近年、海外のECサイトから商品を仕入れ、日本国内で販売する「越境EC」や「転売ビジネス」が急速に拡大しています。しかし、手軽に始められる一方で、関税法などのルールを正しく理解していないために、知らず知らずのうちに違法行為に手を染めてしまっているケースが後を絶ちません。
特に多いのが、「個人輸入」と「小口輸入(商用)」の混同、そして「アンダーバリュー(低価申告)」の問題です。
このページの目次
1 「個人使用」か「商売目的」かで税率が変わる
海外から貨物を輸入する場合、原則として関税と輸入消費税がかかります。
しかし、個人が「自分自身で使用する目的」で輸入する場合(個人輸入)は、商品価格の60%に対して課税されるという特例(減免措置)があります。
一方、他人に販売する目的で輸入する場合(小口輸入・商用輸入)は、この「60%特例」は適用されず、商品価格の100%(送料・保険料含む)に対して課税されます。
よくある間違いは、「販売目的で仕入れているのに、個人使用のフリをして輸入する」ことです。これは明確な脱税行為であり、税関もEC事業者に対する監視を強化しています。宛先が個人名であっても、数量や頻度、過去の履歴から商用であることは容易に見抜かれます。
2 アンダーバリュー(低価申告)の誘惑とリスク
海外のセラー(販売者)によっては、気を利かせて(あるいは悪意を持って)、インボイスの価格を実際よりも安く記載したり、「GIFT(贈り物)」として発送したりすることがあります。これをそのまま「ラッキー」と思って輸入申告してしまうと、「アンダーバリュー(不当な低価申告)」という犯罪になります。
「海外の業者が勝手にやったことだ」という言い訳は通用しません。
輸入者(あなた)には、正しい価格で申告する義務があります。もしインボイスの価格が実際の決済額より低いことに気づいたら、速やかに通関業者に正しい決済画面のキャプチャ等を提出し、修正申告をする必要があります。
3 アカウント凍結や刑事罰のリスクも
悪質な脱税行為が発覚した場合、以下のようなペナルティが課されます。
①重加算税の賦課
②輸入許可の取消し
③関税法違反としての刑事告発
また、ECプラットフォーム(Amazon、楽天等)側でもコンプライアンス順守が厳格化しており、税関トラブルを起こした事業者はアカウント停止処分を受けるリスクが高まっています。
「みんなやっているから大丈夫」は通用しません。ビジネスとして継続的に輸入を行うのであれば、適正な輸入申告体制を構築することが、将来の利益を守るための投資となります。税関対応に不安があるEC事業者様は、一度専門家のリーガルチェックを受けることをお勧めします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。

