輸入通関手続においては、スムーズに終わる場合もあれば、「検査のために時間がかかる」との連絡を通関業者から受けることがあります。
予定していた納品や販売に支障が出る場合もあり、事業者にとっては頭の痛い問題です。
本日は、税関検査に時間がかかる主な理由と、輸入者として取りうる対策について解説します。
このページの目次
1 税関検査には「書類審査」と「貨物検査」がある
税関での検査は、大きく以下の2段階に分かれます。
①書類審査:インボイス、パッキングリスト、輸入申告書などの内容を確認する
②貨物検査:必要に応じて、実際にコンテナや商品を開封して中身を確認する
貨物検査が実施される場合、検査予約・開披・検査立ち会い・結果待ち等といった工程が発生し、数日から1週間以上かかることもあります。
2 税関検査が実施される典型的な理由
①ランダム抽出
一定割合でランダムに選ばれるもので、問題がなくても検査対象となることがあります。
②商品・価格に不審点がある
インボイス記載内容が曖昧、同種商品の平均価格より極端に安い、商品名が抽象的(例:”accessory”)など
③規制品目や過去にトラブルのあった品目
薬機法や電波法などの規制対象品目は、内容確認のため優先的に検査されやすくなります。
④過去に誤申告や違反歴がある業者
一度指摘を受けた輸入者や貨物は、リスク要注意先としてマークされる可能性があり、以後の検査頻度が上がることがあります。
3 検査が長引いた場合の輸入者の対応
①通関業者との密な連絡
進捗状況を逐一把握し、必要書類があれば速やかに提出
②納期への影響の社内共有・得意先への説明
遅延が予想される場合、あらかじめ取引先に説明して信頼関係を保つ
③検査立会や資料提出の準備
税関から問い合わせがあった際に即応できる体制を整えておく
税関検査の遅延は、輸入ビジネスにとって避けがたいリスクのひとつです。
しかし、正確な申告とリスク管理の体制を整えておくことで、検査の発生頻度を減らし、対応の効率化を図ることが可能です。
また、トラブルが発生した場合にはその都度適切な対応を取る必要がありますので、何かトラブルが発生した場合には速やかに対応を取ることができるように万一の際のシュミレーションを日常的に行うことも重要です。
当事務所では、輸入ビジネスにおける通関リスクや税関対応に関するアドバイスを行っております。事前の備えやトラブル発生時の対応について、お気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。