事実摘示型と意見論評型の判断基準

名誉毀損に該当するかどうかの判断基準においては、その表現が事実を摘示するものなのか、それとも意見論評の類のものなのかによって、用いられる判断基準が異なります。

そこで、本日は、ある表現について、事実を摘示するものなのか、それとも意見論評の類のものなのかに関する判断基準を示した、最判平成10年1月30日(集民187・1)について、本日はご紹介いたします。

1 最判平成10年1月30日の判示内容

最高裁は、ある表現について、事実を摘示するものなのか、それとも意見論評の類のものなのかに関して、以下のとおり判示しました。

「名誉毀損の成否が問題となっている部分において表現に推論の形式が採られている場合であっても、当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、当該部分の前後の文脈や記事の公表当時に右読者が有していた知識ないし経験等も考慮すると、証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を右推論の結果として主張するものと理解されるときには、同部分は、事実を摘示するものと見るのが相当である。」

ある表現について、事実を摘示するものなのか、それとも意見論評の類のものなのか、いずれであるかによって、裁判での争い方は大きく異なるものであるところ、その判断基準を明確に判断した判例として非常に有名なものです。

ただし、「証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項」に該当するかどうかそのもので、争いとなる場合も多いので、判断基準としては明確になりましたが、実際の争いの場では、依然として一義的に区分けがされるとは言い切れない状態というの実情です。

2 名誉毀損に関するトラブルに巻き込まれてしまった場合

最近では、個人間におけるトラブル、企業への誹謗中傷など、様々な場面でのインターネットトラブルが増加の一途をたどっております。

また、意図的なものから自分としては違法行為を行う意図はなかったものの、結果として違法行為に該当する行為を行ってしまっているものまで、様々な態様が存在します。

インターネットトラブルに関しては、被害者の立場、加害者の立場のいずれの立場においても、民事事件、刑事事件の両方の側面から慎重にどのように対応を進めるべきかを検討することが重要です。

どのような対応を取る必要があるかにつきましては、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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