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知的財産に関するトラブルにおいて加害者側となってしまった場合

2022-11-24

1 知的財産に関するトラブルにおいて加害者側となってしまった場合

インターネット上における知的財産権侵害は非常に大きな問題となっております。

例えば、漫画やアニメ、映画、音楽などの違法ダウンロード、違法アップロードに関する問題等がその代表的な問題です。

これらの行為は権利者側が正当に得ることができるはずの報酬を得られなくなり、ひいては生計を立てることができなくなる可能性すら大いにあり得る行為ですので、絶対に行ってはいけません。

ただ、既にそのような行為を行ってしまい、発信者情報開示請求等が行われている場合にはどのように対応をすべきでしょうか。

まずは、営利目的で著作物を違法にアップロードしていた場合ですが、これは刑事事件になる可能性も非常に高く、速やかに開示に同意をして、権利者側に謝罪をすべきケースと言えます。

他者の著作物で自分が利益を得ていた以上は、泥棒等と変わらない行為をしていたといえ、非常に悪質であると言わざるを得ません。

ただ、権利者側とどのように交渉をすればよいか分からない場合が多いと思いますので、速やかにインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただき、対応を進める必要があります。

他方で、営利目的とは一切関係ない、ある種軽い気持ちでインターネット上の著作物を違法にダウンロードしてしまった場合については、基本的には、開示に同意をした上で、権利者側に真摯に謝罪をし、しかるべき示談金を支払って解決するという方針が望ましいと言えます。

開示請求に対して開示を拒否する旨の回答を行ったとしても、プロバイダ側の判断で、権利侵害が明白であるとして個人情報の開示がなされてしまう場合も相当程度ありますので、能動的に対応を進めるという意味でも、単に開示を拒否するという対応はお勧めいたしません。

2 知的財産権侵害に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、インターネットの普及により、インターネット上では、様々な違法アップロードされた著作物が存在します。

安易な気持ちで違法にアップロードされた著作物をダウンロードしてしまう気持ちも理解はできますが、やはり権利者側の生計の糧を奪っている行為となりますので、厳に慎んでいただく必要があります。

また、違法ダウンロードといっても重い場合には刑事罰もあり得ますので、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。 どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

名誉毀損に関するトラブルにおいて加害者側となってしまった場合

2022-11-17

1 名誉毀損に関するトラブルにおいて加害者側となってしまった場合

匿名掲示板やSNS等において、知人や有名人等に対して誹謗中傷やそれに類する投稿を行ったとして名誉毀損による発信者情報開示請求が届なされた場合、加害者側はどのように対応する必要があるでしょうか。

そもそも、アクセスプロバイダからは、発信者情報開示請求に伴う意見照会書として、個人情報の開示に同意をするかどうかの回答が求められます。

開示に同意をして示談交渉を行い、示談で解決することを希望される場合には、回答書を送る前に一度弁護士にご相談いただき、回答書を送る時点から弁護士が代理人に就いて対応を行うかどうかを一度ご検討ください。

弁護士が代理人に就いて示談交渉を行った方がスムーズに進む場合が多いとは思われますが、場合によっては弁護士が前面に出ない方がスムーズに進む場合もございます。

この点は一度慎重にご検討いただくことをお勧めいたします。

他方で、開示に同意をしないと選択される場合にも、開示に同意をしなかったとして、その後どのような手続がなされるのか、開示に同意をせずにそのまま済むものなのか、また、そもそも開示に同意をしないメリット、デメリットはどのようなものなのか、といった点を事前に検討いただいた上で最終的な判断を行うことをお勧めいたします。

もっとも、ご自身でここまで検討することはなかなか難しいというのが実情だと思いますので、まずは、プロバイダから届いた書類一式を持参して、インターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことからスタートすることになろうかと思います。

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブル、企業への誹謗中傷など、様々な場面でのインターネットトラブルが日々増加しております。

意図的なものから自分としては違法行為を行う意図はなかったものの、結果として違法行為に該当する行為を行ってしまっているものまで、様々な態様が存在し、その内容も非常に過激なものから、違法性があるかどうか微妙なものまで幅広くあります。

インターネットトラブルに関しては、被害者の立場、加害者の立場のいずれの立場においても、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。 どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

加害者側の立場となってしまった場合

2022-11-10

1 加害者側の対応について

「発信者情報開示請求が行われた場合に、加害者側はどのように対応をしていけば良いか」というご質問を非常に多くいただきますが、ケースバイケースに対応を検討せざるを得ず、一概にこのように対応をすればよいということはなかなか言えません。

開示請求がなされた理由がどのような権利侵害を理由とするものか、すなわち名誉権侵害なのか、肖像権侵害なのか、著作権などの知的財産権侵害を原因とするものなのかによって対応は異なります。

また、開示請求をしてきている権利者側との関係性や権利者側の属性によっても対応は大きく異なります。

更には、当然のことながら権利侵害の態様によっても大きく異なります。

以上は、対応を検討する上での代表的な考慮要素ではありますが、以上のほかにも細かな状況を慎重に検討してくことが必要ですので、簡単に対応方針を決めることは非常に難しいと言わざるを得ません。

したがいまして、加害者側の立場となってしまった場合には、開示請求に関する書類一式を持参し、インターネットトラブルに詳しい弁護士に速やかにご相談いただくことをお勧めいたします。

2 複数の弁護士に相談いただくことについて

「発信者情報開示請求が届いた場合にどのように対応をすべきかについて、複数の弁護士に相談をしても大丈夫ですか」というご相談をいただくこともございます。

弁護士によっては嫌がる方もいらっしゃるとは思いますが、個人的な考えとしては複数の弁護士にご相談いただくことは全く問題ありませんし、複数の見解を確認することでご自身の理解も深まるのではないかと思います。

何より、弁護士との関係性は長期的なものとなりがちですので、ご自身と相性が良さそうな弁護士に最終的なご依頼をしていただくことが望ましいと思います。

3 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブル、企業への誹謗中傷など、様々な場面でのインターネットトラブルが増加しております。

意図的なものから自分としては違法行為を行う意図はなかったものの、結果として違法行為に該当する行為を行ってしまっているものまで、様々な態様が存在します。

インターネットトラブルに関しては、被害者の立場、加害者の立場のいずれの立場においても、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。

どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

動画配信における表現の判断基準

2022-11-03

新聞記事等の紙媒体における表現について名誉毀損に該当するかどうかの判断基準においては、一般読者の普通の注意と読み方を基準にするとの考え方が最高裁判所によって示されております。

これに対して、テレビ番組等の動画配信における表現について名誉毀損に該当するかどうかの判断金についても、最高裁はその判断基準を示しております。

そこで、本日は、最判平成15年10月16日(民集57・9・1075)について、ご紹介いたします。

1 最判平成15年10月16日の判示内容

最高裁は、以下のとおり判示しました。

「新聞記事等の報道の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについては,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきものであり(新聞報道に関する最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照),【要旨1】テレビジョン放送をされた報道番組の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについても,同様に,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断すべきである。

 そして,【要旨2】テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された事実がどのようなものであるかという点についても,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断するのが相当である。テレビジョン放送をされる報道番組においては,新聞記事等の場合とは異なり,視聴者は,音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされるのであり,録画等の特別の方法を講じない限り,提供された情報の意味内容を十分に検討したり,再確認したりすることができないものであることからすると,当該報道番組により摘示された事実がどのようなものであるかという点については,当該報道番組の全体的な構成,これに登場した者の発言の内容や,画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報の内容を重視すべきことはもとより,映像の内容,効果音,ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して,判断すべきである。」

要するに、新聞記事等の紙媒体における表現に対する判断基準と平仄をあわせる形での判断基準が示されており、妥当な考え方だといえます。

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブル、企業への誹謗中傷など、様々な場面でのインターネットトラブルが増加の一途をたどっております(誹謗中傷等以外にも、知的財産権侵害に関わるトラブルも増加している印象です。)。

また、意図的なものから自分としては違法行為を行う意図はなかったものの、結果として違法行為に該当する行為を行ってしまっているものまで、様々な態様が存在します。

インターネットトラブルに関しては、被害者の立場、加害者の立場のいずれの立場においても、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。

どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

事実摘示型と意見論評型の判断基準

2022-10-27

名誉毀損に該当するかどうかの判断基準においては、その表現が事実を摘示するものなのか、それとも意見論評の類のものなのかによって、用いられる判断基準が異なります。

そこで、本日は、ある表現について、事実を摘示するものなのか、それとも意見論評の類のものなのかに関する判断基準を示した、最判平成10年1月30日(集民187・1)について、本日はご紹介いたします。

1 最判平成10年1月30日の判示内容

最高裁は、ある表現について、事実を摘示するものなのか、それとも意見論評の類のものなのかに関して、以下のとおり判示しました。

「名誉毀損の成否が問題となっている部分において表現に推論の形式が採られている場合であっても、当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、当該部分の前後の文脈や記事の公表当時に右読者が有していた知識ないし経験等も考慮すると、証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を右推論の結果として主張するものと理解されるときには、同部分は、事実を摘示するものと見るのが相当である。」

ある表現について、事実を摘示するものなのか、それとも意見論評の類のものなのか、いずれであるかによって、裁判での争い方は大きく異なるものであるところ、その判断基準を明確に判断した判例として非常に有名なものです。

ただし、「証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項」に該当するかどうかそのもので、争いとなる場合も多いので、判断基準としては明確になりましたが、実際の争いの場では、依然として一義的に区分けがされるとは言い切れない状態というの実情です。

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブル、企業への誹謗中傷など、様々な場面でのインターネットトラブルが増加の一途をたどっております。

また、意図的なものから自分としては違法行為を行う意図はなかったものの、結果として違法行為に該当する行為を行ってしまっているものまで、様々な態様が存在します。

インターネットトラブルに関しては、被害者の立場、加害者の立場のいずれの立場においても、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。

どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

私生活上の平穏について

2022-10-20

私生活上の平穏を人格的利益として法的保護の対象である旨を判示した判例である、最判平成元年12月21日(民集43・12・2252)について、本日はご紹介いたします。

1 最判平成元年12月21日の判示内容

最高裁は、以下のとおり判示しました。

「被上告人らの中には、電話、葉書、スピーカーによる嫌がらせや非難攻撃を繰り返し受け、家族に対してまで非難の宣伝をされた者があり、その余の者も右事実を知り同様の攻撃等を受けるのではないかと落ち着かない気持ちで毎日を送ったことは前示のとおりである。被上告人らの社会的地位及び当時の状況等にかんがみると、現実に右攻撃等を受けた被上告人らの精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度内にあるということはできず、その余の被上告人らの精神的苦痛も、その性質及び程度において、右攻撃等を受けた被上告人らのそれと実質的な差異はないというべきところ、原審が適法に確定したところによると、被上告人らの氏名・住所・電話番号等を個別的に記載した本件ビラを大量に配布すれば右のような事態が発生することを上告人において予見していたか又は予見しなかったことに過失がある、というのであるから、被上告人らは上告人の本件配布行為に起因して私生活の平穏などの人格的利益を違法に侵害されたものというべきであり、上告人はこれにつき不法行為責任を免れないといわざるを得ない。」

不法行為に該当するかどうかの判断基準である受忍限度という概念を用いて、一定の場合には、私生活上の平穏が人格的利益として法的に保護されるものであることを明確に判断した判例として非常に有名なものです。

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブル、企業への誹謗中傷など、様々な場面でのインターネットトラブルが増加しております。

意図的なものから自分としては違法行為を行う意図はなかったものの、結果として違法行為に該当する行為を行ってしまっているものまで、様々な態様が存在します。

インターネットトラブルに関しては、被害者の立場、加害者の立場のいずれの立場においても、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。

どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

法人に対する名誉毀損

2022-10-13

インターネットトラブルの代表的なものとして名誉毀損に関するトラブルがあります。

ここで、法人に対する名誉毀損に関して、損害賠償請求をどのように捉えるべきかが問題となった事案がありました。

その判断を示した判例である、最判昭和39年1月28日(民集18・1・136)について、本日はご紹介いたします。

1 最判昭和39年1月28日の判示内容

法人に対する名誉棄損における損害賠償請求について、最高裁は、以下のとおり判示しました。

「民法七一〇条は、財産以外の損害に対しても、其賠償を為すことを要すと規定するだけで、その損害の内容を限定してはいない。すなわち、その文面は判示のようにいわゆる慰藉料を支払うことによつて、和らげられる精神上の苦痛だけを意味するものとは受けとり得ず、むしろすべての無形の損害を意味するものと読みとるべきである。従つて右法条を根拠として判示のように無形の損害即精神上の苦痛と解し、延いて法人には精神がないから、無形の損害はあり得ず、有形の損害すなわち財産上の損害に対する賠償以外に法人の名誉侵害の場合において民法七二三条による特別な方法が認められている外、何等の救済手段も認められていないものと論詰するのは全くの謬見だと云わなければならない。

 思うに、民法上のいわゆる損害とは、一口に云えば、侵害行為がなかつたならば惹起しなかつたであろう状態(原状)を(a)とし、侵害行為によつて惹起されているところの現実の状態(現状)を(b)としa-b=xそのxを金銭で評価したものが損害である。そのうち、数理的に算定できるものが、有形の損害すなわち財産上の損害であり、その然らざるものが無形の損害である。しかしその無形の損害と雖も法律の上では金銭評価の途が全くとざされているわけのものではない。侵害行為の程度、加害者、被害者の年令資産その社会的環境等各般の情況を斟酌して右金銭の評価は可能である。その顕著な事例は判示にいうところの精神上の苦痛を和らげるであろうところの慰藉料支払の場合である。しかし、無形の損害に対する賠償はその場合以外にないものと考うべきではない。そもそも、民事責任の眼目とするところは損害の填補である。すなわち前段で示したa-b=xの方式におけるxを金銭でカヴアーするのが、損害賠償のねらいなのである。かく観ずるならば、被害者が自然人であろうと、いわゆる無形の損害が精神上の苦痛であろうと、何んであろうとかかわりないわけであり、判示のような法人の名誉権に対する侵害の場合たると否とを問うところではないのである。尤も法人の名誉侵害の場合には民法七二三条により特別の手段が講じられている。しかし、それは被害者救済の一応の手段であり、それが、損害填補のすべてではないのである。このことは民法七二三条の文理解釈からも容易に推論し得るところである。そこで、判示にいわゆる慰藉料の支払をもつて、和らげられるという無形の損害以外に、いつたい、どのような無形の損害があるかという難問に逢着するのであるが、それはあくまで純法律的観念であつて、前示のように金銭評価が可能であり、しかもその評価だけの金銭を支払うことが社会観念上至当と認められるところの損害の意味に帰するのである。それは恰も民法七〇九条の解釈に当つて侵害の対象となるものは有名権利でなくとも、侵害されることが社会通念上違法と認められる利益であれば足るという考え方と志向を同じうするものである。」

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブルにとどまらず企業への誹謗中傷も多くなっております。

企業としては、なかなか消費者側に対して訴えを提起することは難しい側面もありますが、企業としての評判や従業員を守るためにはしかるべき法的な対応を取らざるを得ない場合もございます。

どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

名誉棄損の判断基準

2022-10-06

インターネットトラブルの代表的なものとして名誉毀損に関するトラブルがあります。

では、名誉毀損とはどのように判断されるものなのでしょうか。

その判断方法を示した判例である、最判昭和31年7月20日(民集10・8・1059)について、本日はご紹介いたします。

1 最判昭和31年7月20日の判示内容

名誉毀損に該当するかどうかの判断基準として、最高裁は、「名誉を毀損するとは、人の社会的評価を傷つけることに外ならない。それ故、所論新聞記事がたとえ精読すれば別個の意味に解されないことはないとしても、いやしくも一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容に従う場合、その記事が事実に反し名誉を毀損するものと認められる以上、これをもつて名誉毀損の記事と目すべきことは当然である。」と判示しました。

名誉毀損に関するトラブルにおいては、投稿者側の反論として、自分としてはそのような意味で投稿したわけではない、良く読めば自分の真意が分かるはずであり、名誉毀損には該当しない等と主張される場合があります。

しかしながら、人の名誉が客観的に毀損されたかどうかの判断においては、上記のとおり、あくまでも一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断されることとなります。

投稿者がどのような意図であったかや、良く読めばどのように理解することができるといったことは関係ありません。

投稿者側の主張もあながちわからなくはないのですが、現在の判例を踏まえますと、裁判においては容れられることのない主張となりますので十分注意する必要があります。

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

上記のとおり、名誉毀損とは、あくまでも当該表現内容について、一般読者の普通の注意と読み方を基準に判断されることとなりますので、自身では名誉毀損をしている意図がない場合でも名誉毀損に該当してしまう場合が相当程度ございます。

名誉棄損は刑事事件化する可能性もある問題となりますので、安易に大事にはならないだろうと考えてしまうことは非常に危険であると言わざるを得ません。

特に上記のとおり、自分では名誉毀損を行ったという意識がない方は、実際には非常にリスクのある状況にあると言えます。

被害者の立場、加害者の立場を問わず、名誉棄損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合には、速やかにインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

正当な主張と名誉棄損との境について

2022-09-29

名誉棄損等で問題となっている事件の加害者となった方からのご相談をお受けしていると、軽い気持ちで知人や有名人の誹謗中傷をしてしまっている方もいる一方で、「良くない」ことをした個人や事業者に対しての正当な評価と他の方への注意喚起のために投稿している方も非常に多くいらっしゃいます。

ジャーナリストやマスコミといった業種の方々同じような感覚で、社会的に「悪い」ものを摘発して何が問題となるのか、違法性阻却事由が認められるはずであると強く信じていらっしゃる方も多くいらっしゃいます。

法的な観点からアドバイスできることとしては、問題がある方や会社があったとしても、基本的にはインターネットやSNS等で公衆に対して自身で発信をすることはやめた方がよいといえます。

もちろん、事実の公共性、目的の公益性、真実性の証明といったことができる場合には違法性阻却事由に該当することになりますし、仮に事実の主張ではなく論評の場合には、論評の域を逸脱していなければ法的には問題ないこととなります。

しかしながら、これらの立証は、現実問題としては非常に難しいというのが実情ですし、仮に立証できるとしても多くの手間がかかってしまい、逆に自分自身にとって大きなデメリットとなってしまいます。

したがって、基本的には、特定の人物や企業に対して名誉棄損等に該当する内容を自身で発信することは控えていただいた方が安心です。

では、何か問題のある人物や企業から被害を直接的な被害を被った場合において、泣き寝入りをするほかないのかというと、そのようなことはありません。

民事上の裁判手続や刑事事件化、あるいは関係する行政や業界組織への苦情申立てなど、合法的な手続の中で被害回復を図っていくことが重要です。

インターネットやSNSの発展によって、誰もが大衆に対して情報発信をできるようになったことはメリットが多くある一方でデメリットも多くあります。

そのデメリットの中の一つが、まさに名誉棄損等に該当する可能性が飛躍的に高まったということですので、インターネットやSNSの利用においては十分ご注意ください。

インターネットトラブルが発生した場合には、被害者の立場であっても、加害者の立場であっても、いずれの立場であっても速やかに対応を進めることが必要です。

どのような対応を最終的に取るにせよ、まずは慎重に状況を検討することが必要ですので、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

パブリシティ権侵害について

2022-09-22

ニュース番組等で、芸能人のパブリシティ権侵害等の特集がなされることも多くありますので、パブリシティ権という表現を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

パブリシティ権という権利は、法的な性質を理解することがなかなか難しい側面はあるのですが、肖像権との違い等を質問いただくことも増えてきましたので、本日はパブリシティ権に関して概要をご紹介いたします。

1 パブリシティ権とは

 パブリシティ権については法律上の明文があるわけではなく、裁判例上認められていると考えられている権利になります。

具体的には、最判平成24年2月2日において、パブリシティ権侵害が不法行為法上の違法となる場合について、人の氏名、肖像等(以下、併せて「肖像等」という。)が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利(パブリシティ権)が人格権に由来する権利の一内容を構成するとした上で、肖像等を無断で使用する行為は、「専ら顧客吸引力の利用を目的とする場合」に、パブリシティ権を侵害するものとして不法行為法上違法になると判示しております。

 そして、「専ら顧客吸引力の利用を目的とする場合」として、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付する場合、③肖像等を商品等の広告として使用する場合という3類型を示しています。

 肖像権侵害の一類型と言えなくはないのですが、肖像のうちの商業的な部分に特に着目した権利と言えますので、肖像権とは別種の権利と考えた方が法的には理解しやすいと考えられます。

2 パブリシティ権侵害が問題となった場合に

パブリシティ権侵害が問題となる場合についてですが、なかなか一般の方がパブリシティ権侵害の被害者となる場合は多くはないものと思われます。

一般の方の肖像が顧客誘引力を有する場合はあまり多くないと考えられるからです。

もっとも、昨今ではインターネット、SNSの爆発的な普及によって、一般の方の画像を商業目的で利用される場合も相当程度あるものと思いますので、一般の方だからといってパブリシティ権が一切認められないというわけではない点には注意が必要です。

パブリシティ権侵害の加害者、被害者のいずれの立場においても、権利侵害が問題となった場合には、速やかに弁護士等にご相談いただくことが重要です。

権利の法的性質自体がなかなか難しいものがありますので、権利侵害が問題となる場合には、まずはご相談いただくことをお勧めいたします。

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