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輸入禁止の品目と輸入制限品目

2025-05-31

輸入ビジネスを行う上で、最も注意すべき法的リスクのひとつが「輸入してはならない品目」(禁制品)の存在です。

特に、税関での貨物の差止や行政処分を受ける原因として多いのが、「輸入禁止の品目」や「輸入制限品目」に該当する商品を知らずに輸入しようとしてしまうケースです。

この記事では、両者の法的な違いと、輸入事業者として知っておくべきポイントを解説します。

 

1 「輸入禁止の品目」とは?

輸入禁止品目とは、関税法および関係法令により、輸入が禁止されている貨物のことを指します。これらを輸入しようとすると、税関での即時差止の対象となり、刑事責任を問われることも十分あり得ます。

主な輸入禁止品目の例は、

①麻薬、大麻、覚醒剤などの薬物

②銃砲、爆発物、刀剣類(正当な許可のない場合)

③わいせつ物、児童ポルノ等

④偽造貨幣・有価証券

⑤病害虫が付着した植物類 等

これらは、国家の治安・秩序や国民の健康・安全にかかわるため、輸入が禁止されています。

 

2 「輸入制限品目」とは?

一方、輸入制限品目とは、「輸入そのものは禁止されていないが、一定の条件を満たさないと輸入できない品目」を指します。

関税法や外為法、各種個別法令(薬機法・電波法・食品衛生法など)により制限が課されています。

主な例としては、

①医薬品・医療機器(薬機法に基づく承認が必要)

②無線機器(電波法上の「技適マーク」必要)

③食品・飲料品(食品衛生法に基づく検査・届出が必要)

④化粧品や衛生用品(製造販売許可・成分規制等)

⑤一部の農産品・畜産品(動植物検疫が必要)

 

3 「知らなかった」では済まされないのが現実です

税関での差止や廃棄命令、追徴課税などの制裁は、輸入者の故意・過失を問わず課されます。「他の業者が輸入していたから大丈夫だと思った」、「海外では普通に販売されていた」、といった認識は通用せず、「自己責任」であることはくれぐれも注意が必要です。

 

4 対策としての事前確認と専門家の関与の重要性

輸入したい商品が「禁止」されているものか又は「制限」されているものか、そしてどのような許可・検査が必要なのかといったことを事前に調査することが重要です。

特にリスクの高い品目(医薬品・美容関連・電子機器など)については、法令に精通した弁護士や専門家の助言を受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

繰り返しになりますが、「輸入禁止品目」と「輸入制限品目」は混同されがちですが、実際は大きく異なります。知らずに扱えば、重大な法的責任を負う可能性もあるため、十分な注意と事前確認の徹底を心がけることが必要です。

 

輸入ビジネスを安心・安全に進めたい方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

スタートアップ時のご相談からトラブル発生時の対応まで、総合的にサポートいたします。

HSコードの誤記とその法的リスク

2025-05-26

輸入手続きにおいて重要な役割を果たすのが「HSコード(Harmonized System Code)」です。これは世界共通の品目分類コードで、関税率の決定や、統計処理の基礎にもなっています。このようなHSコードを誤って申告すると、いわゆるアンダーバリューの状況となり、脱税とみなされるリスクがあります。

今回は、輸入事業者が知っておくべきHSコードの仕組みと、誤記による法的リスクについてご紹介します。

 

1 HSコードとは?

HSコードは、国際的に統一された品目分類システムで、6桁の基本コードをもとに、各国が細分化したコード(日本では最大9桁)を使用しています。たとえば、類似の「革製のバッグ」であっても、素材や用途によって対応するコードが異なり、それに応じて関税率も変わるのが特徴です。

この違いが申告価格や通関手続きに大きく影響します。

 

2 なぜHSコードの誤記が問題になるのか?

HSコードの誤記には大きく分けて以下の2パターンがあります。

(1)意図しない誤記

輸入者が商品内容を正確に把握しておらず、誤って類似のコードを使用してしまうケースです。

この場合でも、結果として過少申告となれば追徴課税の対象となり、一定の場合には過少申告加算税(10%)等が課されます。

(2)意図的な低税率コードの使用

より低い関税率のコードを故意に利用して輸入申告を行い関税を逃れるケースは、いわゆる脱税に該当しますので、税関から「重加算税(35%)」や、関税法違反による刑事告発の対象とされる可能性があります。特に、継続的に同じ誤りをしている場合には厳しい対応が予想されるところです。

 

3 税関事後調査で発覚するリスク

税関は、輸入完了後一定期間が経ってから帳簿や申告内容を調査できる権限を有しています。

いわゆる税関事後調査では、HSコードの妥当性についても厳しく精査され、例えば、同業他社と異なるHSコードの利用が続いている場合などは疑念が強くなります。

 

4 対応策:正確な分類と相談体制の整備

HSコードは必ずしも自明ではなく、判断が難しいケースも多々あります。

そのため、以下のような対応が重要です。

①商品の仕様書・カタログ・写真などの証拠資料を整備する

②不明な場合は税関の「事前教示制度」を活用する(無料で分類の照会が可能)

③輸入量が大きい場合は、対応経験のある弁護士等に事前確認を依頼する

 

HSコードの誤記は「単なるミス」で済まされるとは限りません。

ときに悪質と判断され、事業継続に深刻な影響を及ぼすケースも十分あり得るとことです。輸入ビジネスの信頼性を高めるためにも、HSコードの適切な理解と、正確な申告体制の構築が不可欠です。

当事務所では、輸入手続きや税関対応に関する法務アドバイスを数多く取り扱っております。HSコードに関する不安や、事後調査の対応準備など、お気軽にご相談ください。

関税法と関税定率法の基礎知識

2025-05-21

輸入ビジネスを行う上で避けて通れないのが「関税」です。

関税とは、外国から商品を輸入する際に課される税金のことで、日本では主に関税法および関税定率法によって定められています。

これらの法律を正しく理解しておくことは、誤った申告によるトラブルを防ぐ上で非常に重要です。

本記事では、関税に関する基本的なルールと注意点をご案内します。

 

1 関税法とは?

「関税法」は、関税の納付義務や申告方法、不正輸入に対する罰則など、関税に関する手続きや制度全般を定めた法律です。

たとえば、輸入者は商品が到着した後、通関手続を行う際に、貨物の詳細(品目、数量、価格、原産地など)を税関に対して正確に申告する必要があります。

虚偽の申告をした場合、関税法違反となり、過少申告加算税(10%)、重加算税(35%)が課されるほか、悪質と判断されれば刑事罰(10年以下の懲役または1000万円以下の罰金等)に処されることもあります。

 

2 関税定率法とは?

「関税定率法」は、輸入品ごとの関税率や計算方法を定めた法律です。

輸入品には、品目ごとに「HSコード」が割り当てられており、それに基づいて関税率が決定されます。

たとえば、革製のバッグには10%以上の関税がかかる一方で、電化製品には関税がかからない場合もあります。また、特定の国との間でFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)が結ばれている場合、一定の条件を満たせば関税が軽減または免除されることもあります。この辺りの正確な知識を取得することは、輸入ビジネスを行う上では必須となります。

 

3 誤った輸入申告がもたらすリスク

関税の申告は非常に専門的であり、「インボイス価格」と実際の取引価格に差がある場合や、誤って関税率の低いHSコードを申告した場合、事実上の脱税と類似の状況となり、輸入事後調査において多額の追徴課税を受ける可能性があります。

特に、海外サプライヤーとの取引においては、現地価格がディスカウントされていたり、送料・保険料が価格に含まれていなかったりすることもあるため、輸入価格(CIF価格)を正確に把握することが重要です。

課税価格の考え方を正確に理解しておくことで誤った輸入申告を減らすことができます。

 

4 プロのサポートを活用するメリット

通関業者を通じて申告手続きを行うことが一般的ですが、最終的な責任は輸入者自身にあることは当然です。

関税法や関税定率法の内容を正確に理解し、輸入価格の根拠資料を都度保管する体制を整えておくことが、将来の税関事後調査への備えにもなります。

また、取引スキームの初期段階から弁護士などの専門家に相談することで、法的リスクを未然に防ぐことができます。

輸入に関する法務チェックや税関とのやり取りでお困りの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

輸入ビジネスを始める前に知っておくべき前提となる法律とは?

2025-05-16

個人事業主から中小企業まで、インターネットを活用して海外の商品を仕入れ、日本国内で販売する「輸入ビジネス」が広く行われています。

しかしながら、このビジネスには特有の法的リスクがあり、事前に正しい知識を持たずに参入すると、税関での差止め、追徴課税等の行政処分に加え、最悪の場合には、罰金、懲役といった刑事責任にまで発展するおそれがあります。

本日は、輸入ビジネスを始めるにあたり、最低限知っておくべき主要な法律とそのポイントをご紹介します。

 

1 関税法・関税定率法

まず基本となるのが、「関税法」と「関税定率法」です。

これらは、海外から商品を輸入する際の申告方法、税率の決まり方、不正な申告に対する罰則などの基礎的な内容を定めています。

例えば、貨物の内容や価格を故意に低く申告する「過少申告」(いわゆるアンダーバリュー)は、通告処分といった行政処分の対象となるだけでなく、悪質な場合は関税法違反として刑事告発されることもあります。

 

2 知的財産権関連法(商標法・著作権法など)

見落とされがちなのが、「商標権」「著作権」などの知的財産権です。

たとえ海外では合法に流通している商品であっても、日本国内に同一の商標登録がある場合、その商品を無断で輸入・販売することは権利侵害とされる可能性がありますので、適法に輸入することができる『並行輸入』の要件を満たす必要があります。

また、税関により差止めを受けることもあり得、権利者側から民事裁判を提起される訴訟リスクも生じます。

 

3 輸入品に関する個別法令(食品衛生法・薬機法・電波法など)

食料品や医薬部外品、電子機器などは、それぞれ個別の法令に基づいた基準が設けられています。たとえば、海外で販売されている化粧品をそのまま輸入・販売しようとしても、日本の薬機法上の「許可」がなければ違法となります。

 

4 トラブルを未然に防ぐために

輸入ビジネスにおけるトラブルの多くは、「知らなかった」「海外では大丈夫だった」等という根拠のない思い込みから始まります。税関対応や行政調査が発生した場合、その場で適切な法的対応が取れるかどうかで、事業継続に大きな影響が出ます。

当事務所では、輸入前の契約チェックから、税関対応、知財リスクの精査、事後調査対応まで、ワンストップでサポートしております。小さな疑問でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

税関事務管理人の選任について

2025-05-11

本日は、『税関事務管理人』についてご紹介いたします。

特に、海外企業が日本で商品を輸入・販売する際に直面する重要なポイントの一つですので、具体例を交えながらご紹介します。

 

1 税関事務管理人とは?

税関事務管理人とは、外国に所在する事業者が日本に貨物を輸入する際に、日本の税関に対して必要な手続きを行うために選任する日本国内の代理人のことを指します。

これは関税法に基づく制度であり、外国企業が日本に支店を持たずに直接貨物を輸入する場合、日本の税関とのやりとりをスムーズに進めるために必須の仕組みになります。

 

2 税関事務管理人の役割

税関事務管理人の主な役割は、以下のとおりです。

①輸入申告の代理

税関への輸入申告手続きを代理します。関税や消費税の納付手続に関する対応も含まれます。

②税関とのやりとり

税関からの問い合わせや追加書類の提出要求に対応します。輸入貨物が関税法や他の法律に適合しているかを確認する役割も担います。

③関税や消費税の納付代行

海外事業者に代わって関税や消費税を納付します。税関事務管理人が支払いを行い、後ほど海外事業者から費用を回収する(又はその逆)の流れとなります。

④輸入手続の支援

税関手続きを円滑に進め、貨物の輸入許可を取得するための手続面でのサポートを行います。

 

3 税関事務管理人が必要なケース

以下のような場合には、税関事務管理人の選任が必要となります。

①ケース1 アメリカのアパレルブランドが日本向けにEC販売を開始

アメリカに拠点を持つアパレルブランドが、アメリカの工場から日本に輸入して在庫をもち自社ECサイトを通じて日本の消費者に商品を販売していく場合、商品を日本に輸入するために日本において税関手続きを行う必要があります。

しかし、このアメリカのアパレルブランドは日本国内に法人がないため、税関事務管理人を通じて輸入申告を行い、関税・消費税の納付を代行してもらう必要があります。

②ケース2 中国の電子機器メーカーが日本の小売業者と直接取引

中国の電子機器メーカーが、中国から日本に商品を輸入した上で日本の家電量販店と直接取引を行うことを想定している場合、税関事務管理人の選任が求められます。メーカーが日本に法人を持っていない場合には、輸入に必要な税関手続きを管理人を通じて行うことが必要となります。

 

4 税関事務管理人を選任することをお忘れなく

税関事務管理人は、海外企業が日本へ商品を輸入する際には必要な存在であり、基本的には税関事務管理人を選任することなく日本に輸入することはできません。海外EC事業者やメーカーにとっては、日本市場での展開を成功させるために欠かせない存在ともいえます。

もし貴社が日本市場への進出を検討されている場合、税関事務管理人の選任は必須となります。適切な管理人を選び、スムーズな輸入通関を実現しましょう。

貨物を輸入する際のよくあるトラブル

2025-05-06

貨物を輸入する場合のよくあるトラブルですが、法律や規制、その他の理由により、予定通りに輸入できない場合があります。

この記事では、輸入が制限される具体的なケースをいくつか挙げ、それぞれ解説していくことにいたします。

 

1 輸入禁制品の場合

日本では法律によって輸入が禁止されている貨物があり、これには麻薬や銃火器、特定の動植物などが含まれます。

例えば、ある企業が海外から装飾用の植物を輸入しようとした際、その植物が外来種規制に該当し、輸入が禁止されていたケースがありました。

このような事態を避けるためには、

①貨物の輸入計画の段階で、商品が「関税法」「植物防疫法」「動物検疫法」などに抵触しないかを確認します。

②商品の輸入可否を事前に税関や専門機関に問い合わせることが重要です。

③万が一、輸入禁止品と判明した場合、契約内容を見直し、代替品への変更や契約解除を検討します。

 

2 書類不備による通関拒否

貨物を輸入する際には適切な書類の提出が求められますが、記載内容の不備や不足が原因で通関が拒否されることがあります。

例えば、輸入品の原産地証明書やインボイスに記載された情報が不完全だったため、輸入が遅延したケースはよくあります。

このような事態を避けるためには、

①必要な書類を輸入元と事前に確認し、不足がないよう準備します。

②書類不備が発覚した場合、速やかに正確な書類を輸入元から取得し、税関へ再提出します。

③書類作成時には、専門の通関士や弁護士等の専門家のアドバイスを受けることでミスを防ぎます。

 

3 貨物の損傷や品質問題

輸送中に貨物が損傷したり、輸入後に品質が基準に達していないことが発覚する場合があります。例えば、海外から輸入した食品が保存条件の不備により劣化していたケースが挙げられます。

このような事態を避けるためには

①輸送契約時に、保険を付保し、万が一の損害に備えます。

②商品到着時には、貨物の状態を確認し、損傷や問題があれば輸入元と交渉を行います。

③問題が解決しない場合、契約違反として損害賠償請求を検討します。

 

4 規制変更や制裁措置による輸入制限

国際情勢や規制の変更により、特定の国や地域からの輸入が禁止または制限されることがあります。例えば、ある国が経済制裁を受けたため、その国からの製品が輸入できなくなったケースがありました。

このような事態を避けるためには、

①国際情勢や貿易政策の動向を定期的に把握することが重要です。

②制裁対象となった場合は、第三国を経由した輸入や代替製品の検討を行います。

③規制変更に関する法律問題については、弁護士に相談することで適切な対応策を講じられます。

 

5 貨物を輸入する際には事前準備を丁寧に行いましょう

貨物輸入における問題は多岐にわたり、それぞれに応じた迅速かつ適切な対応が求められます。事前の調査や準備を徹底することが最善の予防策ですが、問題が発生した場合には、法律や契約の観点から対応策を検討する必要があります。

不測の事態に備えるためにも、少しでも不安な点がある場合には、通関士や弁護士等の専門家に事前に相談することをお勧めします。

輸入品の医療機器該当性の判断

2025-05-01

医療機器の輸入を検討する際、まず製品が薬機法に基づく「医療機器」に該当するかを正確に判断することが重要です。

この判断を誤ると、規制違反として厳しい行政指導や罰則を受ける可能性があります。

本記事では、医療機器への該当性を判断する際の具体的な注意点を、実例を交えて解説します。

 

1 使用目的の確認

製品が医療機器に該当するか否かは、使用目的が重要な判断基準となります。

薬機法では、「疾病の診断、治療、予防」または「身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする製品」が医療機器として扱われます。

例えば、スポーツジムで使用するある機器を輸入する場合、単なるリラクゼーション目的であれば医療機器に該当しない可能性があります。

しかし、「腰痛の治療」や「血行促進」などの治療効果を明示した場合は、医療機器と見なされる可能性が高いです。このため、製品カタログや説明書に記載されている使用目的を慎重に確認する必要があります。

 

2 類似製品の規制状況を調査

同じ機能を持つ製品が国内で医療機器として扱われている場合、該当製品も医療機器に該当する可能性が高まります。

例えば、「スマートウォッチ」のようなウェアラブルデバイスで、心拍数や血圧を測定する機能を備えた製品が医療機器に該当するケースがあります。

同様の機能を持つ製品が国内で医療機器として登録されている場合、その製品も同様に扱われる可能性があるため、類似製品の薬機法上の位置づけを調査することが重要です。

 

3 効能効果の表示内容について

輸入時の広告やパッケージデザインに記載される効能効果の内容が、医療機器に該当するかどうかの判断に影響を与えます。

特に、「治療」「予防」といった医療行為を連想させる表現は慎重に扱う必要があります。

例えば、特定の症状に効果があるとされる「空気清浄機」を輸入する場合、「アレルギー症状を軽減する」といった表現は医療機器に該当する可能性を高めます。一方、「空気をきれいに保つ」といった表現であれば、医療機器としての該当性は低くなることがあります。この違いに留意し、広告やラベルに使用される文言を慎重に選定しましょう。

 

4 事前の調査、検討が非常に重要です

医療機器への該当性判断は、薬機法の専門知識を必要とし、ケースによっては複雑な判断を求められます。

不明点がある場合は専門家に相談し、厚生労働省等の行政機関への問合せを含む適切な指導を受けることでリスクを最小限に抑えることが可能です。輸入を検討する際には、慎重な調査と準備を行うことを強くお勧めします。

医療機器を輸入する場合の注意点

2025-04-26

医療機器を輸入する際には、一般的な貨物輸入とは異なる規制が適用される可能性があります。

そのため、医療機器の輸入を計画する際には、まず対象となる貨物が医療機器に該当するかどうかを明確に判断することが重要です。

本日は、医療機器に該当する場合の規制内容と該当性判断のポイントについて解説します。

 

1 医療機器該当性について

日本国内では、医療機器の定義はいわゆる薬機法及び関連法令、通達に基づいて定められています。

具体的には、以下のような特徴を持つ製品が医療機器に該当します。

①人または動物の疾病の診断、治療、または予防に使用されることを目的としたもの

②身体の構造または機能に影響を及ぼすことを目的としたもの

③厚生労働省が定める基準に適合するもの

例えば、診断装置、手術器具、心臓ペースメーカー、コンタクトレンズなどが該当します。一方で、健康増進や美容を目的とする製品であっても、効能効果が明確に謳われている場合は、医療機器に該当する可能性があります。

そのため、輸入計画の段階で製品の使用目的や宣伝内容を慎重に確認する必要があります。

 

2 医療機器に該当する場合の規制

医療機器に該当すると判断された場合、輸入に際して以下の規制が適用されます:

①医療機器製造販売業許可の取得

医療機器を輸入するには、厚生労働省の認可を受けた「医療機器製造販売業許可」を取得する必要があります。これは、輸入業者が医療機器の品質と安全性を適切に管理する能力を持つことを示すものです。

②外国製造業者認定

製造元が海外にある場合、その製造業者が「外国製造業者認定」を取得していることが求められます。この認定により、製造業者の品質管理体制が確認されます。

③輸入届出と承認申請

輸入する製品ごとに、規制当局への届出や承認申請が必要です。

製品のリスク分類(クラスⅠ~Ⅳ)に応じて、必要な手続きや審査の厳しさが異なります。

④法定表示とラベルの要件

医療機器として販売するためには、薬機法に基づく適切な表示(名称、効能効果、使用上の注意など)が必要です。

 

3 医療機器への該当性を判断する際の注意点

医療機器に該当するか否かの判断は、輸入者が自ら行うのではなく、専門家や規制当局と連携して進めることが望ましいです。具体的には、以下の点に注意することが重要です。

①使用目的の確認

製品の説明書や仕様書に記載された使用目的が医療機器の定義に該当するかどうかを確認します。

②類似製品の規制状況

国内で同様の製品が医療機器として扱われているか調査します。

③厚生労働省や第三者機関への相談

曖昧な場合には、厚生労働省や第三者機関に問い合わせることで明確な判断を得ることが可能です。

輸入手続きにおける様々なトラブルにはご注意を

2025-04-21

輸入手続に関する業務は、複雑な通関手続や法規制の遵守が求められるため、トラブルが発生しやすい分野です。

貨物の輸入手続の遅延や差し止め、課税価格の計算のミス、輸入が禁止された品の混入など、どのようなケースであっても適切に対応することで被害を最小限に抑えることが可能です。

本記事では、輸入手続に関連する主なトラブルの具体例を交えつつ、対応方法についてご紹介していきます。

 

1 輸入手続における主なトラブルの例

輸入手続でよく見られるトラブルには、以下のようなものがあります。

(1)輸入通関手続が遅延する

輸入申告書の記載ミスや必要書類の不備、税関による検査対象となった場合、貨物の輸入通関が大幅に遅れることがあります。

この遅延は、取引先との信用問題や追加の保管費用の発生など、事業運営に大きな影響を与える可能性があります。

(2)関税の過大請求や不足納付が発覚する

輸入品のHSコードの誤りや特恵関税の適用漏れが原因で、関税を過大に支払ったり、不足納付が追徴されるケースがあります。

不足納付の場合、追徴課税やペナルティが課される可能性があり、迅速な対応が求められます。

(3)輸入禁制品の混入

知らない間に規制対象の商品や輸入禁止品が混入していた場合、税関で貨物が差し止められるだけでなく、場合によっては刑事責任を問われることもあります。

 

2 弁護士に相談することで得られるメリット

輸入手続でトラブルが発生した場合、弁護士に相談することで以下のようなメリットを得ることができます。

(1)法的なアドバイスを受けられる

税関手続や関税法、輸入規制など、専門的な知識が必要な問題について、適切な法的アドバイスを受けることができます。

これにより、手続きの修正や適切な対応が可能となります。

(2)交渉力の強化

取引先との交渉では、法律の専門家である弁護士が関与することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。

また、税関や通関業者とのやり取りの中で専門用語が多数使用されて困っている場合には弁護士が一緒に対応することで適切なやり取りを行うことができます。

(3) トラブルの迅速な解決

弁護士に依頼することで、トラブルの解決に向けた最善の方針を迅速に立案できます。

これにより、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。

(4) リスクの軽減

弁護士はトラブル対応だけでなく、将来のリスクを予防するための提案も行います。

契約書の作成や税関対応のチェック体制の構築など、長期的なリスク管理が可能です。

 

3 輸入手続においてトラブルが発生した場合には弁護士にご相談ください

輸入業務でトラブルが発生した場合、弁護士に相談することは迅速かつ適切な解決への第一歩です。税関対応や契約問題、さらには将来のリスク管理まで幅広くサポートを受けられるため、事業の安定運営に大きく貢献します。

トラブルが発生した際には、一人で抱え込まず、ぜひ輸入や輸出に関する手続等に詳しい弁護士にご相談ください。適切なサポートを得ることで、輸入業務における課題を乗り越え、ビジネスの成長を実現しましょう。

HSコードの間違いを発見した場合

2025-04-16

輸入事業者にとって、輸入貨物に正しいHSコードを付与することは、通関手続を適正に行う上で不可欠の要素となります。

しかしながら、ミスはつきものであり、時として誤ったHSコードを使用してしまうケースも少なくありません。

この記事では、万が一輸入申告時のHSコードが間違っていたことが判明した場合に取るべき対応について、ご説明いたします。

 

1 HSコードの重要性について

HSコード(Harmonized System Code)は、貨物の種類や特性を示す国際的な分類コードです。

各種の輸入規制や関税率等に大きな影響を与えます。

そして、誤ったHSコードを申告すると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

①関税の過大・過小納付

特に過小納付は追徴課税等のペナルティの対象となる可能性があります。

②貨物の差し止め

申告する貨物の内容と実際の貨物の内容が異なることになりますので、検査等で密輸の疑いがもたれるほか、貨物の輸入が差し止められることがあります。

 

2 HSコードが間違っていた場合の具体的な対応手順

HSコードの誤りが発覚した場合、速やかに以下の手順を実行することをお勧めします。

(1) 誤りの原因の特定

まず、どの時点で、どのような理由で誤ったHSコードが使用されたのかを明確にしましょう。誤りが発生した原因を特定することで、再発防止策も検討できます。

(2) 修正修正(又は更正の請求)

誤りが発覚した場合は、速やかに税関に対して申告内容の修正手続を行います。

例えば、修正申告の際には、以下の情報を準備する必要があります。

①修正が必要な貨物の詳細

②本来適用されるべきHSコード

③関連する書類(インボイス、船荷証券など)

④修正申告書

(3) 追加納税・還付申請

HSコードの訂正により関税額が増加する場合は、速やかに追加納税を行います。

他方で、過大納付が判明した場合は、還付申請を行うことが可能です。

還付申請には、税関が求める証拠書類の提出が必要となるため、日常的に関連書類の整理を怠らないようにしましょう。

(4) 専門家への相談

HSコードの解釈や適用に不明点がある場合は、通関業者や、輸入トラブルに詳しい弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

適切な指導を受けることで、複雑なケースにも正確に対応でき、安心して輸入事業を継続することができます。

 

3 予防策としての体制整備

誤ったHSコード使用を防ぐためには、輸入事業者としての社内体制の整備が重要です。

具体的には、以下の取り組みが有効です。

①最新のHSコードの確認

税関やWCO(世界税関機構)等の情報を随時チェックし、最新のHSコードに基づいた手続きが行えるようにする。

②社内研修の実施

社員がHSコードの重要性を理解し、適切に対応できるスキルを身につける。

③専門家との連携

定期的に専門家のアドバイスを受け、コンプライアンス体制を強化する。

 

4 輸入手続で不明点がある場合には、まずは専門家にご相談ください

輸入申告時に誤ったHSコードを使用してしまった場合でも、速やかに適切な対応を取ることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。

修正申告等の対応は慎重かつ迅速に行い、場合によっては専門家の助けを借りることを検討してください。また、再発防止策として社内体制を整えることで、長期的なリスク軽減を図ることができます。

輸入手続について不明点がある場合や法的なアドバイスが必要な際は、ぜひ輸入や輸出に詳しい弁護士等の専門家にご相談ください。

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