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輸入ビジネスと意匠権侵害

2025-02-25

輸入ビジネスでは、「意匠権(デザインの権利)」に対する認識不足から、知らずに法律違反に問われるケースが増えています。
意匠権は製品の形状やデザインを保護する権利であり、無断で輸入すると意匠権侵害とされ、貨物が差し止められることもあります。
本日は、輸入に関連する意匠権侵害の具体的な事例を3つ取り上げ、注意すべきポイントを解説いたします。

 

1 意匠権とは?

意匠権とは、物品のデザイン(形状、模様、色彩など)を保護する権利です。

特許庁に意匠登録されたデザインについては、意匠権者が独占的に使用することができます。

意匠権の侵害は、無断で類似したデザインの商品を製造・販売・輸入する行為を指します。輸入した商品が意匠権を侵害していると判断されれば、差し止めや損害賠償の対象となります。

 

2 意匠権侵害の事例

事例①:デザインが酷似した家具の輸入

Aさんは海外メーカーからおしゃれなデザインの椅子を輸入し、日本で販売しようとしました。しかし、その椅子のデザインは、日本国内で意匠登録されているブランドの製品に酷似していました。

輸入時に税関で差し止められ、Aさんは意匠権者から損害賠償を請求される事態となりました。

 

事例②:デザイン盗用のスマホケース

Bさんは海外で製造されたスマートフォンケースを輸入して販売しました。しかし、そのケースのデザインは、日本で登録された意匠権を持つ企業の製品とほぼ同じ形状でした。

Bさんは意匠権侵害を指摘され、販売停止とともに在庫の廃棄を余儀なくされました。

 

事例③:工業製品の部品デザイン

Cさんは海外から自動車部品を輸入しましたが、その部品のデザインが日本国内で意匠登録されているものでした。製品の機能には問題がないものの、デザイン部分が意匠権侵害と判断され、税関で輸入差し止めとなりました。

Cさんは意匠権者との交渉を余儀なくされ、ビジネスに大きな影響を受けました。

 

3 意匠権侵害を避けるための対策

輸入ビジネスで意匠権侵害を防ぐためには、以下のポイントに注意しましょう。

①デザインの事前調査を行う

輸入予定の商品デザインが、日本国内で意匠登録されていないかを確認しましょう。特許庁の「意匠検索システム(J-PlatPat)」を利用すれば無料で確認できます。

②仕入先や製造元の信頼性を確認する

海外の製造元が他者の意匠権を無視して製造している場合もあるため、意匠権の確認や正規品であるかを仕入先に確認しましょう。

③デザインの独自性を確保する

オリジナルのデザインを採用し、意匠権に抵触しないよう製品を設計・選定することが重要です。

④税関での輸入差し止めを意識する

日本の税関では、意匠権侵害品の輸入を厳しく監視しています。疑わしい商品は差し止められ、損害が発生する可能性があります。

⑤専門家のサポートを受ける

商品デザインが意匠権を侵害していないか不安な場合は、弁理士や弁護士といった専門家に相談し、適法性を確認することが確実です。

輸入ビジネスと著作権侵害

2025-02-20

輸入ビジネスを行う中で意図せず「著作権侵害」に該当してしまうケースが少なくありません。

著作権は音楽、映画、アニメ、書籍、デザインなど、幅広い創作物を保護する権利であり、無断で複製・販売・輸入することは違法行為とされます。

本実は著作権侵害の輸入に関する具体的な事例を3つ取り上げ、注意すべきポイントをご説明いたします。

 

1 著作権侵害とは?

著作権は、著作物(例:音楽、映像、デザイン、キャラクターなど)を創作した人に与えられる権利です。著作権者の許諾なく著作物を複製、頒布、輸入、販売することは著作権侵害に該当します。著作権は国際的な条約によって保護されており、海外で製造された商品でも日本国内で著作権を侵害する場合、輸入差し止めや賠償責任が生じます。

 

2 著作権侵害の事例

事例①:偽キャラクターグッズの輸入

Aさんは海外のオンラインサイトで人気アニメキャラクターが描かれたTシャツやキーホルダーを安価で仕入れました。しかし、それらの商品は著作権者の許諾を得ていない偽造品であることが税関検査で発覚しました。

Aさんは輸入差し止めを受け、さらに著作権者から賠償請求を受けることになりました。

 

事例②:海賊版DVD・CDの輸入

Bさんは海外で格安の映画DVDや音楽CDを仕入れ、日本で販売しようとしました。しかし、それらは正規の著作権者が許可していない「海賊版」であり、日本の税関で輸入差し止めとなりました。

Bさんは輸入した商品を没収された上、著作権法違反の責任を問われる事態となりました。

 

事例③:デザイン盗用の雑貨輸入

Cさんは海外の工場で、著名デザイナーの絵画やイラストを模倣した雑貨(バッグやポスター)を製造し輸入しました。しかし、そのデザインは著作権で保護されており、日本で販売することは侵害行為に該当しました。

Cさんは著作権者から法的措置を取られ、輸入した商品は廃棄、賠償金も請求される結果となりました。

 

3 著作権侵害を避けるための対策

著作権侵害を防ぐためには、以下のポイントを意識しましょう。

①商品に著作権が関わっていないか確認する

キャラクター、音楽、映画、デザインなど著作物に関連する商品は、必ず著作権者の許諾を確認する必要があります。

②製造元や仕入先の信頼性を確認する

海外の製造元や販売者が著作権を無視している可能性もあるため、ライセンスの有無や商品が正規品かどうかを確認しましょう。

③税関の検査を意識する

日本の税関は著作権侵害品の輸入を厳しく取り締まっています。偽造品や海賊版と判断されれば差し止めの対象となります。

④正規ライセンスを取得する

著作権者の許可を得てライセンス契約を結ぶことで、正規品として輸入・販売が可能になります。

⑤専門家に相談する

著作権に関するリスクがある商品を取り扱う場合、専門家に相談し、適法性を確認することが重要です。

 

4 著作権侵害にはご注意を

著作権は非常に広範な分野を対象とし、気づかないうちに侵害してしまうケースが少なくありません。

特にキャラクターグッズや映像・音楽メディア、デザイン雑貨などは著作権侵害が発生しやすい分野です。輸入ビジネスでは、必ず著作権の確認と対策を行いましょう。

輸入後に問題が発覚すれば、輸入差し止めや廃棄、賠償請求、さらには刑事罰に発展する可能性もあります。適切な調査と対策を通じて、安全にビジネスを展開していただければと思います。

輸入ビジネスと特許権侵害

2025-02-15

輸入ビジネスが拡大する中、特許権に対する認識不足から思わぬトラブルに巻き込まれるケースが増えています。特許権は発明を保護するための重要な権利であり、その侵害は「知らなかった」では済まされません。

本日は、特許権侵害に関する具体的な事例を3つご紹介しながら、輸入ビジネスで注意すべきポイントを解説します。

 

1 特許権とは?

特許権とは、新しい技術や発明を独占的に使用できる権利です。

権利者は、他者が特許を無断で製造、使用、販売、輸入することを禁じる力を持ちます。基本的に特許権は国ごとに設定されており、日本国内で登録された特許は、日本国内での無断使用を禁止します。

輸入ビジネスにおいて、特許権を侵害する商品を日本に持ち込むと、輸入差し止めや損害賠償の対象になるリスクがあります。

 

2 特許権侵害の事例

事例①:機械部品の輸入

Aさんは海外メーカーから最新の工業機械の部品を仕入れ、日本国内の企業に販売することを計画しました。しかし、その部品に使用されている技術は日本で特許登録されている企業の特許を侵害するものであることが判明しました。
輸入した貨物は税関で差し止められ、Aさんは特許権者から損害賠償を請求されることとなりました。

 

事例②:特許技術を用いた日用品

Bさんは海外で特許技術が用いられたキッチン用品を見つけ、その利便性から輸入販売を開始しました。しかし、そのキッチン用品の特許技術は、日本国内で他社が特許権を取得していました。
結果として、Bさんの販売行為は特許権侵害とされ、販売停止命令と損害賠償が求められました。

 

事例③:ソフトウェアの組み込まれた電子機器

Cさんは海外のメーカーから電子機器を輸入しましたが、その機器には特許技術を使用したソフトウェアが組み込まれていました。輸入後、特許権者から「特許権侵害」として警告を受け、Cさんは販売停止と共に多額の賠償金を支払うことになりました。

 

3 特許権侵害を避けるための対策

輸入ビジネスで特許権侵害を防ぐためには、以下のポイントを押さえましょう。

①製品の特許調査を行う
日本国内で関連する技術や商品が特許登録されていないか調査しましょう。特許庁の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を利用すると無料で確認できます。

②輸入予定の製品内容を詳しく確認する
製造元から特許関連の情報を入手し、特許技術が使用されている場合はライセンスの有無を確認しましょう。

③税関での輸入差し止めを意識する
日本の税関は、特許権侵害の疑いがある貨物を発見した場合、輸入差し止めの手続きを行います。貨物が止められた際の対処法や、特許権者との交渉の準備も考えておく必要があります。

④専門家に相談する
製品に特許技術が含まれるか不安な場合は、弁理士や弁護士など専門家に相談し、特許の確認を行いましょう。

 

4 特許権侵害には改めてご注意を

輸入ビジネスにおいて特許権侵害は、法的トラブルや大きな経済的損失を招く重大なリスクです。特許技術は日用品から工業製品、電子機器に至るまで多岐にわたり、気づかないうちに侵害してしまうケースが多くあります。

輸入前には必ず特許権の調査を行い、適切に対策を講じることが大切です。特許の確認や対策について不安な方は、ぜひ専門家のアドバイスを受け、安全にビジネスを進めてください。

輸入ビジネスと商標権侵害

2025-02-10

近年、海外から商品を輸入して販売するビジネスを行う方が増えております。

しかしながら、その中には意図せず法律違反に問われるケースが少なくありません。特に気をつけていただきたいのが「商標権の侵害」です。

本日は、商標権侵害の具体的な事例を3つご紹介しながら、皆様に注意していただきたいポイントを解説します。

 

1 商標権侵害とは?

商標権とは、特定の商品やサービスに使用される「名前」「ロゴ」「デザイン」などを保護する権利です。商標権は商標登録を行った権利者に独占的に認められ、その登録された範囲で無断使用を禁止する力を持ちます。

仮に、商標権者の許可なく、似た商標が付された商品を輸入・販売すると「商標権侵害」とされることがあります。

 

2 商標権侵害の事例

事例①:並行輸入品と偽物の誤認

Aさんは海外の現地市場で有名ブランドのバッグを安価に仕入れ、日本で販売することを計画しました。しかし、そのブランドのバッグには日本で別の会社が商標権を持っていることが判明しました。
結果的にAさんの輸入品は「正規品」とは言えず、商標権を侵害する商品として差し止められた上、損害賠償を請求されてしまいました。

 

事例②:OEM商品に含まれるロゴ

Bさんは海外工場でOEM(受託製造)を依頼し、無地の衣類を輸入しました。しかし、製造業者が意図せずブランドロゴを付けたまま製品を出荷してしまい、日本の税関で「商標権侵害」として止められました。
Bさんは出荷後に問題に気づいたものの、輸入時点で差し止められ、在庫の廃棄と経済的損失を余儀なくされました。

 

事例③:類似品の輸入

Cさんは海外メーカーの化粧品を輸入しようとしましたが、その商品名が日本国内で登録された有名ブランドの名前と酷似していました。
権利者から「類似商標」として警告を受け、Cさんは販売の中止と賠償に応じざるを得ませんでした。

 

3 商標権侵害のトラブルを避けるための対策

輸入ビジネスで商標権侵害を避けるためには、以下の点に気をつけましょう。

①事前調査を徹底する
輸入する商品の商標やブランド名が、日本で登録されていないかを確認しましょう。特許庁の「商標検索システム(J-PlatPat)」が役立ちます。

②製造元との契約内容を明確にする
OEM製品を製造する際には、ロゴやデザインの仕様に注意し、権利侵害がないかを明記した契約を結びましょう。

③税関でのチェックを意識する
日本の税関は輸入品の商標権侵害に厳しく対応しています。貨物が止められた場合の対処法も考えておくことが重要です。

 

4 改めて商標権侵害にはご注意を

商標権侵害は「うっかりでした」や「知らなかった」では済まされません。

権利侵害が認められた場合、差し止め、損害賠償、さらには刑事罰の対象となることもありえます。

海外からの商品輸入は大きなビジネスチャンスですが、商標権の確認を怠れば、経済的な損失や法的トラブルに発展するリスクがあります。

慎重な確認と専門家のアドバイスを受けることで、安全にビジネスを進めていただければと思います。

 

特許権侵害貨物の輸入にはご注意ください

2025-02-05

輸入ビジネスでは、特許権侵害のリスクを軽視することはできません。

特許権は、発明を保護する独占的権利であり、特許権を侵害する商品を輸入してしまうと、法的責任を問われる可能性があります。

そこで、本日は具体例を交えながら、特許権侵害のリスクと輸入業者が取るべき対策についてご説明します。

 

1 そもそも特許権とは何か

日本の特許法において、特許権は特許発明を独占的に実施する権利とされています(特許法第68条)。

特許発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作であり、高度なものと定義されています(特許法第2条第3項)。特許法第101条では、「特許発明の実施を目的とした商品を輸入する行為」が特許権侵害に該当する行為として規定されています。

 

2 特許権侵害の具体例

例えば、ある輸入業者が海外で人気の高い医療機器を現地メーカーから仕入れ、日本国内で販売しようとしました。その医療機器は海外市場では広く流通しており、特許権の問題について特に注意が払われていませんでした。

しかし、日本国内では、その医療機器の技術が特定の企業によって特許権として登録されており、その輸入が「特許発明の実施」に該当する可能性が指摘されました。

 

3 特許権侵害による法的リスク

①差止請求のリスク
特許権者が特許法第100条に基づき差止請求を行う可能性があります。この請求が認められると、輸入した商品の販売や流通が禁止され、在庫を抱えた状態で商品が動かせなくなる恐れがあります。

②損害賠償請求のリスク
特許権者が損害賠償請求を行うリスクがあります。特許発明の実施により権利者が被った損害について、輸入業者が賠償責任を負うことが求められる場合があります。

③税関での差止め
特許権者が税関に申し立てを行い、輸入時点で商品が差し止められる可能性があります。これにより、商品が国内に持ち込まれる前に問題が発覚し、業務上の遅延や損失が発生する可能性があります。

 

4 特許権侵害を防ぐための対策

①丁寧な事前調査の実施
輸入予定の商品が日本国内で特許権を侵害していないか事前に調査することが重要です。特許庁が提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を活用して特許権の登録状況を確認しましょう。

②仕入先への確認
海外の仕入先に対して特許権に関するライセンスの有無を確認し、必要に応じて契約書で輸入品の権利関係を明確にしておくことが推奨されます。

③弁護士への相談
特許法に詳しい弁護士に相談し、輸入予定の商品が特許権侵害に該当するかどうかを事前に確認することも重要です。

 

5 特許権侵害貨物の輸入にはくれぐれもご注意ください

特許権侵害は輸入ビジネスにおいて避けられない重大なリスクです。

海外で合法的に流通している商品であっても、日本国内では特許権の保護対象となる場合があります。輸入業者としては、法律を遵守しつつ、リスクを十分に評価し、安全なビジネス運営を目指すことが求められます。事前の調査と適切な対策を講じることで、特許権に関連するトラブルを未然に防ぐことが可能です。

意匠権侵害貨物の輸入

2025-01-31

輸入ビジネスを営む際、意匠権侵害のリスクは避けて通れない問題です。意

匠権は商品のデザインに関する独占的権利を保護するものであり、これを侵害する貨物を輸入してしまうと、差止請求や損害賠償請求といった法的トラブルに発展する可能性があります。

そこで、本日は、具体例を交えつつ、意匠権侵害のリスクをご説明いたします。

 

1 そもそも意匠権侵害とは?

日本の意匠法は、意匠(デザイン)を独占的に使用する権利を保護するための法律です。

意匠法第2条では「意匠」を「物品の形状、模様または色彩若しくはこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義しています。

さらに、意匠法第23条では、意匠権者が登録意匠を独占的に実施できる権利を有し、第37条には意匠権侵害に関する具体的な行為が規定されています。特に重要なポイントとして、「登録意匠と同一または類似の意匠を無断で使用する行為」が意匠権侵害に該当します。

 

2 具体例『海外製品の輸入と意匠権の問題』

例えば、ある輸入業者が海外の市場で人気のある家電製品を大量に仕入れ、日本で販売しようとしました。その家電製品は海外メーカーが独自にデザインしたものですが、日本では別の企業が同様のデザインを登録意匠として意匠権を取得していました。

この場合、輸入業者が販売を目的として商品を輸入した行為が、意匠法第37条に基づく「登録意匠と同一または類似の意匠を実施する行為」に該当し、次のような法的トラブルが生じる可能性があります:

①差止請求
意匠権者が輸入品の販売差止めを請求し、在庫が販売できなくなる恐れがあります。

②損害賠償請求
輸入品の販売により意匠権者に損害が生じた場合、その損害を賠償する責任を負う可能性があります。

③税関での差止め
税関での意匠権侵害申告により、輸入時点で商品が差し止められる場合もあります。

 

3 意匠権侵害を防ぐための対応策

輸入業者として意匠権侵害リスクを回避するためには、以下のポイントを押さえることが重要です:

①慎重な事前調査の実施
輸入予定の商品が日本国内で意匠権を侵害しないかどうか、特許庁の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を活用して事前に確認しましょう。

②デザインのライセンス確認
海外メーカーや仕入先に対し、輸入予定の商品のデザインが合法的に使用されているか確認し、必要であればライセンス契約書を入手することが必要です。

③税関への事前確認
輸入品が意匠権を侵害していないか税関に相談することで、輸入時点での差止めリスクを軽減できます。

④弁護士への相談
意匠権侵害は専門的な知識が求められるため、疑わしい場合は意匠法に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

⑤契約の整備
輸入元との契約書に、意匠権侵害が発覚した場合の責任分担や返品対応について明確に記載しておくことで、リスクを軽減できます。

 

4 意匠権侵害貨物にはご注意ください

意匠権侵害は、輸入ビジネスにおける深刻なリスクです。たとえ海外で合法的に購入した商品であっても、日本国内で意匠権を侵害する場合、輸入業者が法的責任を問われる可能性があります。

輸入業者は、事前調査と適切な契約管理を徹底し、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、このリスクを効果的に回避できます。法律を遵守し、安全なビジネス運営を実現しましょう。

著作権侵害貨物の輸入

2025-01-26

輸入ビジネスを行う際、著作権法侵害のリスクを軽視することはできません。

輸入する商品が知らないうちに著作権を侵害している場合、輸入した事業者が法的責任を問われることになります。

本日は、具体例を交えつつ、著作権侵害のリスクをご説明致します。

 

1 そもそも著作権侵害とは

日本の著作権法は、著作者の権利を保護するため、著作物の無断使用を禁止しています。

具体的には、著作権法第2条では「著作物」を、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と定義しています。

さらに、著作権法第113条第1項は、次のような場合に著作権侵害とみなすと規定しています。

①著作物を日本国内に無断で頒布する目的で輸入する行為

②著作物を著作権者の許諾なく公衆に提供する行為

これに基づき、輸入業者が販売や配布を目的として著作権を侵害する商品を輸入した場合、著作権法違反とされる可能性があります。

 

2 具体例『海外製品の輸入と著作権の問題』

例えば、ある事業者が海外の市場で、アニメのキャラクターがプリントされたTシャツを仕入れ、日本国内で販売することを計画しました。

この業者は、現地では広く流通しているため問題ないと考えていました。しかし、日本国内では、そのキャラクターの著作権が特定の企業に帰属しており、許可なくそのデザインを使用することが著作権侵害に該当しました。

このような場合、以下のような法的リスクが発生いたします。

①著作権者からの警告および差止請求
販売前であっても、著作権者から商品の輸入および販売の差止めを求められるケースがあります。

②損害賠償請求
著作権者が損害賠償を請求し、輸入業者が損害を賠償する義務を負う可能性があります。

③刑事罰
悪質な場合には、著作権法第119条に基づき、刑事罰(懲役や罰金)が科されることもあります。

 

3 リスク回避のためのポイント

著作権侵害リスクを防ぐために、以下の対策を講じることをお勧めします。

①丁寧な事前調査
輸入予定の商品が日本国内で著作権を侵害しないことを確認することが重要です。特にキャラクターやロゴ、イラストが含まれる商品は注意が必要です。

②正規のライセンスの確認
輸入元の業者や製造元が、正規のライセンスを取得しているかどうかを確認しましょう。必要であれば、ライセンス契約書を提示してもらうことを検討してください。

③弁護士への相談
著作権の問題は複雑で専門的です。輸入予定の商品について不安がある場合は、著作権に詳しい弁護士に相談することで、リスクを事前に評価できます。

④契約書の見直し
輸入業者として、取引先との契約書に「著作権侵害が判明した場合の責任分担」について明記しておくことも有効です。

 

4 著作権侵害貨物の輸入にはご注意ください

著作権侵害は、輸入ビジネスにおける重大なリスクです。

海外で合法的に取引された商品であっても、日本国内では著作権を侵害する場合があるため、慎重な対応が求められます。

輸入業者は、事前調査を徹底するとともに、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。法令を遵守し、安全なビジネス運営を目指しましょう。

商標権侵害貨物の輸入にはご注意ください

2025-01-21

輸入ビジネスを営む事業者は、商標権侵害のリスクに十分注意する必要があります。

実際、輸入された商品が知らず知らずのうちに日本国内の商標権を侵害しているケースが多々あります。

そこで本日は、具体例を交えつつ、輸入貨物の商標権侵害に関してご説明いたします。

 

1 商標権侵害とは

日本の商標法では、登録商標が他人の許諾なく使用されることを防ぐため、商標権が保護されています。

例えば、商標法第25条には、商標権者は指定商品または指定役務に関して登録商標を独占的に使用できる旨が規定されています。

また、商標法第37条では、商標権侵害行為の具体例が挙げられており、次のような行為が侵害に該当するとされています:

①登録商標と同一または類似の商標を、指定商品や指定役務に使用すること

②指定商品と類似の商品に登録商標を使用すること

事業者が意図せずに商標権を侵害するケースでは、これらの規定が問題となることが多いです。

 

2 具体例『海外製品の輸入と商標権の問題』

例えば、ある事業者が海外の有名ブランドの衣料品を海外の市場で購入し、日本に輸入したケースを考えます。

この業者は「現地で合法的に購入した商品だから問題ない」と考えていました。しかし、日本国内では、そのブランドの商標が別の日本企業によって登録されていました。

この場合、業者が輸入した商品が商標法第2条に基づく「商標の使用」に該当し、日本側の商標権を侵害する可能性があります。

結果として、以下のようなトラブルが生じるリスクがあります:

①商標権者からの差止請求
輸入品の販売や流通が差し止められ、業務に大きな支障が生じる可能性があります。

②損害賠償請求
商標権者が損害賠償を請求することも可能であり、高額な賠償金が発生するケースもあります。

③刑事罰
悪質な場合には、商標法第78条に基づき、刑事罰が科されることもあります。

 

3 リスク回避のためのポイント

輸入業者として商標権侵害を防ぐためには、次の対応策が有効です:

①丁寧な事前調査の実施
輸入予定の商品について、国内の商標権登録状況を調査しましょう。特許庁の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を活用することで、商標の登録状況を確認することができます。

②契約内容の確認
海外のサプライヤーから購入する際、当該商品が輸入先国で商標権侵害のリスクがないことを明確にする条項を契約に盛り込むことが重要です。

③弁護士等の専門家への相談
商標権の問題は専門的で複雑です。輸入を検討している商品がある場合は、事前に弁護士等の専門家にご相談いただき、リスク評価を行いましょう。

 

4 商標権侵害貨物の輸入にはご注意ください

商標権侵害は、輸入業者にとって見過ごせないリスクです。

合法的に購入した商品であっても、日本国内では商標権侵害に該当するケースがあります。事前の調査と適切な対応を通じて、トラブルを未然に防ぐことができます。

輸入ビジネスを行う上では、法律の専門家と連携しながら慎重に対応することを強くお勧めします。商標権を侵害することなく、円滑で安全なビジネス運営を目指しましょう。

該非判定の重要性

2025-01-16

本日は、外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)の概要と、「該非判定」の重要性について、経済安全保障の視点を交えてご説明いたします。

 

1 そもそも外為法とは?

外為法は、日本の国家安全保障や国際的な平和維持、経済的安定を目的として、外国為替や貿易を規制する法律です。特に、戦略物資や軍事転用が可能な技術・製品の輸出には厳しい管理が求められます。

外為法に基づく輸出管理制度では、輸出者に対して、自社の商品や技術が規制対象に該当するかどうかを確認する「該非判定」の義務が課されています。この判定を誤ると、重大な法的リスクが発生します。

 

2 該非判定とは?

該非判定とは、輸出しようとする製品や技術が、国際的な規制リストや日本独自の規制に該当するか否かを確認する手続きです。例えば、以下の2つの規制が代表的なものとなります。

①リスト規制

兵器転用可能な製品や技術を対象とした規制

②キャッチオール規制

特定の用途やユーザーに対する輸出規制

これらの判定が適切に行われないと、意図せず国家安全保障上のリスクを生じさせたり、国際社会からの信頼を損ねたりする可能性がありますので、慎重に行う必要があります。

 

3 具体的な事例

①事例1『技術輸出の誤判定による経済制裁』

ある企業が新型材料の輸出を行った際、該非判定を誤り、実際にはリスト規制に該当する製品を輸出していました。この製品は軍事用途への転用が可能であり、輸出先の国は国際的な制裁対象国でした。その結果、企業は罰則を受けたうえ、経済制裁違反として国際的な非難を浴び、取引先からの信用を失いました。

典型的なケースではありますが、該非判定が適切に行われないと、日本国内での法的責任だけでなく、そもそも将来的な事業継続にも大きな影響を及ぼすことがあります。

 

②事例2『技術提供の不適切な管理』

日本の企業が、海外の研究機関と共同研究を行う際、該非判定を怠り、規制対象の技術データを提供してしまいました。

その結果、当該技術が第三国の軍事計画に転用される可能性が浮上し、企業は日本政府から指導を受けました。

たまに勘違いをされている事業者の方がおりますが、外為法では物品の輸出だけでなく、技術情報の提供も規制対象ですので、技術に関しても慎重な確認が必要です。

 

4 該非判定を適切に行うためのポイント

①社内体制の整備
輸出管理に関する社内規程を整え、担当者の教育・訓練を徹底する必要があります。

②専門家の活用
該非判定は複雑なプロセスを伴うため、法律や技術の専門家によるサポートを活用することが有効です。

③最新の規制動向の把握
国際情勢や法改正に伴い規制内容は変化します。常に最新情報を入手し、適切に対応することが求められます。

 

5 適切な体制を整えることが重要です

外為法とそれを踏まえた該非判定は、企業が国際的な責任を果たし、事業を継続的に発展させるための重要な柱です。

経済安全保障の観点からも、該非判定を正確かつ慎重に行うことが求められます。このためには上記のとおり、輸出管理に関する社内体制の強化と最新情報の収集が不可欠です。

該非判定や外為法に関する疑問が少しでもある場合は、専門家にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

何か問題が発生してからでは手遅れとなる場合も多く、事前の対応が非常に重要です。

 

 

輸出事後調査の現状

2025-01-11

近年、経済安保の関係で外為法(外国為替及び外国貿易法)の重要性が高まる中で、輸出事後調査が注目されています。この調査は、過去に行われた輸出取引の適正性を確認し、法令違反のリスクを未然に防ぐための重要な手続きです。本記事では、輸出事後調査の概要とその意義についてご説明いたします。

 

1 輸出事後調査とは?

輸出事後調査とは、過去の輸出取引について、外為法や関連する輸出規制への適合性を検証するために行う内部的または外部的な調査です。特に以下の点を確認します:

①規制対象の確認(該非判定)
輸出した製品や技術が、輸出規制リストやキャッチオール規制に該当していないかを再確認します。

②輸出許可手続きの適正性
該当する場合、必要な輸出許可や申請が適切に行われていたかを確認します。

③輸出先や用途の妥当性
輸出先や最終用途が適正であり、軍事転用や不正利用のリスクがなかったかを調査します。

 

2 調査で確認対象となる主なポイント

輸出事後調査では、以下の項目が重点的に確認されます。

①該非判定の記録
輸出前に行われた該非判定が正確であり、その記録が適切に保存されているかを確認します。

②輸出先の調査
取引先が規制対象の国や人物ではないか、また再輸出のリスクがないかを確認します。

③輸出許可の取得状況
規制対象の場合、輸出許可が適切に取得されていたか、またその手続きが法的要件を満たしているかを検証します。

④関連文書の保存状況
輸出に関する契約書や申請書類、取引記録などが適切に保存されているかを確認します。

 

3 輸出事後調査の意義と専門家に依頼するメリット

輸出事後調査は、外為法や関連規制に基づいて輸出取引の適正性を確認し、法令違反や経済安全保障上のリスクを防ぐために欠かせない制度です。

輸出事後調査は単なる過去の問題点の洗い出しにとどまらず、企業のコンプライアンス体制の向上や信頼性の確保に直結しますので、輸出事後調査を機にしっかりとした輸出管理体制を維持することで、将来的に行政や取引先からの信頼を得るだけでなく、事業の安定と成長を支えることにもつながります。

輸出事後調査は、外為法をはじめとした様々な法規制を踏まえて行われることになりますので、専門的な知識が必要となるため、なかなか初回の調査の際にスムーズに対応することは難しい場合が多いのが実情です。

適切な対応や確認を行うために、日常的に専門家のアドバイスを受けることが有益です。

輸出管理や外為法の遵守に不安を感じている企業の方は、ぜひ弁護士などの専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

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