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通告処分について
先日のコラムにおいて、通告処分の概要をご紹介いたしました。
本日は、犯則事件の際に、検察官に告発される場合についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
通告処分は行政処分ですが、検察官に告発された場合には刑事事件となりますので、対応には十分注意する必要があります。
1 検察官への告発について
以下の犯則事件については、通告処分をすることなく、検察官にその処分を委ねることが適当であるため、直ちに告発するものとされています。
①申告納税方式が適用される貨物に係る関税に関する犯則事件(関税法144条)
税関職員は、関税法110条1項1号(関税を免れる等の罪)又は111条1項2号(許可を受けないで輸出入する等の罪)の罪にかかる犯則事件の調査により犯則があると思料するときは、直ちに検察官に告発しなければなりません(関税法144条)。
②販促嫌疑者の居所が明らかでないとき、上場が懲役の刑に処すべきものであるとき等(関税法145条、146条2項)。
③犯則者の居所が明らかでない等のため、通告することができないとき(関税法147条2項)
また、犯則者が通告処分を受けた場合に葉、20日以内に通告の旨を履行しないときは、税関長は、検察官に告発しなければなりません(関税法147条1項)。
ただし、上記の20日を経過したとしても、犯則者が、告発前に履行した場合には、告発は行われません。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
年少者の危険有害業務等の就業制限について
年少者、妊娠中の女性等、一定の労働者には、就業制限がある場合があります。
このような就業制限については、使用者は正確に理解している必要があり、正確な理解がない場合には、使用者が気づかない間に法令違反状態に陥ってしまうリスクがありますので、十分注意する必要があります。
そこで、本日は、年少者の危険有害業務等の就業制限について、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 年少者の危険有害業務等の就業制限について
まず、使用者は、年少者を、運転中の機会・動力伝動装置の危険な部分の掃除・注油・検査・修繕、運転中の機会・動力伝動装置へのベルト・ロープの取り付け・取り外し、動力によるクレーンの運転、その他厚生労働省令で定める危険業務・重量物取扱業務につかせてはなりません(労働基準法62条1項)。
また、同様に、使用者は、年少者を、毒劇薬等の有害な原材料、爆発物性、発火性。引火性の原材料取扱業務、著しくじんあい・粉末を飛散し、もしくは有毒ガス・有害放射線を発散する場所、高温・高圧の場所における業務、その他安全・衛生・福祉に有害な場所における業務につかせてはなりません(同2項)。
なお、風俗関連業務における年少者の使用が労働基準法違反として問題となるのは、労働基準法62条に基づき、安全上・衛生上の有害業務に加えて、福祉上有害な業務として、主席に侍する業務(年少則8条44号)、特殊の遊興的接待業における業務(同45号)等が就かせてはならない業務として指定されていることによります。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
労災補償・労災保険給付と損害賠償の調整について
労災補償・労災保険給付を取得しているにもかかわらず、別途相手方から損害賠償の支払いを受ける場合には、一つの損害に対して二重のてん填を得ることになってしまいます。
労災の被害者であるので、それくらい得てもいいのではないか、とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、損害のてん補という観点からは、二重のてん補を受けてしまうと不当利得となってしまいます。
そこで、本日は、労災補償・労災保険給付と損害賠償の調整についてご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。
1 労災補償・労災保険給付と損害賠償の調整について
労働災害に対する救済には、①労基法上の労災補償、②労災保険法による労災保険給付、③民事損害賠償(労災民訴と呼ばれることもあります。)の3つの手段がありますが、二重の損害てん補を避けるため、これらの相互調整が問題となります。
まず、使用者の①労基法上の労災補償責任は、②労災保険給付が行われるべき場合には免除されます(労働基準法84条1項)。
また、①労働基準法上の労災補償を行った場合、同一事由については、その価格の限度で使用者は③民事損害賠償責任を免れることも明記されております(同2項)。
これに対して、②と③の関係については、明文の規定がありませんが、(一部分については労災保険法64条)、労働基準法84条2項を類推適用して、②労災保険給付がなされた場合、同一事由については、その価額の限度で使用者の民事損害賠償責任は消滅する、と解されています。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
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関税の納期限の延長について
本日は、申告納税方式により輸入する貨物の関税の納期限の延長について、ご紹介いたします。
1 関税の納期限の延長について
申告納税方式が適用される貨物(ただし、特例申告貨物を除きます。以下同様です。)を輸入する者は、当該納税申告をした貨物の関税の納期限について延長を受けたい旨を税関長に申請し、かつ、その関税額に相当する担保を税関長に提供した場合には、3月以内に限り納期限の延長を受けることができます(関税法9条の2第1項、第2項)。
2 個別延長について
申告納税方式が適用される貨物の輸入者が、個々の輸入申告ごとに、納税申告をした関税の納期限について、税関長に対してその延長を受けたい旨の申請書を提出し、かつ、当該輸入申告書に記載した関税額の全部または一部に相当する担保を税関長に提供して延長が認められた場合には、当該提供した担保の額を超えない範囲内で、輸入の許可の日の翌日から3日以内に限り納期限が延長されます(関税法9条の2第1項)。
3 包括延長について
申告納税方式が適用される貨物の輸入者が、特定月の前月末日までに、当該特定月中に輸入しようとする貨物に課されるべき関税の納期限について、その延長を受けたい旨の申請書を輸入の予定地を所轄する税関長に提出し、かつ、特定月において輸入しようとする貨物に係る関税額の合計額に相当する額の担保を税関長に提供して延長が認められた場合には、特定月における関税額の類型学が当該提供した担保の額を超えない範囲内で、特定月の末日の翌日から3月以内に限り納期限が延長されます(関税法9条の2第2項)。
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年次有給休暇の時季指定権について
年次有給休暇が労働者にとって非常に重要な制度であることはこれまでのコラムにおいてご紹介してまいりました。
年次有給休暇は基本的には労働者が自由に取得することができることが原則的なルールではあります。もっとも、労働者が一斉に年次有給休暇を取得する等、一定の場合には、労働者の年次有給休暇の自由な取得を認めると企業の業務にとって非常に重大な影響が生じる可能性があります。
そこで、労働基準法上、企業の時季変更権が認められておりますが、原則としてはあくまでも労働者が自由に取得日を決定できます。
本日は、このような年次有給休暇の時季指定権をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 年次有給休暇の時季指定権について
時季という言葉からわかる通り、休暇時期の特定については、「季節」と「具体的時期」の2つの指定方法があることを前提としており、厳密には両者を分けて検討する必要があります。
まず、労働者が具体的に始期と終期を特定して時季指定を行った場合、使用者が適法な時季変更権を行使しない限り、その時季に年次有給休暇が成立し、当該労働日の就労義務が消滅します。
その意味で、このような時季指定権は、形成権と把握され、適法な時季変更権を解除条件としてその効果が発生します。
このような時季指定権行使の公課が発生するのは、あくまでも、具体的に始期と終期を特定した休暇の時季指定についての判断であることには注意が必要です(白石営林署事件・最判昭和48・3・2民集27・2・191等)。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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納税義務者が自ら関税額を訂正する方法について
貨物の輸入をビジネスとして行っている方の中には、貨物の輸入後に輸入申告価格が間違っていたことが判明したため、輸入申告価格を訂正し、納税した関税額を訂正したいと考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本日は、輸入申告価格に誤りがあった場合に、納税義務者が自ら関税額を訂正する方法についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 納税義務者が自ら関税額を訂正する方法
(1)修正申告について
納税申告をした者又は納税申告を必要とする貨物についてその輸入の時までに納税申告がないことにより税関長から決定を受けた者は、納税申告、税関長が行った構成又は決定に係る課税標準又は納付すべき関税額が、その本来納付すべき関税額よりも過少であった場合には、自発的にその関税額を増額変更する申告をすることができます(関税法7条の14)。
このような増額変更のための申告を修正申告といいます。
(2)更正の請求について
また、納税申告をした者は、納税申告をした関税額又はこれについて税関長が行った更正にかかる関税額が本来納付すべき関税額よりも過大であった場合には、その過大な税額について、税関長に対して減額すべきことを請求することができます(関税法7条の15第1項)。
この税関長に対して税額の減額を請求することを更正の請求といいます。
更正の請求は、修正申告とは異なり、あくまでも税額の減額を税関長に対して請求するという形式となっている点には注意が必要です。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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通関業者の補完的納税義務について
原則的な関税の納税義務者が輸入者である点については、先日のコラムでご紹介いたしました。
もっとも、例外的に通関業者が納税義務者となる場合もあります。
そこで、本日は、通関業者が納税義務を負う場合についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 通関業者の補完的納税義務について
貨物を輸入した場合、関税の原則的な納税義務者は、貨物の輸入者となります。
通関業者は、輸入者から委任を受けて、輸入者を代理して輸入貨物の通関業を行っているに過ぎませんので、通関業者が納税義務者になることは通常はありません。
しかしながら、通関業者は、通関業務に当たっては輸入者から通関に関する権限を委任されて税関に対する手続きを行うので、通関業者が委任された代理権限を越えて無権代理に類似するような行為をした場合には、例外的に、輸入者と連帯して補完的納税義務を負います(関税法13条の3)。
なお、通関業者が例外的に、輸入者と連帯して補完的納税義務を負うこととされているのは、「輸入の許可又は輸入の許可前引取りの承認を受けて引き取られた貨物について、納付された関税額に不足がある場合」において、以下の2つの要件を充足した場合に限られます。
①その輸入の許可又は輸入の許可前引取りの承認の際に当該貨物の輸入者とされたものの住所又は居所が明らかではなく、又はその者が輸入者でないと申立て、
②かつ、当該貨物の輸入に際してその通関業務を取り扱った通関業者が、その通関業務の委託をした者を明らかにすることができなかったとき
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

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税関職員の調査権限の概要について
本日は、税関職員の調査権限の概要をご紹介いたします。
まず、関税等に関する法律の規定による職務の執行を円滑にし、これらの法律の実施の確保に支障がないようにする目的から、税関職員には、輸出入貨物について、輸出入者等に対して質問し、当該貨物についての帳簿書類を検査する権限が与えられております(関税法105条1項4号の2、6号)。
なお、この質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないものとされております(関税法105条4項)。
1 輸出された貨物に係る調査
税関においては、輸出された貨物について、その輸出手続きなどに疑義が生じたような場合にその輸出手続等について再調査する必要があります。
このようなことから、税関職員は、輸出者、その輸出に係る通関業務を行った通関業者、当該輸出の委託者その他の関係者に質問し、又は当該貨物についての帳簿書類を検査することができることとされております(関税法105条1項4号の2)。
2 輸入された貨物に係る調査
貨物の輸入については、申告納税方式が前提とされているので、必ずしも、法令の規定に従った正しい申告が行われているとは限りません。
そのため、適正かつ公平な課税を実現するために、輸入貨物の通関後に納税申告が関税法等の規定意従って正しく行われているか否かを確認し、不適正な申告がある場合には、これを是正するとともに、併せて輸入者に対して適正な申告を行うよう指導する仕組みとして、輸入事後調査制度が導入されています。
輸入事後調査は、関税法105条1項6号の規定に基づいて実施されており、同号においては、税関職員の権限として、「輸入された貨物に付いて、その輸入者、その輸入に係る通関業務を取り扱った通関業者、当該輸入の委託者」、「その他の関係者に質問し、又は当該貨物を検査すること」ができることとされています。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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郵便物の検査について
郵便物の輸出入通関手続は、通常の貨物の輸出入とは異なる特別な手続が取られておりますが、検査に関しても通常の貨物の場合とは異なる手続が想定されております。
そこで、本日は、郵便物を輸出入する際の税関における郵便物の検査について、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 郵便物の検査について
そもそも、郵便物に関してですが、日本郵便株式会社は、郵便物(信書のみを内容とするものを除きます。)を受け取ったときは、当該郵便物を輸出入しようとする者から、当該郵便物について関税法67条の輸出入申告を行う旨の申出があった場合を除き、当該郵便物を税関長に提示する必要があります(関税法76条3項)。
税関長は、日本郵便株式会社から提示された郵便物の提示を受けたときは、国際郵便を利用して不正な郵便物が輸出入されることを防止するため、当該郵便物について税関職員に必要な検査をさせます(関税法76条1項ただし書)。
税関職員は、郵便物の検査をする場合には、日本郵便株式会社の職員の立会いを受けることが必要です(関税法施行令66条の2第1項)。
以上の規定は、輸出入申告を要する20万円を超える輸出入郵便物に係る検査についても準用されます。
なお、税関職員は、検査をすべき郵便物の中に親書があると認められる場合には、郵便物の発送人又は名宛人に当該検査を受けるべき郵便物を開示させ、又はその承諾を得た上で、当該検査をする必要があります(関税法施行令66条の2第2項)。
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配転命令が制限される場合について
従業員の配転は、企業の人事の一環として、労働契約上特段の合意がない限りは会社が自由に決定できるとお考えの経営者の方は多くいらっしゃいます。
しかしながら、一定の場合には、特段の合意がないにもかかわらず配転命令が無効と判断される場合もありますので注意が必要です。
本日は、このような判断をした裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。
1 ジャパンレンタカー事件(津地判平31・4・12労経速2396・34)
原告の勤務先をA5店又は近接店舗に限定する旨の合意が成立しているとまではいえないとしても、具体的な原告の事情からすれば、被告会社には、原告の勤務先がA5店又は近接店舗に限定するようにできるだけ配慮すべき信義則上の義務があるというべきであり、本件配転命令が特段の事情のある場合に当たるとして、権利濫用になるかどうか判断するに当たっても、この趣旨を十分に考慮すべきであるといえる。
また、アルバイトにすぎない原告を配転してA6店に補充しなければならないほどの事情を認めることはできず,この観点から本件配転命令が必要であったとは認め難い。
したがって、本件配転命令は権利の濫用として無効というべきである。
上記裁判例は、あくまでも従業員の特殊な事情に基づく判断ではありますが、具体的な事情等によっては、特段の合意がない場合でも、信義則上の義務として会社の配転命令権が制限される可能性がある点は非常に重要ですので、是非ご注意ください。
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