中古自動車の走行距離に関する虚偽記載について

1 中古自動車の走行距離に関する虚偽記載について

中古自動車の走行距離に関する虚偽記載があったケースについて、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成26年11月26日付措置命令)。

事案の概要としては、中古自動車の販売事業者が、ウェブサイト上等において走行距離について「6.3万km」等という内容の広告表示をしていました。

このような記載がある場合、一般消費者としては、その表示のとおり、走行距離が6.3万kmであるものと考えるところです。

しかしながら、実際には、走行距離は、11万km程度あることが判明しました。

その結果、このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

中古自動車において、その走行距離は、購入するかどうかを判断する上で極めて重要な要素となります。走行距離が多くない場合には、ほぼ新品のように使用することができますし、走行距離が10万kmを越えているよう場合には、相当程度使用されていることが分かります。そのため、購入者が実際の走行距離を理解していれば消費者の相当程度は当該購入をしなかった可能性が非常に高いことは明白です。

したがって、本件広告表示によって一般消費者の消費者行動は異なるものとなったと考えられますので、本ケースが優良誤認表示として違法な広告表示であったことに異論はないでしょう。

なお、仮に業界の慣行としてこのような表示がなされていたとしても、そのような慣行は一般消費者には関係ありません。

「多少の大げさな表示は普通にのことなので問題ないのではないか、自分だけ指摘されるのはおかしい」という抗弁は一切効果がありません。

いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されない点には十分注意することを心がける必要があります。

2 商品の広告表示の正確性は企業への信頼につながります

最近のインターネットやSNSの利用状況を踏まえますと、インターネット上の評判や書き込み等には最大限注意する必要があります。

特にインターネット上の集客に力を入れている場合には、インターネット上の書き込みは直ちに大きく売上に悪影響を及ぼすと考えるべきであり、商品の広告表示の信用性は、そのまま企業への信頼につながるものと理解すべきです。

企業への信頼を維持し、円滑なビジネスの運営行うためには、広告表示を適切に行うことに常に注意するとともに、第三者の視点を加味する意味でも広告表示に対するリーガルチェックを日常的に適切に実施していただくことを強くお勧めいたします。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、広告表示に関する定期的なリーガルチェックをはじめ、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

keyboard_arrow_up

0358774099 問い合わせバナー 無料法律相談について