Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category

民族差別に関する投稿

2024-05-01

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年9月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

被告は、インターネット上のブログを運営する人物であるが、自身が開設したブログ上において原告が在日韓国・朝鮮人であることを理由に侮辱するなどの差別的な内容の記事を投稿した。原告は、当該投稿によって名誉が毀損され、あるいは原告を侮辱して原告の人格権である民族的アイデンティティーに関する権利を侵害されたと主張し、これに対して、名誉毀損を理由として、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件記事は、原告がラップで平和へのメッセージを伝えた旨が記載された本件配信記事を引用しており、同記事の内容からは原告が反日的反社会的言動を行ったとは認められないから、これに対して反論する意図で作成したものとは到底解されない。また、上記のとおり本件各記載は、いずれも根拠なく原告を中傷して侮辱するものであり、反日的、反社会的言動を行う人物への反論という体裁すら整っていない。

②憲法14条1項、差別的言動解消法及び人種差別撤廃条約の趣旨及び内容に反する人種差別に該当する内容の本件各記載は、上記の住居において平穏に生活する権利等の人格権に対する違法な侵害行為に当たる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

自分自身としては社会的な使命感や必要性を感じて投稿した内容であっても、内容によっては第三者に対する誹謗中傷や侮辱に該当することはよくあるトラブルの一つではあります。まずは冷静になって自身が投稿する内容が問題となる可能性があるかどうかは慎重にご検討いただく必要があります。

協会の理事会における発言

2024-04-26

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年8月25日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告と被告は、同じ協会のメンバーであったところ、被告が当該協会の理事会において行った発言(原告が当該協会において活動を行うには不適切な人物であることを指摘する内容)を行った。これに対して、原告は、名誉毀損であることを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告の発言は、個人の意見表明であれば本件協会の内部情報の公表を行っても構わないなどという原告の説明は受け入れられず、原告を同じ組織体において議論する仲間の人間として認めることができないとの意見ないし論評の表明をしたものであるということができる。かかる発言は、広く同じ業界に属する者に原告が本件協会において活動を行うには不適切な人物であるとの印象を与えるものとして、原告の社会的評価を低下させることは否定し難い。

②同じ組織体において議論する仲間の人間として認めることができないと評することが意見ないし論評の範囲を逸脱するとまでいうことはできない。以上によれば、本件発言は、原告の社会的評価を低下させるものであるとしても、違法性を欠くものであるというべき

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

協会の理事会における必要な発言であったとしても発言する内容によっては名誉毀損や侮辱等の違法行為に該当するリスクがあります。必要な発言であっても、話す内容は十分に吟味した上で発言を行っていただくことが必要です。

鍵アカウントにおける投稿

2024-04-21

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年10月1日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告と被告は、同じ芸能グループで活動していた人物であるが、被告が自身のツイッター(現「X」)において、原告が以前性風俗店に勤務していたという趣旨の投稿を行った。これに対して、原告は、名誉毀損及び営業上の損害が発生したことを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①一般読者の普通の注意と読み方を基準とすれば本件各ツイートは、いずれも、原告が性風俗店で働いたことがある事実又は原告が現在も性風俗店で働いている事実を摘示するものと理解されるのが通常である。そうすると、本件各ツイートは原告の社会的評価を著しく低下させるものと認められる。

②被告は、各投稿について鍵アカウントで行ったと主張するが、被告の承認を受けている者は複数いたものと認められることに加え、承認するか否かは被告の任意の判断に委ねられており本件各ツイート時点で被告の承認を受けていなくてもその後に承認を受けることにより本件各ツイートを閲読できるようになること、また、被告の承認を受けた者は本件各ツイートのデータを複製等することによって容易に他者へ拡散させることが可能であることに鑑みると、本件各ツイートが不特定多数の者に伝播する可能性があったというべきである。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

また、鍵アカウントにおける投稿であっても、不特定多数に伝播する可能性が十分にあることから、名誉毀損や侮辱に該当すると考えるべきであることはくれぐれも注意する必要があります。

勤務会社の問題行動に関する投稿

2024-04-16

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年9月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、インターネット、携帯情報端末機を活用した広告代理店業等を営む株式会社の代表取締役であるところ、被告は当該会社の従業員として勤務していた者である。

被告が、自身のツイッター(現X)において、原告の会社に関して、架空請求とワンクリック詐欺を行っている会社である等という事実等を摘示した。これに対して、原告は、名誉毀損を理由として、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①一般読者の普通の注意と読み方を基準とすると、被告による各投稿は、原告らが架空請求とワンクリック詐欺を行っている事実を摘示するものと認められ、これを読んだ読者に原告らがこれらの犯罪行為をしているとの印象を与えるものであるから、原告らの社会的評価を低下させるものと認められる。

②被告は、本件行為を原告らに対する個人的な憤りにより感情的になって行ったものであると述べており、もっぱら公益を図る目的で本件行為をしたものではないことを認めていることからすれば、本件行為について違法性は阻却されないというべきである。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

仮に、自分が勤務する会社等の問題行動を何とか是正しようと考えたとしても、それを安易にSNS等に投稿してしまうと、会社に対する名誉毀損などに該当する可能性がありますので十分注意が必要です。

まずは感情的になることなく、冷静に投稿内容の可否を判断することが重要です。

医療サービスに対する苦情

2024-04-11

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年10月1日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、歯科医院を営む歯科医師であるところ、被告らが匿名掲示板においていずれも、直接的な名称は伏せる形で当該歯科医院に受診した患者3名から相談を受けたことを明らかにするとともに、当該歯科医院の問題点を列記するとともに、歯科医師会にも様々な苦情が入っているとした上で、本件歯科医院の実態を知っていただきたいと思い書込みをした旨、あるいは、本件歯科医院において同様の経験をした者がいないかを尋ねる旨を記載した。これに対して、原告は、名誉毀損及び営業上の損害が発生したことを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①一連の投稿は、本件歯科医院が、多数の患者に対して、その不安をあおるような虚偽の説明しそれを信じ込ませて必要性のない治療を受けさせることで高額な治療費を支払わせているという印象を与え、原告の社会的評価を低下させるものであると認められる。

②医療機関を選ぶ際に利用するインターネットサイトとしては、医療機関のホームページ、都道府県・市区町村のホームページ、医療機関検索サイトが上位に上がり、インターネット上の掲示板は挙げられておらず、本件各投稿の実際の閲覧数について見ても本件各投稿の閲覧数が数百回程度にとどまっていたことからすれば、本件各投稿が本件歯科医院の売上金額に与えた影響の程度を重視することは相当でないというべきである。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

社会的使命感等に基づいて問題のある人物などを告発する意図をもって行った投稿であったとしても、名誉毀損や侮辱等に該当するリスクは十分にありますので、くれぐれも注意する必要があります。

第三者の犯罪行為に関する投稿

2024-04-06

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年10月14日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、経営コンサルタント業を営む株式会社の代表取締役であるところ、被告は

自身が運営するブログ内において、原告が強制わいせつ行為を行い逮捕された事実等を摘示した。これに対して、原告は、名誉毀損を理由として、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告が記載した会社名は、原告が代表取締役を務める株式会社の商号と1文字異なるだけであること、また、記載した住所は、以前の本店所在地であること、代表取締役名は原告と同姓同名であることに鑑みると、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると、本件記事1の「A株式会社」は原告が代表取締役を務める株式会社のことを指すというべきである。

②一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすると、原告は性犯罪により逮捕されるような人物であるとの印象を与えるものであるから、本件各投稿は原告の社会的評価を低下させるものというべきである。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

仮に、本人としては何らかの使命感等に基づいて告発の一種として行う投稿であったとしても内容によっては、単なる名誉毀損や侮辱に該当してしまうケースも多々ありますので十分に注意が必要です。

自分が投稿する内容が問題ないかどうか、具体的には第三者の社会的評価を低下させる恐れがあるかどうか、また、第三者の名誉感情を侵害するものでないかどうか、といったことを慎重に検討していただくことが非常に重要です。

離婚経緯等を第三者に伝える場合

2024-04-01

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年11月27日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告と被告は夫婦関係にあったが、調停により離婚をした。その後、被告が離婚の経緯や条件、原告の不貞行為などを記載した電子メールを原告の勤務先の役員及び従業員全員が閲覧可能なメールアドレス宛てに送信した。これに対して、原告は、名誉毀損及びプライバシー侵害を理由として、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件メールの内容のうち、不貞行為等に言及する部分は、原告の社会的評価を低下させるものであるとともに、訴訟や調停の経過及びその結果等について摘示する部分と併せて、原告のプライバシーに属する事実を摘示するものであると認められる。

②本件メールのような他人のプライバシー等に関わる電子メールを送信する場合、関係者の被害の大きさなどを踏まえて、送信先の選択に留意し、少なくとも送信先を誤ることのないよう注意すべき義務を負うというべきである。そのため、本件メールを本件アドレスに送信するに至ったことについて、故意と同視するに足りる重大な過失があったと認めざるを得ない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

また、プライベートな内容であっても関係者に報告する必要が生じるケース等もある一方で、報告内容として名誉毀損やプライバシー侵害に該当するような内容を伝えることは出来ないことを踏まえると、なかなか第三者に伝えることは難しいものといえます。

不特定多数人に対して何らかの事情を伝える場合には、まずその内容が特定人の名誉毀損やプライバシー侵害に該当しないかどうかを十分に注意することが重要です。

相手方の性加害を投稿する場合

2024-03-27

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年12月18日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告と被告は、マッチングアプリのサービスを利用して出会い肉体関係を持つに至ったが、その後、原告から関係性を一方的に終了されたことを機に、被告が自身のSNSにおいて、原告の個人情報を無断で公開するとともに原告が性犯罪者である等と記載する投稿を行った。この一連の被告の行動に対して、原告が名誉毀損に該当するとして不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案である。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件各投稿は、「原告の容貌,氏名,年齢,出身地,学歴,身長,勤務先等の個人情報を,インターネット上に公開するものであり,原告は,かかる個人情報により個人として特定された上で,強制わいせつ罪及び強制性交罪に及んだ犯罪者であるとの事実の摘示をされるなどしたものと認められる。本件では,原告が性犯罪をしたことをうかがわせる証拠はなく,原告が性犯罪者であるとは認められないところ,個人が性犯罪歴を有するとの虚偽の事実の摘示は,社会的評価を著しく低下させるものである」。

②加えて、本件各投稿の内の一部の投稿は、原告の勤務先に関連するウェブページにおいて投稿されたものであり、その閲覧者との関係で原告の精神的損害は特に大きいものといえる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

また、重要なことですが、名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もあり、刑事事件となった場合には、前科となるおそれがあり、当人のその後の人生にも大きな悪影響を与えますので、十分に注意することが必要です。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要であることを再度ご注意ください。

作家に対する名誉毀損

2024-03-22

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年6月10日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

作家である原告が、被告に対して、被告がインターネットに開設された電子掲示板やブログにおいて、原告を脅迫し又はその名誉を毀損する内容の記事を投稿したに関して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件各投稿において、犯罪行為であるストーカーという用語を用いて、盗作のために原告が被告の著作物を常にチェックして回っているとの印象を与える記事であって、社会的評価を低下させるものといえる。

②また、原告が被告のインターネット掲示板への書き込みを流用、剽窃して、原告の作品として発表したとの事実を摘示するものでもある。このような内容は、原告が作家として不適切な行為をする人物であるとの印象を与えるものであって、原告の社会的評価を低下させる記事である。

③原告が、被告の著作物等を盗作したものと認めるに足りる証拠はない。また、インターネット上に原告が盗作しているとの疑惑を示す記事が存在したとしても、これによって原告が著作を発表する過程で実際に被告を含めた第三者の著作ないし発信内容を剽窃したことまでを裏付けるものとはいえない。

④被告は、原告に対する加害行為を実行するつもりはなかったと主張するが、被告の主観的な事情であって、被告による各投稿の違法性に直接影響するものではない、

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというもの、あるいは何らかの主観的な公益目的に基づくものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあり、その後の人生に大きな悪影響を及ぼすことも十分考えられます。

予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

インフルエンサーに対する名誉毀損

2024-03-17

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年6月30日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、インフルエンサーと呼ばれる諸活動を行うものであるところ、原告に対して批判的な投稿をツイッター(現X)において繰り返す被告に対して、名誉を毀損され、また、名誉感情を侵害された旨主張して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件各ツイートは、原告が、自身の妊娠に向けた一連の活動に関して虚偽の投稿をするような人物であり、また、そのことに関して多数人から批判を受けるような人物であるとの印象を一般の閲覧者に与えるもので、原告の社会的評価を低下させるものというべきである。

②本件各ツイートは、SNS等を通じて多数人に対して情報を発信し、書籍を出版するなどの活動をしている原告が行った、妊娠に向けた一連の活動についての情報発信に関するものであること等を踏まえると、公共の利害に関するものであり、専ら公益を図る目的で行われたものと認められる。

③原告自身が過去の自らの「炎上」について記載していることなどに照らすと、本件各ツイートの投稿が社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認めるに足りないものである。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、刑事事件に発展するリスクもありますので、一歩間違えるとその後の人生に大きな悪影響を与えかねない問題となり、最大限注意をする必要があります。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、慎重にその後の対応方針を検討するためにも、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

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