外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。
また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。
本日は外為法の規制対象外となる無償貨物に関してご紹介いたします。
1 無償貨物
法令上、無償で輸出すべきものとして無償で輸入した貨物であって、経済産業大臣が告示で定める一定のもの(輸出令第4条第1項第二号ホ)については、外為法48条1項の規定を適用しないものとされています。
具体的には、本邦から輸出された貨物であって、本邦において修理された後再輸出されるものが規定されております(無償告示72第一号1)。
例えば、最初の輸出時においてリスト規制の許可を取得した貨物について、修理のために日本に輸入し、修理後返送する(性能などが向上しないことが前提)場合等です。この場合、修理には一対一の交換を含む他、修理自体が有償であっても問題ありません(貨物自体が無償であることは前提)。そのため、多額の修理費用が発生する場合であっても無償貨物として取り扱われることになります。
無償貨物の例外的な取り扱いに関してはこの他にもありますので、法令、告示を慎重に確認することが必要です。
2 外為法の規制には十分ご注意ください
貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。
日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。
日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。
知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰(行政制裁)等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。