Archive for the ‘広告関連法務’ Category

不表示が問題となる場合

2022-02-23

1 不表示が問題となる場合

景表法においては、優良誤認表示や有利誤認表示が不当表示であるとして禁止されております。

通常は広告表示に記載した内容が問題となりますが、重要な事実を記載しない不表示の場合においてもこれらの禁止される不当表示に該当する場合があります。

「聞かれなかったから答えなかった。嘘はいっていない」というような方便は通用しませんので十分注意する必要があります。

以下では、不表示が違法な広告表示に該当すると判断された事例をご紹介いたします。

2 不表示が違法な広告表示であると判断された事例

①ダイヤル104に関して、接続手数料が実際にはかかるにも関わらず、これを適切に広告表示をすることなく、通話料が割高になる場合があることを広告表示をしなかった事例について、適切な広告表示をしなかったことで、あたかもダイヤル104の利用には料金が発生せず従来と同様の金額で通話できるかのように表示していることは、禁止される有利誤認表示(景表法5条2号)に該当するとしては排除命令が課された事例があります(平成20年3月13日公正取引委員会による排除命令)。

②中古自動車の販売に関して、「保証付き」の表示を広告で行ったものの、実際には保証は有償にて付帯しているものであった事例について、一般消費者に対して無償で保証がついているかのように誤信させるものであるため、景表法で禁止される有利誤認表示(景表法5条2号)に該当するとして措置命令が課された事例があります(平成29年12月8日消費者庁による措置命令)。

3 広告のリーガルチェックは弁護士にご相談ください

広告表示に関しては様々な法規制がありますので、慎重にリーガルチェックを行う必要があります。

単なる広告規制違反にとどまるので、大事にはならないだろうと高を括る方も稀にいらっしゃいますが、非常に危険な対応であると言わざるを得ません。

広告規制違反の場合には、措置命令や課徴金納付命令といった行政処分が課される場合もあるほか、刑事罰が科される場合もあります。

また、広告規制に違反したことについて、「消費者をだまして商品を売っていた悪徳業者」等のレッテルをインターネット上の評判として定着してしまうと、短期的に信用を回復することは困難であり、ビジネスに大きな悪影響が発生することになります。

当事務所は、企業法務やインターネットトラブル、広告法務を幅広く取り扱っておりますので、お困りのことがありましたらお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

強調表示と打消表示

2022-02-16

1 強調表示と打消表示

広告表示に関しては、事業者にとっては、消費者やユーザーに対して、自社の商品や役務の素晴らしさを伝える主要な方法となりますので、できるだけ、自社の製品や商品の良い部分を強調して伝えようとすることが多いのが実情です。

それ自体は、悪いことではなく、営利活動の一環ではありますが、行き過ぎた広告表示がなされてしまうと、消費者に悪影響となりますので、景表法等で規制されることになります。

また、強調して表示している内容に例外がある場合には、消費者に分かりやすいように打消表示を行うことが必要であり、打消表示が十分でない場合には、景表法上禁止される不当表示に該当すると判断される場合があるため、十分注意する必要があります。

以下では、打消表示が十分ではないとして景表法上の不当表示に該当すると判断された事例を紹介いたします。

2 打消表示が不十分であると判断された事例

令和元年9月20日付け消費者庁の措置命令に係る事例

(1)事例

女性用下着に関して、「人間工学に基づいた設計により履くだけでダイエットを実現!」、「自宅で簡単に脚ヤセ、理想的なクビレを手に入れるならヴィーナスカーブ」等と広告表示をしていた。

なお、広告表示においては、「効果の感じ方には個人差があります。効果効能を保証するものではありません。」との打消表示が記載されていた。

(2)判断内容

消費者庁が、販売会社に対して、景表法7条2項に基づき、当該広告表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料は提出されたものの、資料としては当該広告表示の裏付けとなる合理的なものとまでは認められなかった。

そして、打消表示は不十分であると判断し、景表法5条1号に該当する優良誤認表示に該当すると判断した。

3 広告のリーガルチェックは弁護士にご相談ください

強調表示と打消表示のように、判断が難しいものも含め、広告のリーガルチェックは様々な法規制を網羅的に検討する必要があります。

違法な広告である旨の判断をされてしまうと、措置命令や課徴金納付命令等の行政処分が下される可能性がありますし、また民事上の不法行為責任を負うリスクもあります。

また、企業の評判にも悪影響が生じ、ビジネス上大きなデメリットとなります。

当事務所は、企業法務やインターネットトラブル、広告法務を幅広く取り扱っておりますので、広告のリーガルチェックを含めてお困りのことがありましたらお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

広告に登場する芸能人等が民事上の責任を負うと判断される場合

2022-02-09

1 広告に登場する芸能人が民事上の責任を負うと判断されるかどうか

広告に登場する芸能人は、広告の内容に影響を与えるべき地位にはないことから、広告を信じた結果損害を被った人がいた場合でも、損害賠償責任を負うことは基本的にはないのではないか、というご質問をいただくことがあります。

結論としては、一定の場合には、単に広告に登場していた芸能人であっても民事上の損害賠償責任を負うこともあり、実際にそのような責任が認められた事例もございます。

本日は、この事例をご紹介いたします。

2 広告に登場する芸能人が民事上の責任を負うと判断された事例

大阪地判昭62年3月30日判タ638号85頁

(1)事例

事例としては、不動産の売買に関する虚偽の広告を信用して不動産を購入した結果損害を被った原告が、当該不動産の広告ビデオやパンフレットなどで不動産の優良性を強調していた芸能人に対して民事上の損害賠償請求を行った、というものです。

(2)判旨

裁判所は、被告が原告に販売した土地は利殖の対象となりえないものであり、利殖対象物件として売ること自体詐欺に該当すると判断しました。

その上で、広告に登場した芸能人についても、不動産のパンフレットに掲載した推薦文は、著名な芸能人である同人の立場から土地を推薦しており、これにより不法行為を容易にしたことは明らかであり、しかも同人はその推薦を裏付ける調査を行っていない以上過失も認められるとして、推薦文の交付を受けた上で土地を購入した原告の当該芸能人に対する民法719条2項に基づく損害賠償請求を認めました。

3 広告のリーガルチェックは非常に重要です

インターネットやSNSの普及により、広告は多種多様な態様で掲載され、また、その量も膨大なものとなっています。

広告主だけが責任を負うのだから、出演する分には特に問題ないだろうと考える方もいらっしゃいますがこれは非常に危険な考えであると言わざるを得ません。

上記の事例のとおり、広告に出演するだけで民事上の責任が認められてしまう場合がありますし、また、法的な責任だけではなく、違法な広告に登場していたということだけで、インターネットやSNS上で「悪質な人間」である旨のレッテルを貼られてしまい、一般人からの信頼性が失墜してしまいます。

このような状態になってしまうと、その後のビジネスや様々な活動に大きな支障となってしまいます。

そのため、広告のリーガルチェックは、単に広告を掲載する広告主だけではなく、出演する芸能人等にとっても非常に重要なものといえます。

当事務所は、企業法務、インターネットトラブル、広告法務等を幅広く取り扱っております。

何かお困りのことがありましたらお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

広告媒体者や広告代理店が責任を負うと判断された事例

2022-02-02

1 広告関連法規に違反した場合に雑誌社や広告代理店が責任を負うかどうか

景品表示法上で禁止される優良誤認表示や有利誤認表示を行った場合に、措置命令や課徴金納付命令の対象となるのは、あくまでも広告主です。

また、特商法や健康増進法等その他の法律上も、広告規制違反をした場合に行政処分の対象となるのは、基本的には広告主です。

しかしながら、広告媒体者や広告代理店が違法な広告表示に関して民事上の責任を負うと判断された事例もありますので、本日はその内の一つの事例をご紹介いたします。

2 広告媒体者や広告代理店が責任を負うと判断された事例

大阪地判平成22年5月12日判時2084号37頁

(1)事例の紹介

事例としては、原告が、被告A社が発行するパチンコ情報を掲載する雑誌を購入し,当該雑誌に掲載されていたパチンコの「打ち子」の募集、及び高確率でパチンコに勝つ攻略法を提供するという2件の公告を見て,それぞれの広告主に電話したところ、虚偽の話に騙されて、結局、保証金等の名目で金員を詐取されたとして,被告A社及び本件各広告を雑誌に提供した広告代理店B社に対して、不法行為による損害賠償請求をした事案です。

(2)判旨の紹介

裁判所は、「雑誌広告は,雑誌上への掲載行為によって初めて実現されるものであり,その広告に対する読者らの信頼は,当該雑誌やその発行者に対する信頼と全く無関係に存在するものではなく,広告媒体業務にも携わる雑誌社及びその広告の仲介・取次をする広告代理店としては,雑誌広告の持つ影響力の大きさに照らし,広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって,読者らに不測の損害を及ぼすことを予見し,又は予見し得た場合には,真実性の調査確認をして虚偽広告を読者らに提供してはならない義務があり,その限りにおいては雑誌広告に対する読者らの信頼を保護する必要があると解され,その義務に違反した場合は不法行為が成立すると解される。」と判示し、雑誌の広告主の詐欺行為を認定した上で、被告らの過失による不法行為責任を肯定しました。

もっとも、原告側にも過失があるとして過失相殺も認めました。

この判例は、「広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情」があるかどうかを判断の前提としておりますので、必ずしも、広告媒体者や広告代理店に対して広告内容の真実性の調査確認義務を幅広く認めたとまでは言い切れません。

しかしながら、広告媒体者や広告代理店が責任を負う場合があることを判示した点は非常に参考となる裁判例であることは間違いないものと考えられます。

3 広告のリーガルチェックに関しては、まずは弁護士にご相談ください

広告のリーガルチェックは、様々な法規制を踏まえて行う必要がありますので、継続的に弁護士にご相談いただくことが重要です。

広告上のトラブルが発生した場合には、行政上の責任、刑事罰、民事上の責任、一般消費者からの信頼の低下等様々なデメリットがありますので、可能な限りそれらのデメリットの発生は避けた方がビジネスにとって望ましいことは間違いありません。

当事務所は、企業法務、インターネットトラブル、広告法務等を幅広く取り扱っておりますので、広告上のトラブルなど広告に関してお困りの場合にはまずはお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

広告媒体者や広告代理店が責任を負う場合

2022-01-26

1 広告関連法規に違反した場合に広告媒体者や広告代理店が責任を負うかどうか

景品表示法上で禁止される優良誤認表示や有利誤認表示を行った場合に、措置命令や課徴金納付命令の対象となるのは、あくまでも広告主です。

また、特商法や健康増進法等その他の法律上も、広告規制違反をした場合に行政処分の対象となるのは、基本的には広告主です。

しかしながら、広告媒体者や広告代理店が違法な広告表示に関して民事上の責任を負うと判断された事例もありますので、注意が必要です。

2 広告媒体者や広告代理店が責任を負うと判断された事例

マンション広告に関する最高裁判決をご紹介いたします(最三小判平元・9・19裁判集民157号601頁)。

(1)事例の紹介

事例としては、未完成のマンションの販売広告をした不動産業者が倒産したため、広告を見て購入の契約をしたものの、マンションを入手できず既払内金の返還も受けられなくなった上告人が、広告を掲載した新聞社及び広告社に対し、損害賠償を求めたというものです。

(2)判旨の紹介

最高裁は、新聞社及び広告社は、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって読者らに不測の損害を及ぼすおそれがあることを予見し又は予見し得た場合には、真実性の調査確認をして虚偽広告を読者らに提供してはならない義務があるところ、本件広告掲載をした当時、新聞社及び広告社が真実性の確認義務があるのにこれを怠って広告掲載をしたものとはいえないとして、上告人らの請求を棄却した原審の判断は正当としてこれを是認することができると判示しました。

この判例は、あくまでも「広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情」があるかどうかを判断の前提としておりますので、必ずしも、広告媒体者や広告代理店に対して広告内容の真実性の調査確認義務を幅広く認めたものではありません。

そのため、一般化することはできませんが、このように、広告媒体者や広告代理店が責任を負う場合があることを判示した点は非常に参考となる判例と考えられます。

3 広告のリーガルチェックに関しては、まずは弁護士にご相談ください

広告のリーガルチェックは、様々な法規制を踏まえて行う必要がありますので、継続的に弁護士にご相談いただくことが重要です。

広告上のトラブルが発生した場合には、行政上の責任、刑事罰、民事上の責任、一般消費者からの信頼の低下等様々なデメリットがありますので、可能な限り広告上のトラブルの発生は避けた方がビジネスにとって望ましいことは間違いありません。

当事務所は、企業法務、インターネットトラブル、広告法務等を幅広く取り扱っておりますので、広告上のトラブルなど広告に関してお困りの場合にはまずはお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

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