輸入・輸出を業として行われている方は、犯則調査という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
知り合いの会社が、税関から犯則調査を実施され大変な事態となっていた等の経験がある方も相当程度いらっしゃるものと思われます。
本日は犯則調査の概要についてご紹介いたします。
1 犯則調査の状況について
税関が公表する情報を踏まえてご説明いたしますと、
①平成29事務年度の処分件数は841件(内金地金の件数は、720件)
②平成30事務年度の処分件数は536件(内金地金の件数は、404件)
③令和元事務年度の処分件数は271件(内金地金の件数は、199件)
④令和2事務年度の処分件数は36件(内金地金の件数は、20件)
⑤令和3事務年度の処分件数は39件(内金地金の件数は、13件)
犯則調査の対象となった事件としては、平成30事務年度までは、金地金の密輸事案が非常に多かったと言えます。
しかしながら、伝染病の影響で海外との往来に制限が掛かった昨今はそもそも密輸事案が発生する状況になり得ませんので、全体の件数自体が非常に減っております。
ただ、この傾向はあくまでも伝染病由来のものですので、基本的には、年間で1000件前後は犯則調査を踏まえて処分が実施されたものと考えてよいでしょう。
2 犯則調査の対象となった場合
犯則調査の対象となった場合には、非常に動転しどうしてよいか分からないと混乱してしまう方も多い一方で、刑事事件ではないから大丈夫だろう等と高を括ってしまう方もいらっしゃいます。
犯則調査とは、要するに脱税事件の調査であり、場合によっては刑事事件に発展する場合もあります。そのため、安易な対応は非常に危険であると言わざるを得ません。
ただ、その一方で恐怖のあまり、早く事件を解決させようと虚偽の主張や自白をしてしまおうとされる方もおりますが、このような対応は絶対にとってはいけません。このような対応を取るとどこかで整合性が取れず、ますます厄介な状況となってしまうでしょう。
冷静に対応しつつ、税関側の調査に協力し、自分が行ってしまったことの反省をしていただくことが重要ではありますが、なかなか一般の方で突然このような対応を取ることは至難の業といえるでしょう。
まずは、冷静に落ち着いて状況を確認し、その後の流れを確認する意味でも、万一犯則調査の対象となってしまった場合には、速やかに弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、犯則調査の対象となった場合には、まずはご相談ください。