件があります。

(i)平均中等品質条件(FAQ : Fair Average Quality Terms)
農産物等、主に穀物類の売買に用いられる品質条件で、当該季節の収穫物の中等品質であることを条件として取引基準を決めます。

(ii)適商品質条件(GMQ : Good Merchantable Quality Terms)
見本取引が困難な場合に用いられる品質条件で、売買するのに足ると認められる品質、すなわち、市場性のある品質を保証する条件を指します。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

海外の業者との間で売買を行う場合には、売買契約を締結することが必須です。
海外の業者との間の売買契約に関しては、ウィーン売買条約等の様々な規制を踏まえた上で契約書を作成する必要がありますので、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

 

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