ファイル共有ソフトを利用した場合の責任-刑事責任

1 ファイル共有ソフトを利用した場合の刑事責任について

BitTorrentに代表されるファイル共有ソフトを利用した場合の刑事責任については、漫画、アニメ、動画などの著作物を違法ダウンロードした場合と違法アップロードした場合に分けて整理する必要があります。

まず、著作物を違法ダウンロードした場合、著作権法上は「二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金」が科される可能性があります(著作権法119条3項等)。

もっとも、著作物の違法ダウンロードについては親告罪とされており(著作権法123条1項等)、著作権者による刑事告訴がない場合には公訴が提起されません。そのため、事実上、著作権者が刑事告訴をするまでは捜査機関は捜査を開始しないのが通常です。

これに対して、著作物を違法アップロードした場合、著作権法上は、「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金」が科される可能性があります(著作権法119条3項)。

著作物の違法アップロードの場合も、原則としては親告罪と規定され、著作権者による刑事告訴がない場合には公訴が提起されませんが、一定の場合には非親告罪として取り扱われ(著作権法123条2項等)、著作権者による刑事告訴の有無にかかわらず、捜査機関が独自に捜査を行うことが可能です。

具体的には、以下の①又は②「に掲げる行為の対価として財産上の利益を受ける目的又は有償著作物等の提供若しくは提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的」で、以下の①又は②の行為を行う場合には非親告罪として取り扱われます。

  1. 「有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信」を行うこと
  2. 「有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信を行うために、当該有償著作物等を複製すること」

なお、「有償著作物等とは、著作物又は実演等」「であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの」をいうと規定されております。

以上のとおり、BitTorrentに代表されるファイル共有ソフトを利用した場合には、ダウンロードした著作物が自動的に全てアップロードされてしまうので、非親告罪として取り扱われることが通常であると考えられます。

2 早期に弁護士にご相談いただくことが重要です

「仮に刑事責任となっても、通常は略式起訴の結果罰金で終わるから特段問題ないだろう」

とお考えの方がたまにいらっしゃいます。

しかしながらこのような考えは非常に危険であるものといえます。

というのも、略式起訴の結果罰金の処分となっても前科となることは変わりませんし、そもそも違法アップロード、違法ダウンロードの態様によっては、略式起訴ではなく公判請求される可能性もございます。特に昨今では著作物の保護が非常に重視されておりますので、楽観視することは非常に危険な対応と言わざるを得ません。

BitTorrent等のファイル共有ソフトを利用した結果問題が著作権者から何らかの連絡があった場合には、最終的にどのように対応するかを判断するためにも、まずは早期に弁護士にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

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