知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。
昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。
このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。
このページの目次
1 令和5年における知的財産権を侵害する輸入差止物品の品目
税関の公表資料によれば、
①輸入差止件数は、衣類が1万401件、次いで財布やハンドバッグなどのバッグ類が9028件、靴類が4448件、携帯電話及び付属品が3373件でした。
②輸入差止点数は、煙草及び喫煙用具が31万7764点、次いで医薬品が11万8190点、衣類が8万4403点、イヤホンなどの電気製品が6万8976点でした。
件数としては、近年通りの傾向であり、衣類やバッグ類、靴類が多くの割合を占めております。他方で、点数としては、煙草及び喫煙用具が圧倒的に多く、これはこれまでの年度にはなかったことでした。点数については、1度の輸入で大量に輸入しようとする事業者がいると大きく割合が変わってきますので、件数とは異なり毎年点数ベースでの品目の割合は異なってくる印象です(なお、令和4年度は、医薬品や電気製品の方が煙草及び喫煙用具よりも点数ベースで多かったです。)。
2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください
知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。
物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。
また、意図的ではなかったとしても、意図的ではなかったということを証明することは難しい場合が多く、意図的だったか、それとも単なる不注意だったのか、ということは言葉で言うほど判別は簡単ではありません。
一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。
当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。