動画配信における表現の判断基準

新聞記事等の紙媒体における表現について名誉毀損に該当するかどうかの判断基準においては、一般読者の普通の注意と読み方を基準にするとの考え方が最高裁判所によって示されております。

これに対して、テレビ番組等の動画配信における表現について名誉毀損に該当するかどうかの判断金についても、最高裁はその判断基準を示しております。

そこで、本日は、最判平成15年10月16日(民集57・9・1075)について、ご紹介いたします。

1 最判平成15年10月16日の判示内容

最高裁は、以下のとおり判示しました。

「新聞記事等の報道の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについては,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきものであり(新聞報道に関する最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照),【要旨1】テレビジョン放送をされた報道番組の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについても,同様に,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断すべきである。

 そして,【要旨2】テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された事実がどのようなものであるかという点についても,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断するのが相当である。テレビジョン放送をされる報道番組においては,新聞記事等の場合とは異なり,視聴者は,音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされるのであり,録画等の特別の方法を講じない限り,提供された情報の意味内容を十分に検討したり,再確認したりすることができないものであることからすると,当該報道番組により摘示された事実がどのようなものであるかという点については,当該報道番組の全体的な構成,これに登場した者の発言の内容や,画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報の内容を重視すべきことはもとより,映像の内容,効果音,ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して,判断すべきである。」

要するに、新聞記事等の紙媒体における表現に対する判断基準と平仄をあわせる形での判断基準が示されており、妥当な考え方だといえます。

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブル、企業への誹謗中傷など、様々な場面でのインターネットトラブルが増加の一途をたどっております(誹謗中傷等以外にも、知的財産権侵害に関わるトラブルも増加している印象です。)。

また、意図的なものから自分としては違法行為を行う意図はなかったものの、結果として違法行為に該当する行為を行ってしまっているものまで、様々な態様が存在します。

インターネットトラブルに関しては、被害者の立場、加害者の立場のいずれの立場においても、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。

どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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