輸入申告を行った後、「あの価格は正しかったのか?」、「ロイヤルティや無償供与を入れるべきだったのでは?」と不安になることもあるかと思います。
こうしたケースでは、修正申告(いわゆる自主的な申告訂正)を検討することになりますが、すべき場合と慎重に検討すべき場合があるため注意が必要です。
今回は、修正申告の判断基準と、実務上の対応ポイントについて解説いたします。
このページの目次
1 修正申告とは?
輸入申告後に申告内容に誤りがあったことが判明した場合、輸入者はその旨を税関に申告し、修正することができるとされています。
特に、課税価格や数量に誤りがあった場合に用いられる制度で、税関から指摘を受ける前に自ら訂正することで、加算税が軽減または免除される可能性があります。
2 修正申告をすべき典型的なケース
以下のような場合には、速やかに修正申告を行うことが推奨されます。
①課税価格にロイヤルティ、無償供与などの加算要素を含めていなかった
②インボイス価格の誤記や入力ミスがあった
③関税評価の基礎となる契約が事後的に変更された(値引き取消等)
④HSコードに誤りがあり、関税率が過小適用されていた
これらは明確なミスであり、事実関係が整理できる場合が多く、自主的な修正が有効です。
3 修正申告を慎重に検討すべきケース
一方で、以下のようなケースでは、即座に修正申告せず、専門的判断を要する場合があります。
①制度解釈に争いがある場合(例:ロイヤルティの加算該当性)
②FTA適用の有無について、原産地判断が微妙な場合
③税関との見解の相違があるまま調査中である
④間違いがあることは理解できるが、資料がそろっておらずどのような間違いか正確には把握できていない
4 修正申告の実務手続き
修正申告を行う際は、以下のような手順で対応します。
①関係書類(インボイス、契約書、支払記録等)を再確認
②修正内容を記載した申告書(修正申告書)を作成
③税関に提出し、追納すべき税額を計算・納付
④税関からの照会に備えて、説明文書を添付することが望ましい
修正申告は、制度上認められた重要なリスク回避手段です。
ただし、「すべき場合」と「慎重に検討すべき場合」があるため、内容の法的評価と実務的影響を見極めた上での判断が不可欠です。
当事務所では、修正申告の要否判断、税関との交渉支援、説明書作成、税務リスクの分析までトータルで対応しております。お困りの際は、ぜひご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。