貨物を輸入する場合のよくあるトラブルですが、法律や規制、その他の理由により、予定通りに輸入できない場合があります。
この記事では、輸入が制限される具体的なケースをいくつか挙げ、それぞれ解説していくことにいたします。
このページの目次
1 輸入禁制品の場合
日本では法律によって輸入が禁止されている貨物があり、これには麻薬や銃火器、特定の動植物などが含まれます。
例えば、ある企業が海外から装飾用の植物を輸入しようとした際、その植物が外来種規制に該当し、輸入が禁止されていたケースがありました。
このような事態を避けるためには、
①貨物の輸入計画の段階で、商品が「関税法」「植物防疫法」「動物検疫法」などに抵触しないかを確認します。
②商品の輸入可否を事前に税関や専門機関に問い合わせることが重要です。
③万が一、輸入禁止品と判明した場合、契約内容を見直し、代替品への変更や契約解除を検討します。
2 書類不備による通関拒否
貨物を輸入する際には適切な書類の提出が求められますが、記載内容の不備や不足が原因で通関が拒否されることがあります。
例えば、輸入品の原産地証明書やインボイスに記載された情報が不完全だったため、輸入が遅延したケースはよくあります。
このような事態を避けるためには、
①必要な書類を輸入元と事前に確認し、不足がないよう準備します。
②書類不備が発覚した場合、速やかに正確な書類を輸入元から取得し、税関へ再提出します。
③書類作成時には、専門の通関士や弁護士等の専門家のアドバイスを受けることでミスを防ぎます。
3 貨物の損傷や品質問題
輸送中に貨物が損傷したり、輸入後に品質が基準に達していないことが発覚する場合があります。例えば、海外から輸入した食品が保存条件の不備により劣化していたケースが挙げられます。
このような事態を避けるためには
①輸送契約時に、保険を付保し、万が一の損害に備えます。
②商品到着時には、貨物の状態を確認し、損傷や問題があれば輸入元と交渉を行います。
③問題が解決しない場合、契約違反として損害賠償請求を検討します。
4 規制変更や制裁措置による輸入制限
国際情勢や規制の変更により、特定の国や地域からの輸入が禁止または制限されることがあります。例えば、ある国が経済制裁を受けたため、その国からの製品が輸入できなくなったケースがありました。
このような事態を避けるためには、
①国際情勢や貿易政策の動向を定期的に把握することが重要です。
②制裁対象となった場合は、第三国を経由した輸入や代替製品の検討を行います。
③規制変更に関する法律問題については、弁護士に相談することで適切な対応策を講じられます。
5 貨物を輸入する際には事前準備を丁寧に行いましょう
貨物輸入における問題は多岐にわたり、それぞれに応じた迅速かつ適切な対応が求められます。事前の調査や準備を徹底することが最善の予防策ですが、問題が発生した場合には、法律や契約の観点から対応策を検討する必要があります。
不測の事態に備えるためにも、少しでも不安な点がある場合には、通関士や弁護士等の専門家に事前に相談することをお勧めします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。