私生活上の平穏について

私生活上の平穏を人格的利益として法的保護の対象である旨を判示した判例である、最判平成元年12月21日(民集43・12・2252)について、本日はご紹介いたします。

1 最判平成元年12月21日の判示内容

最高裁は、以下のとおり判示しました。

「被上告人らの中には、電話、葉書、スピーカーによる嫌がらせや非難攻撃を繰り返し受け、家族に対してまで非難の宣伝をされた者があり、その余の者も右事実を知り同様の攻撃等を受けるのではないかと落ち着かない気持ちで毎日を送ったことは前示のとおりである。被上告人らの社会的地位及び当時の状況等にかんがみると、現実に右攻撃等を受けた被上告人らの精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度内にあるということはできず、その余の被上告人らの精神的苦痛も、その性質及び程度において、右攻撃等を受けた被上告人らのそれと実質的な差異はないというべきところ、原審が適法に確定したところによると、被上告人らの氏名・住所・電話番号等を個別的に記載した本件ビラを大量に配布すれば右のような事態が発生することを上告人において予見していたか又は予見しなかったことに過失がある、というのであるから、被上告人らは上告人の本件配布行為に起因して私生活の平穏などの人格的利益を違法に侵害されたものというべきであり、上告人はこれにつき不法行為責任を免れないといわざるを得ない。」

不法行為に該当するかどうかの判断基準である受忍限度という概念を用いて、一定の場合には、私生活上の平穏が人格的利益として法的に保護されるものであることを明確に判断した判例として非常に有名なものです。

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブル、企業への誹謗中傷など、様々な場面でのインターネットトラブルが増加しております。

意図的なものから自分としては違法行為を行う意図はなかったものの、結果として違法行為に該当する行為を行ってしまっているものまで、様々な態様が存在します。

インターネットトラブルに関しては、被害者の立場、加害者の立場のいずれの立場においても、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。

どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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