輸入ビジネスを行う上で、最も注意すべき法的リスクのひとつが「輸入してはならない品目」(禁制品)の存在です。
特に、税関での貨物の差止や行政処分を受ける原因として多いのが、「輸入禁止の品目」や「輸入制限品目」に該当する商品を知らずに輸入しようとしてしまうケースです。
この記事では、両者の法的な違いと、輸入事業者として知っておくべきポイントを解説します。
このページの目次
1 「輸入禁止の品目」とは?
輸入禁止品目とは、関税法および関係法令により、輸入が禁止されている貨物のことを指します。これらを輸入しようとすると、税関での即時差止の対象となり、刑事責任を問われることも十分あり得ます。
主な輸入禁止品目の例は、
①麻薬、大麻、覚醒剤などの薬物
②銃砲、爆発物、刀剣類(正当な許可のない場合)
③わいせつ物、児童ポルノ等
④偽造貨幣・有価証券
⑤病害虫が付着した植物類 等
これらは、国家の治安・秩序や国民の健康・安全にかかわるため、輸入が禁止されています。
2 「輸入制限品目」とは?
一方、輸入制限品目とは、「輸入そのものは禁止されていないが、一定の条件を満たさないと輸入できない品目」を指します。
関税法や外為法、各種個別法令(薬機法・電波法・食品衛生法など)により制限が課されています。
主な例としては、
①医薬品・医療機器(薬機法に基づく承認が必要)
②無線機器(電波法上の「技適マーク」必要)
③食品・飲料品(食品衛生法に基づく検査・届出が必要)
④化粧品や衛生用品(製造販売許可・成分規制等)
⑤一部の農産品・畜産品(動植物検疫が必要)
3 「知らなかった」では済まされないのが現実です
税関での差止や廃棄命令、追徴課税などの制裁は、輸入者の故意・過失を問わず課されます。「他の業者が輸入していたから大丈夫だと思った」、「海外では普通に販売されていた」、といった認識は通用せず、「自己責任」であることはくれぐれも注意が必要です。
4 対策としての事前確認と専門家の関与の重要性
輸入したい商品が「禁止」されているものか又は「制限」されているものか、そしてどのような許可・検査が必要なのかといったことを事前に調査することが重要です。
特にリスクの高い品目(医薬品・美容関連・電子機器など)については、法令に精通した弁護士や専門家の助言を受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
繰り返しになりますが、「輸入禁止品目」と「輸入制限品目」は混同されがちですが、実際は大きく異なります。知らずに扱えば、重大な法的責任を負う可能性もあるため、十分な注意と事前確認の徹底を心がけることが必要です。
輸入ビジネスを安心・安全に進めたい方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
スタートアップ時のご相談からトラブル発生時の対応まで、総合的にサポートいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。