カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」といいます)問題は、今や社会問題の一つとなっており、その対応は企業にとって急務となっております。
2025年4月1日には、東京都のカスハラ防止条例が施行されますので、企業としてはカスハラ問題に迅速に対応することが求められており、具体的には。以下のポイントを押さえることが重要です。
このページの目次
1 カスハラの定義を企業として明確化する
カスタマーハラスメントの判断基準が曖昧だと、現場での対応が混乱しがちです。
そのため、企業はカスハラ対策の出発点として「正当なクレーム」と「不当な言動」の線引きを明確にする必要があります。
例えば、暴言や威圧的な態度、誹謗中傷などを具体的に示し、社内に周知することで従業員も安心して、かつ自信をもって対応できるようになります。
ここを不透明にしてしまうと、現場によっては問題を表面化させることを防ぐため、直接顧客に対応する従業員に全てを押し付けてしまうといった事態にもなりかねませんので注意が必要です。
2 相談窓口の設置と報告体制
従業員がカスハラ被害に遭った際、すぐに相談できる窓口がなければ問題が放置されてしまいますし、問題が顕在化することもありません。
企業は専用の相談窓口を設置し、報告から対応までのフローを整備することが求められます。さらに、現場の管理職にも「カスハラ事案への適切な初期対応」を教育することが重要です。
3 法的対応の準備
SNSやインターネットでの個人に対する誹謗中傷は、従業員の名誉や企業ブランドを大きく傷つけます。
万一このような被害が発生した場合には、弁護士等の専門家と連携し、発信者情報の開示請求や損害賠償請求を検討することが重要です。
また、悪質な脅迫行為があった場合は、警察への通報も視野に入れた対応が必要です。
4 顧客への啓発活動
企業は顧客にも「過剰な要求や暴言はハラスメント行為にあたる」という理解を促す活動を行うべきです。
ポスターや自社のウェブサイトで啓発するほか、サービスの場面でも「従業員を守る姿勢」を示すことで、カスハラの抑止につながります。
正当なクレームはきちんと受けてビジネスの改善につなげる必要がありますが、不当なクレームには毅然とした対応をする必要があります。
企業がカスハラ問題に真摯に向き合うことは、従業員の安心・安全を守るだけでなく、企業の信頼とブランド価値を守ることにもつながります。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。