Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category

加害者が特定できた後の選択肢―「訴える」か「示談」か「刑事告訴」か

2026-05-01

発信者情報開示請求が成功し、加害者の氏名と住所が判明しました。

長い戦いの末に手に入れた相手の情報ですが、これを使って、次になにをすべきでしょうか?被害者には、大きく分けて3つの選択肢があります。

それぞれの特徴と選び方をみていきます。

1 ルート1:示談交渉(話し合い)

弁護士を通じて相手に内容証明郵便を送り、裁判外での和解を目指す方法です。

①メリット:スピード解決、柔軟な条件設定(削除、謝罪、接触禁止など)、秘密厳守。

②デメリット: 相手が無視したり、条件に応じない場合は決裂する。

多くのケースでは、まずこの示談交渉を行い、相手の誠意や支払い能力を確認します。相手が反省して素直に応じれば、最もコストパフォーマンスの良い解決となります。

2 ルート2:民事訴訟(損害賠償請求訴訟)

示談が決裂した場合、あるいは最初から「話し合うつもりはない」という場合に、裁判所に訴状を提出して訴訟を起こします。

①メリット: 裁判所による公的な「判決」が得られる。強制執行(差し押さえ)の権限が得られる。

②デメリット: 時間がかかる(半年〜1年)。弁護士費用が追加でかかる。法廷で公開される(傍聴可能になる)。

3 ルート3:刑事告訴

警察や検察に告訴状を提出し、犯罪としての処罰を求める方法です。

民事(お金)とは別の手続きであり、並行して行うことが可能です。

①メリット: 相手に「刑罰(罰金刑など)」を与え、前科をつけることができる。強力な社会的制裁になる。

②デメリット: 警察が受理してくれるとは限らない(ハードルが高い)。被害者にお金が入るわけではない。

悪質な脅迫や、リベンジポルノ、執拗な名誉毀損などでは、刑事告訴を積極的に検討すべきです。 「刑事告訴を取り下げる代わりに、民事の示談金を上乗せする」という交渉も実務ではよく行われます。

「とにかく謝罪させたい」 「かかった費用と慰謝料を回収したい」 「社会的に抹殺したい(厳罰に処したい)」

被害者の方が何を最も望むかによって、選ぶべき選択肢は変わります。 特定できた段階で、弁護士とじっくり話し合い、あなたの気持ちが一番晴れる解決方法を選ぶことが重要ですが、見切り発車ですすむことにはリスクも伴います。

こんなはずではなかった、という風にならないように最初の段階で注意しながら進むことが重要です。

相手に「お金がない」と言われたら?賠償金の回収方法と差し押さえについて

2026-04-26

「申し訳ありませんが、お金がなくて払えません」

示談交渉や裁判の場において、加害者がこう言ってくることはよくあります。

「無い袖は振れない(資産がない人からは回収できない)」というのは法律の世界でも厳しい現実ですが、すぐに諦める必要はありません。

相手の「お金がない」が本当なのか、そしてどうやって回収するかについてみていきます。

1 本当に「無一文」なのか?資産調査

単に「払いたくない」から「金がない」と嘘をついている可能性があります。

 相手の生活状況を見極める必要があります。

①職業・勤務先: 正社員で働いているなら、給与があります。

②自宅: 持ち家か賃貸か。持ち家なら不動産という資産があります。

③生活ぶり: SNSなどで豪遊している様子はないか。

弁護士会照会などの制度を使って、相手の口座情報などを調査できる場合もありますが、限界もあります。

2 強制執行(差し押さえ)

裁判で勝訴判決を得るか、公正証書で合意していれば、裁判所に申し立てて「強制執行(差し押さえ)」を行うことができます。

①給与の差し押さえ

相手の勤務先がわかれば、給料の一部(手取りの4分の1など)を毎月天引きして、直接被害者に支払わせることができます。これは相手が会社を辞めない限り続くため、非常に強力な回収手段です。また、会社にトラブルがバレるため、相手への社会的制裁にもなります。

②預金口座の差し押さえ

銀行口座を特定して、残高を没収します。タイミングによっては残高が少ないこともあります。

③動産・不動産の差し押さえ

自宅や車などを競売にかける手続きですが、費用と手間がかかるため、少額の慰謝料回収ではあまり行われません。

3 分割払いの交渉

相手が本当に資産を持っていない場合、無理に一括払いを求めても「自己破産」されてしまえば元も子もありません。

その場合、現実的な落とし所として「分割払い」での和解を検討します。

例えば、「毎月3万円ずつ、2年かけて支払う」といった合意をし、「もし支払いが2回遅れたら、残額を一括で支払う(期限の利益喪失条項)」という条件をつけることが一般的な対応です。これにより、相手に「毎月働き続けて払い続ける」という反省と責任を負わせ続けることができます。

「相手が無職の無敵の人(失うものがない人)だった」という最悪のケースもゼロではありません。しかし、開示請求を進める段階で、相手がどのような人物か(プロバイダが大手キャリアなら支払い能力がある可能性が高い、など)ある程度推測できることもあります。 回収リスクも含めて、費用対効果を弁護士とシビアに検討することが重要です。

加害者が「未成年」だった場合の対応

2026-04-21

開示請求の結果、届いた契約者情報を見て驚愕するケースがあります。

「書き込んでいたのが、未成年の学生(中学生・高校生)だった」

実は、ネットトラブルにおいて加害者が未成年であるケースは決して珍しくありません。

相手が未成年の場合、責任を誰に、どのように問えばよいのでしょうか?

1 未成年者本人の責任能力

日本の民法では、未成年者であっても「自分の行為の責任を弁識する能力(責任能力)」があれば、損害賠償責任を負うとされています。この能力が認められる年齢の目安は、概ね「12歳〜13歳(中学生)以上」です。

つまり、中学生以上の加害者であれば、法律上は「未成年者本人」を訴えることになります。 しかし現実問題として、中高生には数百万の賠償金を支払う経済力(資力)がありません。本人を訴えて勝訴しても、お金を回収できない可能性が高いのです。

2 親(親権者)に請求できるか?

「子供がやったことなのだから、親が払うべきだ」と考えるのが通常ですが、法律は必ずしもそうではありません。子供に責任能力がある場合(中学生以上)、原則として親は法的責任を負いません。

ただし、例外があります。「親の監督義務違反」が認められる場合です。

例えば、「子供が日常的にネットで違法行為をしているのを知っていたのに放置した」「危険な使い方を容認していた」といった事情があれば、民法714条に基づき、親に対して損害賠償請求ができる可能性があります。

3 実務上の解決:親が出てくることがほとんど

法律論では上記の通りですが、実際の示談交渉の現場では異なります。

弁護士から未成年者宛に内容証明郵便が届けば、通常は親がそれを見ます。通常であれば、「子供が迷惑をかけて申し訳ない」「子供に前科をつけたくない」「学校に知られたくない」と考え、親が子供の代わりに示談金を支払って解決するケースが大半です。

4 学校への通報はできる?

「学校に通報して反省させたい」という要望もよく頂きます。

しかし、弁護士が代理人として学校に通報することは、原則として行いません。名誉毀損事件はあくまで私人間のトラブルであり、学校は捜査機関ではないからです。また、学校へ知らせることで加害者がいじめに遭ったり退学になったりした場合、逆に「過剰な制裁だ」としてこちらが名誉毀損等で訴えられるリスクもゼロではありません。

ただし、いじめ事案などで「学校内での指導」が必要なケースでは、教育委員会や学校と連携をとることもあります。

ネット誹謗中傷の慰謝料相場

2026-04-11

苦労して発信者情報開示請求を行い、ついに犯人を特定した。

次に待っているのは、「相手にいくら請求できるのか」という損害賠償(慰謝料)の話です。

「数百万円とれるはずだ」 そう期待される方も多いですが、日本の裁判基準における慰謝料の相場は、残念ながら欧米に比べて決して高くはありません。今回は、権利侵害の種類ごとの慰謝料相場と、金額が増減するポイントについてみていきます。

1 権利侵害のタイプ別・慰謝料相場

裁判になった場合、認められる慰謝料の目安は以下の通りです。

①名誉毀損(個人の場合)

相場:10万円〜50万円(悪質な場合で〜100万円程度)

具体的な事実を挙げて社会的評価を低下させた場合です。

内容の悪質さ、拡散の広さ、被害者の属性(一般人か有名人か)などによって変動します。

②侮辱・名誉感情の侵害

相場:1万円〜10万円(悪質な場合で〜30万円程度)

「バカ」「ブス」などの罵倒が典型的な事例です。

事実の摘示がないため、名誉毀損に比べて低くなる傾向があります。

③プライバシー侵害

相場:10万円〜50万円

住所、氏名、病歴、ヌード写真などの流出です。

情報の内容がセンシティブであるほど(例:リベンジポルノなど)、金額は高額化し、100万円を超えるケースもあります。

④企業・法人への名誉毀損

相場:50万円〜100万円

法人の場合、「精神的苦痛」はないとされますが、「無形の損害(信用毀損)」として賠償が認められます。また、売上減少などの「実損害」を証明できれば、その逸失利益も上乗せして請求可能です。

2 慰謝料が増額される要因

以下のような事情がある場合、相場よりも高い慰謝料が認められる可能性があります。

①執拗さ: 長期間にわたり、何百回も繰り返し投稿している。

②悪質性: 脅迫めいた内容や、差別的な内容が含まれている。

③拡散力: 閲覧数の多いまとめサイトや、インフルエンサーによる拡散。

④被害の深刻さ: 投稿が原因で退職に追い込まれた、精神疾患を患った(診断書がある)、婚約破棄になったなど。

3 「調査費用(弁護士費用)」はどこまで請求できる?

慰謝料とは別に、犯人を特定するためにかかった「調査費用(発信者情報開示請求費用)」も損害として認められます。

ただし、全額認められるとは限りません。 裁判所の傾向として、実際にかかった費用の「相当額(一部)」や、「慰謝料額の1割程度」に制限されることがあります。 しかし近年の判決では、特定手続の複雑化を考慮し、調査費用を広めに認めるケースも増えてきています。

YouTubeのコメント・動画による名誉毀損

2026-04-06

YouTubeなどの動画プラットフォームにおいて、動画そのものの内容による権利侵害や、コメント欄での誹謗中傷トラブルが増加しています。

YouTuberやVtuberへの殺害予告や暴言が社会問題化していますが、これらも当然、法的措置の対象です。

1 「動画内」での誹謗中傷

「●●という配信者は詐欺師だ」などと発言している動画がアップされた場合、名誉毀損として動画の削除や投稿者の特定を求めることができます。

動画の場合、テキストと違って検索に引っかかりにくいですが、「動画のどの部分(何分何秒〜何分何秒)で」「どのような発言があったか」を文字起こし(反訳)して証拠化する必要があります。

この作業は手間がかかりますが、裁判所に権利侵害を認めてもらうためには不可欠なプロセスです。

2 コメント欄・チャット欄(スパチャ)での暴言

動画配信中に行われる「ライブチャット」や、動画下の「コメント欄」での誹謗中傷も、掲示板と同様に開示請求の対象です。

特に「スーパーチャット(投げ銭)」での中傷コメントは、支払い情報が紐づいているため、Googleアカウントの情報(Google Payの登録情報など)から比較的スムーズに身元判明に至るケースもあります。

3 Vtuber(バーチャルYouTuber)への誹謗中傷

「中の人(キャラクターを演じている人物)」に対する誹謗中傷なのか、「キャラクター(アバター)」に対するものなのか、という議論がありましたが、近年の裁判例ではVtuberに対する誹謗中傷も「中の人」への名誉毀損として認められる傾向にあります。

「絵に向かって言っただけ」という言い訳は通用しなくなってきていますので、くれぐれもコメントには注意が必要です。

4 著作権侵害を理由とした特定も

誹謗中傷とは少し異なりますが、自分の動画を勝手に転載(切り抜き動画など)されている場合、著作権侵害を理由として発信者情報開示請求を行うことも可能です。 悪質な無断転載チャンネルに対しては、アカウント停止(BAN)だけでなく、損害賠償請求も視野に入れた対応が可能です。

爆サイ・5ちゃんねる(2ちゃんねる)の書き込み削除依頼と特定

2026-04-01

匿名掲示板の代表格である「5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)」や、ローカル情報に特化した「爆サイ(爆サイ.com)」。

これらの掲示板は匿名性が高く、過激な書き込みが行われやすい場所です。それぞれの掲示板には「独自のルール」と「削除の作法」があります。

1 「爆サイ」は地域密着型のトラブルが多い

爆サイは地域別・ジャンル別の掲示板であり、特にキャバクラ・風俗などの「夜のお店」、建設業、地域の中小企業、特定の個人に関するスレッドが多く立っています。

 ローカルなコミュニティであるため、書き込んでいるのが「職場の同僚」「近所の知人」「元交際相手」である可能性が高く、リアルの人間関係に直結する深刻な被害になりがちです。

2 爆サイの削除依頼

爆サイには専用の「削除依頼フォーム」があります。

弁護士が法的な理由を明記して依頼すれば、比較的スムーズに(数日〜1週間程度で)削除に応じてもらえる傾向にあります。

ただし、削除されても「誰が書いたか」までは教えてくれません。犯人を特定したい場合は、削除とは別に開示請求の手続きが必要です。

3 「5ちゃんねる」の複雑なシステム

5ちゃんねるは、巨大な掲示板群であり、運営体制やサーバーの場所が複雑です。

メールでの削除依頼に対応してくれる場合もありますが、基本的には裁判所を通じた「仮処分」手続きが必要になるケースが多いです。

また、5ちゃんねるには「コピーサイト(ミラーサイト)」が無数に存在します。大元の5ちゃんねるの投稿を消しても、「2ちゃんまとめ」などのコピーサイトに記事が残っていれば、検索結果には表示され続けます。

被害を完全に消し去るには、これらコピーサイトに対しても個別に削除請求を行わなければならないという「イタチごっこ」になりがちです。

4 過去ログ(ログ速など)の問題

掲示板の書き込みが流れて見えなくなっても、「過去ログ保存サイト」にデータが残っている場合があります。 「昔の書き込みだからバレないだろう」と思っていても、こうしたログサイトの記録から開示請求が可能な場合もあります(ただし、通信ログの保存期間の壁はあります)。

5 掲示板被害は「放置」が一番危険

掲示板の書き込みは、面白がって拡散されたり、まとめサイトに転載されたりすることで、半永久的にネット上に残り続けるリスク(デジタルタトゥー)があります。

「そのうち沈静化するだろう」と放置していると、検索エンジンの上位に悪口が表示されるようになり、就職や結婚、ビジネスに悪影響を及ぼします。

掲示板ごとの特性を熟知した弁護士であれば、削除から特定まで、最短ルートでの解決策を提案できます。

Instagramのストーリー・DMでの中傷被害

2026-03-27

「映え」を意識した写真共有アプリとして人気のInstagram(インスタグラム)ですが、近年は文字による誹謗中傷の温床にもなっています。

特に問題なのが、「24時間で消えるストーリーズ」と「外部から見えないDM(ダイレクトメッセージ)」での被害です。

証拠が残りにくいインスタグラムでのトラブルに対し、どのように対処すればよいのでしょうか。

1 ストーリーズ被害の最大の問題点

ストーリーズへの投稿は、24時間経過すると自動的にフォロワーから見えなくなります(アーカイブには残りますが、被害者は見られません)。 誹謗中傷の書き込みを見つけたら、「後で保存しよう」は厳禁です。

開示請求を行うためには、「その投稿が存在した事実」と「固有のURL」が必要です。

ストーリーズが表示されている間に、以下の情報を確実に保存してください。

①投稿内容のスクリーンショット(静止画)

②画面録画(動画):アカウント名、投稿日時、内容、タップして前後の遷移がわかるように録画するのがベストです。

③URLのコピー:ストーリーズの画面右上メニューから「リンクをコピー」で取得できます。これも忘れずに行ってください。

2 DM(ダイレクトメッセージ)での誹謗中傷

「DMで死ねと送られてきた」、「卑猥な画像を送られた」

DMは1対1の通信(密室)であるため、「公然性」の要件を満たさず、名誉毀損罪や侮辱罪が成立しにくいという特徴があります。

しかし、だからといって泣き寝入りする必要はありません。内容が脅迫(「殺すぞ」など)であれば脅迫罪になりますし、執拗につきまとう行為であればストーカー規制法の対象になる可能性があります。また、民事上の不法行為として慰謝料請求(人格権侵害)が認められるケースもあります。

3 「なりすましアカウント」への対応

インスタグラムで多いのが、自分の写真やプロフィールを勝手に使った「なりすましアカウント」の被害です。 勝手に自分のふりをして知人にDMを送ったり、変な投稿をされたりすると、社会的信用に関わります。

これは肖像権侵害やプライバシー権侵害、場合によっては名誉毀損に該当します。なりすまし犯を特定するための開示請求も可能です。運営への通報で消えない場合は、弁護士にご相談ください。

4 メタ社(Meta)への開示請求

Instagramの運営元は、Facebookと同じMeta社(米国)です。 X社と同様、海外法人に対する手続きが必要になりますが、日本国内での開示請求手続きのルートは確立されています。「海外アプリだから無理」と諦めず、証拠が消える前に専門家へ相談することが解決への近道です。

Googleマップの悪質な口コミ(レビュー)削除と投稿者特定-店舗経営者が守るべき権利

2026-03-22

飲食店、クリニック、美容院などの店舗ビジネスにおいて、Googleマップの「クチコミ」は集客を左右する生命線です。

しかし、その影響力を悪用し、事実無根の低評価や悪質なコメントを書き込まれる「口コミ被害」が後を絶ちません。

「星1つを付けられたせいで客足が減った」、「ライバル店からの嫌がらせではないか?」 経営者を悩ませるGoogle口コミへの法的対応について解説します。

1 Googleへの削除申請(報告)

まず最初に行うべきは、Googleに対する「不適切なコンテンツの報告」です。Googleには独自のポリシーがあり、以下のような投稿は削除対象となります。

①虚偽のコンテンツ:実際には店を利用していないのに書かれたもの。

②なりすまし:競合他社による投稿など。

③ハラスメント、ヘイトスピーチ: 従業員個人への攻撃など。

しかし、Googleは「表現の自由」や「ユーザーの知る権利」を重視するため、単に「店主の態度が気に入らなかった」、「味が好みではなかった」といった主観的な低評価は、削除に応じないケースが多いのが現状です。

2 法的手段による削除と特定

Googleへの報告で消えなかった場合、裁判所を通じて「削除仮処分」や「発信者情報開示請求」を行います。

ここで重要なのは、「権利侵害(名誉毀損など)が成立しているか」です。

「マズい」「対応が悪い」といった感想レベルでは違法性を問うのは難しいですが、「ゴキブリが入っていた」「ぼったくりバーだ」といった嘘の事実(虚偽の事実摘示)が含まれている場合は、法的に戦える可能性が高くなります。

3 「星評価のみ(コメントなし)」は対応できる?

最近増えているのが、コメントを書かずに「星1」だけをつけるケースです。 結論から言うと、星評価のみの投稿を削除・特定することは極めて困難です。

なぜなら、星1つという評価はあくまで「個人の感想・主観」の範疇であり、具体的な事実が書かれていないため、名誉毀損の要件である「事実の摘示」に当たらないと判断されることがほとんどだからです。 悔しいですが、現状の法制度では対応に限界がある領域です。

4 経営者がやってはいけないNG行動

怒りに任せて、口コミの返信欄で「お前はあの時の客だろ!」「訴えてやる!」などと攻撃的な反論をすることは避けましょう。

その様子を見た他の閲覧者が「この店は怖い」と感じ、かえってお店の評判を落とす「炎上」に繋がります。 悪質な口コミに対しては、冷静かつ事務的に対応するか、弁護士を通じて粛々と法的措置をとるのが、お店のブランドを守る最善の策です。

「死ね」「ブス」はアウト。ネット上の暴言が法的責任を問われるライン

2026-02-20

ネット上の喧嘩や炎上でよく見かける、「死ね」「消えろ」「ブス」「キモい」といった単純な暴言。言われた方は深く傷つきますが、こうした短い言葉だけで法律上の責任を問うことはできるのでしょうか?

結論から言うと、「言葉単体」での判断は難しく、前後の文脈や回数、執拗さによって「アウト(違法)」かどうかが決まります。

1 「受忍限度」という考え方

裁判所が違法性を判断する際、「受忍限度」という基準を使います。

これは「社会生活を送る上で、我慢すべき限界」のことです。ネット上の多少の言い争いは「お互い様」とされることもありますが、この受忍限度を超えた攻撃は違法となり得ます。

2 「死ね」「殺す」などの生命に関わる言葉

「死ね」という言葉は、単発であれば侮辱罪にとどまるケースが多いですが、執拗に繰り返されたり、精神的に追い詰められたりした場合は違法性が認められやすくなります。

さらに進んで「殺すぞ」「家に行って火をつけるぞ」といった具体的な危害の告知が含まれる場合は、「脅迫罪」が成立する可能性があります。これは名誉毀損や侮辱よりも重い罪であり、警察が緊急で動くケースもあります。

3 「ブス」「デブ」などの容姿に関わる言葉

容姿に対する誹謗中傷は、具体的な事実の摘示ではないため、主に「侮辱(名誉感情の侵害)」の問題となります。 一回言われただけでは法的措置が難しい場合もありますが、以下のようなケースでは違法と判断される可能性が高まります。

①執拗な繰り返し:何度も粘着質に投稿されている。

②拡散性:多くの人が見る掲示板やSNSで、タグ付けをして拡散させている。

③職業への影響:アイドルやモデルなど、容姿が業務に直結する人の場合、営業妨害として捉えられることもあります。

4 実際の裁判例の傾向

近年、ネット上の誹謗中傷に対する司法の判断は厳しくなっています。かつては「ネットは便所の落書きだから仕方ない」と軽視される風潮もありましたが、現在は「匿名であっても人格攻撃は許されない」という判断が主流です。

「バカ」の一言でも、それが数百回書き込まれれば、平穏な生活を害するとして不法行為と認定されるケースは十分にあります。

5 一人で悩まず、証拠を持って相談を

「これくらいの悪口で相談していいのかな?」と迷う必要はありません。 「死ね」「キモい」といった言葉の羅列であっても、それがあなたに恐怖や苦痛を与えているなら、それは立派な権利侵害です。

発信者情報開示請求を行うかどうかは、費用の対効果も含めて慎重に検討する必要がありますが、まずは専門家の意見を聞くことが解決への第一歩です。相手の投稿が消される前に、URLとスクリーンショットを保存してご相談ください。

ネットの書き込みは犯罪になる?刑事告訴(警察への相談)と民事訴訟の違い

2026-02-15

ネットトラブルの被害に遭った際、「相手を訴えたい」という言葉をよく耳にします。しかし、この「訴える」には、大きく分けて2つの意味が含まれていることをご存知でしょうか。

それは「刑事(けいじ)」の手続きと「民事(みんじ)」の手続きです。この2つは目的も手続きも全く別物です。 ここを混同していると、解決までの道のりで思わぬ壁にぶつかることがあります。

1 刑事手続:相手に「罰」を与える

刑事手続きの目的は、国家が加害者に対して刑罰(懲役、罰金、科料など)を与えることです。被害者が警察署に「告訴状」や「被害届」を提出することから始まります。

①対象となる罪

名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪など。

②メリット

相手に「犯罪者」としての責任を負わせることができ、再犯防止の強力な抑止力になります。

③注意点

警察が動いて犯人を逮捕・起訴してくれても、被害者にお金(慰謝料)が入ってくるわけではありません。罰金刑になっても、そのお金は国庫に入ります。

また、警察は「民事不介入」の原則があるため、単なる悪口のレベルや、犯罪構成要件を満たしているか微妙な事案では、なかなか動いてくれないこともあります。

2 民事手続き:相手から「賠償」を得る

民事手続きの目的は、被害者の損害を回復することです。具体的には、書き込みの削除や、慰謝料(損害賠償金)の支払いを求めます。 弁護士に依頼して行う「発信者情報開示請求」は、主にこの民事手続きの準備段階にあたります。

①できること

投稿の削除、投稿者の特定、慰謝料請求、謝罪広告の掲載請求など。

②メリット

金銭的な被害回復ができ、調査費用(弁護士費用)の一部も相手に請求できる場合があります。

③注意点

相手にお金がない場合、回収できないリスクがあります。また、民事で勝訴しても、相手に「前科」がつくわけではありません。

3 刑事と民事、どちらを選ぶべき?

結論から言えば、「どちらか一方」ではなく「両方」行うケースが多いです。

特に悪質な誹謗中傷の場合、以下のような流れが一般的です。

①民事手続きで犯人を特定する (警察はIPアドレスの特定捜査に慎重な場合も多いため、まずは弁護士が民事で特定することが近道になることが多いです)

②特定した相手に対して、損害賠償請求(民事)を行う

③同時に、警察へ刑事告訴(刑事)を行う 「示談に応じなければ刑事告訴を取り下げない」という交渉カードとしても機能します。

4 最適な戦略を立てるために

「とにかく相手を刑務所に入れたい」のか、「慰謝料をとって反省させたい」のか、被害者の方が何を一番望むかによって、とるべき戦略は変わります。

当事務所では、依頼者様の気持ちに寄り添い、刑事・民事の両面から最適な解決策をご提案します。まずは法律相談にて、現在のご状況をお聞かせください。

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