誹謗中傷・名誉毀損の加害者の責任について

1 誹謗中傷・名誉毀損の加害者の責任について

インターネット上の匿名掲示板やSNS上で他者への誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿を書き込んでしまった方の責任については、基本的には以下の3つの視点から検討することが重要です。

(1)民事上の責任について

他者に対する誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿を書き込んだ場合、被害者に対して不法行為責任(民法709条、710条)を負うことになります。

そのため、被害者からは慰謝料請求がなされることになります。

書き込んでしまった投稿内容の質や量によって認められる慰謝料額は異なりますので、慰謝料額の相場というものはなかなか観念しづらいところがありますが、請求額としては、数十万円~百数十万円程度請求される場合が多い印象です。

(2)刑事上の責任について

他者に対する誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿を書き込んだ場合、刑法上は、名誉棄損罪(刑法230条)又は侮辱罪(刑法231条)に該当する可能性があります。

法律上、名誉棄損罪は「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」が科される可能性があり、侮辱罪は「拘留又は科料」が科される可能性があります。

名誉棄損罪で被害届や刑事告訴をされた場合に、公判まで進むことは多くはなく、略式起訴の処分で終了する場合がほとんどではあります。

しかしながら、略式起訴で罰金を数十万円支払う場合も前科となってしまうことは間違いありませんので、略式起訴で終わるのであれば適切な対応をしないでも大丈夫であると考えることは非常に危険であると言えます。

(3)社会的な責任について

社会的な責任ということは非常に抽象的な表現ではありますが、他者に対する誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿を書き込んだという事実が、加害者の方が帰属する社会、例えば家族や勤務先等に知られてしまうことで発生する道義的な責任も含めた責任のことを指します。

2 勤務先からの解雇を含む懲戒処分のリスクについて

上記1(3)でも触れましたが、他者に対する誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿を書き込んだという事実を、加害者の方の勤務先が把握してしまうケースがあります。

このような場合、勤務先によっては、私生活上の非違行為に該当するとして加害者の方に対して解雇を含む懲戒処分等を行う場合もございます。

当該リスクについてはあまり認識のない方も多い印象ではありますが、実情として、このようなリスクも存在する点には注意が必要です。

3 早期に弁護士にご相談いただくことが重要です

上記のとおり、他者に対する誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿を書き込んだ場合、加害者の方には、

  1. 民事上の責任
  2. 刑事上の責任
  3. 社会的な責任

が発生する可能性があり、いずれに関しても適切に対応をしていくことが非常に重要です。

被害者の方から何らかの連絡があった場合には、加害者の方は非常に混乱してしまい冷静な状態ではないことが通常であり、適切な対応をすることが出来ない可能性が高いと言えます。

そのため、被害者の方から連絡があった場合には可能な限り早期に弁護士にご相談いただくことが重要ですし、自身が他者に対する誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿を書き込んでしまったという認識がある場合には、被害者の方から連絡がくる前に弁護士にご相談いただくことも重要です。

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0358774099電話番号リンク 問い合わせバナー