税関事後調査における弁護士の役割

税関事後調査が入ることに決まった際、「自社だけで対応すべきか」、「専門家に依頼するべきか」と悩む企業も多いことでしょう。

実際、輸入申告内容に関する指摘や追徴課税が発生する可能性がある調査では、対応経験のある弁護士の役割が非常に重要です。

今回は、税関調査における弁護士の具体的な役割や使い分け、専門家を活用するメリットについて解説します。

 

1 調査対応における3つのフェーズ

税関事後調査は、大まかに次のようなフェーズに分かれます。

①通知~事前準備(書類整理・体制構築)

②調査当日の対応(税関職員との質疑応答・資料提出)

③調査後の対応(指摘事項への反論・修正申告・不服申立て)

これら各段階において、弁護士が果たす役割は少しずつ異なります。

 

2 弁護士の役割

弁護士は主に、法的な観点からのリスク分析と交渉・争訟対応を担います。

①関税評価やHSコード等に関する法解釈の検討

②原産地規則の解釈、FTA・EPAの適用判断

③税関職員との交渉・説明(補足意見書の作成を含む)

④修正申告内容の精査とリスクコントロール

⑤不服申立(審査請求・訴訟)の代理人業務

税関対応において、弁護士が法的な正当性を根拠づけて反論を行うことで、追徴リスクの軽減や、調査の早期収束に貢献できます。

 

3 税理士の役割

一方、税理士は会計・帳簿・税務処理の専門家として以下のような場面で活躍します。

①仕訳帳・会計データと申告内容の整合性確認

②移転価格・ロイヤルティ等の価格構成の確認

③調査資料の整理・提出対応

④消費税との関係整理(仕入税額控除との整合性等)

特に、輸入価格に関連する社内原価や関係会社取引の説明において、税理士の支援は非常に有効です。

 

4 弁護士と税理士の連携による相乗効果

税関調査の現場では、会計・税務・法務が密接に絡み合います。

たとえば、ある契約が「ロイヤルティに該当するかどうか」という論点では、契約解釈(弁護士)と金額算定(税理士)の両方の視点が必要です。

このため、弁護士と税理士が連携して対応することで、以下のようなメリットがあります。

①税関への説得力ある説明資料の作成

②調査資料の精度向上と漏れの防止

③修正申告の範囲・方法の最適化

④将来的なリスクへの法務・税務的アドバイス

 

5 専門家を活用すべきタイミング

次のようなケースでは、早期に専門家の関与を検討することが望ましいです。

①調査通知を初めて受けたが、対応経験がない

②関税評価やHSコードの根拠に不安がある

③FTA利用に関して複雑な条件を抱えている

④税関と見解が対立している、または指摘内容が納得できない

⑤修正申告や不服申立ての可能性がある

調査の後半になるほど対応が限定されるため、初期段階での関与がもっとも有効です。

 

税関事後調査は、単なる書類確認にとどまらず、輸入ビジネス全体の信頼性が問われる重要な局面です。

弁護士・税理士といった専門家のサポートを受けることで、調査対応の質を高め、不要な追徴課税やリスク拡大を防ぐことが可能となります。

当事務所では、税関対応に特化した弁護士と連携する税理士とともに、輸入事業者の皆さまを全面的にサポートしております。お気軽にご相談ください。

 

 

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