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Instagramのストーリーズで悪口を書かれた場合、投稿者を特定できる?
1 相談内容
大学のサークル内の知人が、Instagramのストーリーズで私の悪口を書いています。
私の名前は直接出していませんが、同じサークルの人が見れば、私のことだと分かる内容です。「性格が悪すぎる」「男好き」などと書かれており、周囲の目も気になってつらいです。
ただ、ストーリーズは24時間で自動的に消えてしまいます。友人に相談したところ、「もう消えているなら証拠がないのでは」と言われました。
このように、すでに消えてしまったストーリーズでも、開示請求をして相手を特定したり、慰謝料を請求したりすることはできるのでしょうか。
2 弁護士の回答-ストーリーズでも、証拠があれば開示請求できる可能性があります
結論からいうと、Instagramのストーリーズであっても、投稿が存在していたことを示す証拠が残っていれば、発信者情報開示請求や損害賠償請求を検討できます。
ストーリーズは24時間で自動的に消えるため、「消えたら何もできない」と思われがちです。しかし、重要なのは、投稿が消えたかどうかではなく、問題となる投稿を特定できる証拠が残っているかどうかです。
Instagramで発信者情報開示請求を行う場合には、権利侵害にあたる投稿がどれなのかを特定する必要があります。対象となる投稿のURL、投稿日時、投稿内容、投稿者のアカウント名などを証拠化しておくことが重要です。Instagramの開示請求では、対象投稿を証拠化し、いつ投稿されたものか、公表されていたものかが分かるようにしておくことが望ましいとされています。
そのため、ストーリーズが消える前に、URLや画面録画、スクリーンショットを保存していれば、投稿が24時間後に消えてしまったとしても、法的対応の余地があります。
反対に、誰もスクリーンショットや録画を残しておらず、URLも分からず、投稿内容を客観的に示す資料が一切ない場合には、開示請求や慰謝料請求はかなり難しくなります。
「名前を出していない」場合でも対象になり得ます
ご相談のように、ストーリーズ内で実名が書かれていない場合でも、直ちに法的対応ができないわけではありません。
名誉毀損や侮辱が問題になる場面では、その投稿を見た人が「誰のことを言っているのか」を理解できるかが重要です。たとえば、同じサークルのメンバー、同じ大学の友人、共通の知人など、一定の範囲の人が読めば相談者本人のことだと分かる書き方であれば、本人に向けられた投稿として問題にできる可能性があります。
「性格が悪すぎる」「男好き」といった表現は、具体的な事実を示しているか、単なる悪口や侮辱にとどまるかによって、名誉毀損、侮辱、名誉感情侵害など、検討すべき法的構成が変わります。Instagramでの誹謗中傷は、内容によって名誉毀損罪、侮辱罪、ストーキング規制法、脅迫罪のほか、民事上の不法行為に基づく損害賠償請求の対象になり得るとされています。
したがって、「名前が出ていないから無理」と決めつける必要はありません。投稿内容、投稿者と相談者の関係、閲覧者の範囲、前後の投稿や会話の流れなどを総合的に見て、相談者を指しているといえるかを検討することになります。
3 消える前に保存すべき証拠
Instagramのストーリーズ被害で最も大切なのは、消える前の証拠保全です。
最低限、次の証拠を保存しておくことをおすすめします。
- ストーリーズのURL
- 投稿内容が分かるスクリーンショット
- 投稿者のアカウント名・ユーザーネーム
- 投稿者のプロフィール画面
- 投稿日時または閲覧時刻が分かる情報
- ストーリーズを開く前後の画面遷移が分かる画面録画
- その投稿が自分を指していると分かる事情
- 友人から送られてきたスクリーンショットやメッセージ
特に重要なのは、URLと画面録画です。
スクリーンショットだけでも一定の証拠にはなりますが、画像だけでは、どのアカウントのどの投稿なのか、加工されていないか、実際にInstagram上に表示されていたものなのかが争われることがあります。
そのため、可能であればスマートフォンの画面録画機能を使い、Instagramアプリを開くところから、問題のストーリーズ、投稿者のプロフィール画面、アカウント名が分かる画面まで連続して録画しておくとよいでしょう。Instagramで誹謗中傷を受けた場合、証拠が残っていなかったり証拠力が不十分だったりすると、発信者を特定できなくなるおそれがあると指摘されています。
また、友人がそのストーリーズを見ていた場合には、友人にもスクリーンショットや画面録画を保存してもらい、いつ、どのアカウントで、どのような内容を見たのかをメモしてもらうことも有用です。
4 DMで悪口を送られた場合はどうなるか
Instagramでは、ストーリーズだけでなく、DMで悪口や嫌がらせが送られてくるケースもあります。
ただし、DMは通常、1対1または限定された相手との非公開のやり取りです。そのため、不特定多数または多数人に知られることを前提とする名誉毀損や侮辱とは、問題の性質が異なります。
たとえば、単にDMで「性格が悪い」などと送られた場合、公然性の問題から、名誉毀損や侮辱としての責任追及が難しいことがあります。また、Instagramの投稿者は発信者情報開示請求で特定可能である一方、DMは対象外と説明されることもあります。
もっとも、DMであれば何をしてもよいわけではありません。「殺す」「家に行く」などの害悪を告知する内容であれば脅迫が問題になります。執拗にメッセージを送り続ける、待ち伏せや監視を示す、交際や面会を迫るといった事情があれば、ストーカー規制法上の問題になる可能性もあります。
また、刑事事件としての名誉毀損や侮辱が難しい場合でも、内容や頻度によっては、民事上の不法行為として慰謝料請求を検討できることがあります。したがって、DMについても削除せず、スクリーンショットや画面録画で保存しておくべきです。
5 なりすましアカウントにも対応できる可能性があります
Instagramでは、本人の写真や名前を勝手に使った「なりすましアカウント」が作られる被害もあります。
たとえば、相談者の顔写真を無断でプロフィール画像に使い、本人であるかのように投稿するケースや、本人の評判を落とすような投稿をするケースです。このような行為は、肖像権侵害、プライバシー侵害、名誉毀損などの問題になり得ます。
なりすまし被害については、具体的な投稿がなくても、アイコン画像に自分の写真を勝手に使われているような場合には、プロフィール画像のスクリーンショットを取得しておくべきとされています。
なりすましアカウントについても、プロフィール画面、投稿内容、使用されている写真、アカウント名、URL、フォロワーとのやり取りなどを保存しておくことが重要です。
6 Meta社への手続きは専門性が高い
Instagramの運営元はMeta社です。発信者情報開示請求を行う場合には、Meta社に対して、対象アカウントに関するログイン時のIPアドレスやタイムスタンプなどの開示を求め、その後、アクセスプロバイダに対して契約者情報の開示を求める流れになります。
Instagramに対しては、対象投稿をしたアカウントの作成時IPアドレスやログイン時IPアドレスの開示を求める手続が解説されています。
ただし、Meta社は海外法人であり、書類作成、送達、英語対応、裁判所での手続きなど、一般の方が自力で対応するには難しい点が多くあります。Instagramの場合、国際裁判管轄のある東京地裁または被害者住所地の地裁への申立てが必要となり、Meta社に関する書面作成や送達対応が問題になることも指摘されています。
また、発信者情報開示請求には時間制限があります。ログの保存期間が短い場合があり、対応が遅れると、投稿者の特定が難しくなることがあります。Instagramの証拠保全に関する解説でも、ログの保存期間は短く迅速性が求められるとされています。
7 まとめ
Instagramのストーリーズは24時間で消えますが、証拠まで消えてしまうとは限りません。URL、スクリーンショット、画面録画、投稿者のアカウント情報などを保存していれば、投稿が消えた後でも、発信者情報開示請求や損害賠償請求を検討できる可能性があります。
特に、実名が書かれていなくても、同じサークルや大学の人が見れば本人のことだと分かる内容であれば、法的に問題にできる余地があります。
一方で、証拠が何も残っていない場合や、投稿を特定できない場合には、開示請求は非常に難しくなります。ストーリーズでの中傷に気づいたら、相手に抗議する前に、まずURL、スクリーンショット、画面録画を保存してください。
24時間で投稿が消えても、適切な証拠が残っていれば、責任追及の可能性は残ります。Instagramでの中傷やなりすましに悩んでいる場合は、できるだけ早く、証拠を持って弁護士に相談することをおすすめします。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
ネットでの個人特定と発信者情報開示請求の実務
インターネット上で名誉毀損やプライバシー侵害などの被害を受けた場合、相手が匿名であっても、法的手続を通じて「発信者の特定」を目指すことが可能です。今回は、いわゆる「発信者情報開示請求」の法的枠組みと、実務上の流れについて解説します。
1 発信者情報開示請求とは
発信者情報開示請求とは、被害者が、加害行為を行った投稿者の情報(氏名、住所、IPアドレスなど)の開示を、インターネット上のサービス提供者(プロバイダ)に求める制度です。主に、プロバイダ責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)に基づいて行われます。
この制度により、被害者は投稿者を特定し、損害賠償請求や削除請求などの民事手続に進むことが可能となります。
2 手続の流れ
①IPアドレスの特定
最初に、投稿先のサイト(掲示板やSNSなど)の運営者に対し、当該投稿に関するログ情報(IPアドレスやタイムスタンプ)の開示を求めます。多くの場合、仮処分の形で裁判所に申し立てを行います。
②接続プロバイダの特定と開示請求
IPアドレスから、投稿時にそのIPを使用していた接続元のプロバイダが判明します。続いて、そのプロバイダに対して、契約者情報の開示を求める訴訟(または仮処分)を提起します。
③本人特定と損害賠償請求へ
プロバイダから開示された情報をもとに、投稿者本人を特定し、損害賠償請求訴訟などの本案手続へ進みます。
3 裁判例:SNS投稿に対する開示命令
ある裁判例では、Twitter上における誹謗中傷投稿について、IPアドレスおよび契約者情報の開示が認められました。裁判所は「違法性が明らかで、開示を受ける正当な理由がある」と判断しています。
このように、開示が認められるかどうかは、投稿内容の違法性、被害の程度、開示請求の必要性などを総合的に判断して決せられます。
発信者情報の開示は、時機を逃すとログが消去され、特定が不可能になるリスクがあります。問題のある投稿を発見したら、まずは画面のスクリーンショットやURLの記録を行い、速やかに弁護士に相談することが重要です。
また、プロバイダやSNS事業者との交渉・裁判手続には専門的知識が必要であるため、専門家のサポートを受けながら対応することをおすすめします。

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デジタルタトゥーにご注意ください
インターネットトラブルに巻き込まれたけれども弁護士に相談してよいか分からず、近くの役所などに相談すればよいのか、といったご質問をいただくことがあります。
弁護士は有料での相談も多く、また相談をするにも敷居が高いと感じられる傾向があるようです。
そのような方にご紹介することもあるのですが、違法・有害情報相談センターや消費生活センターという組織へのご相談も一つの方法であり、実際に多数の相談が寄せられているようです。
本日は、弊事務所に寄せられたご相談を踏まえ、デジタルタトゥーに関してご紹介いたします。
1 デジタルタトゥーについて
デジタルタトゥーという表現を聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
最近ではよく使われるようになった表現ではありますが、簡単に言うと、インターネット上に掲載されてしまった情報を完全になかったものとすることは非常に困難(ほぼ不可能)ということです。
インターネットは非常に便利なものであり、情報収集が容易にできるだけではなく、個人が情報を掲載することも非常に容易です。
ただ、インターネットの利用に慣れてきてしまうと、感覚がある意味マヒしてしまい、自身の個人情報等を簡単にインターネット上にアップロードしてしまう方がいらっしゃいます。
後悔先に立たずと言いますが、一度インターネット上にアップロードしてしまった情報を完全に消去することはできないと考えた方がよいですので、情報をアップロードする際にはくれぐれも慎重にご判断いただくことを強くお勧めいたします。
2 インターネットトラブルが発生した場合には早めに弁護士を含む専門家にご相談ください
インターネットトラブルは老若男女を問わず誰もが巻き込まれるリスクがあるトラブルです。些細なことがきっかけで自分が加害者となってしまうところもインターネットトラブル特有のリスクであると考えております。
また、インターネットトラブルは不特定多数が関与しますので、自身が思っていた以上の大規模なものとなってしまうというリスクもあります。
しかしながら、基本的にはインターネットの利用者にとっては匿名のやり取りが多いという安心感もあるためか、なかなか自分のこととして実感を持つことができない方が多い印象です。 お気持ちは分かりますが、一人で悩んでインターネット上での玉石混交の情報に触れるとますます混乱してしまうと思います。そのため、自分がインターネットトラブルに巻き込まれてしまったと思われた場合には、まずは弁護士を含む専門家にご相談いただき、迅速かつ慎重に対応方針を検討いただくことを強くお勧めいたします。

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