税関からの照会対応~誤解を防ぐ説明方法とは?

輸入申告後、税関から「照会書」、「確認依頼書」などの形で連絡を受けることがあります。

これは、申告内容に関して税関が確認・補足を求める手続きであり、対応を誤ると差止や追徴の対象になりかねません。

今回は、税関照会に対する適切な対応方法と、誤解を防ぐ説明のコツについて解説いたします。

 

1 税関からの照会はなぜ届くのか?

税関は、輸入申告の内容に不明点や疑義がある場合、通関業者や輸入者に対して「照会」を行います。

主な目的は、関税評価・原産地・HSコード・規制対象かどうかの確認です。

典型的な例としては、

①商品名が抽象的で、HSコードの分類が判断できない

②原産地証明書の記載に不備がある

③無償供与や値引きの事実が疑われる

④FTA特恵税率の適用可否に関する裏付けが不十分

こうしたケースで、税関からの照会が行われます。

 

2 照会を受けた際の基本対応

照会に対しては、できるだけ速やかに、かつ明確に回答することが原則です。

対応の流れは次のとおりです。

①照会内容を正確に把握する

何が問題視されているのかを的確に読み取ります。

2社内関係者と情報を整理する

仕入先、経理、通関業者などと連携し、事実を確認します。

3証拠資料とともに文書で回答する

口頭ではなく、書面またはメールで、説明と裏付け資料を提出します。

税関側は公的な立場で手続きを行っているため、誠実で明確な回答を行えば、スムーズな対応が得られる可能性もあります。

 

3 誤解を防ぐ説明のポイント

照会対応では、「事実は正しいが、説明が足りずに誤解されてしまう」ことが多くあります。以下の点に注意しましょう。

①使い慣れない専門用語は避け、平易な日本語で記載する

②「~のため、~の取引となっております」など、因果関係を明示する

③「これは~ではなく、~に該当します」といった対比説明を加える

④証拠資料には、ハイライトや注釈を加えると理解されやすくなります

⑤不明点や懸念点については、あえて補足することで信頼性を高める

 

4 回答期限・対応ミスのリスク

照会には通常期限が設けられており(3〜5営業日程度)、これを過ぎると申告が「不備あり」と判断され、通関保留、ペナルティ、追徴課税の対象になる場合があります。

また、照会対応を通関業者に任せきりにしてしまうと、実際の取引実態と異なる説明がされてしまうリスクもあるため、輸入者自身の関与が重要です。

 

5 弁護士の活用が有効なケース

①内容が複雑で、文書化に自信がない場合

②税関と見解が分かれており、専門的な法解釈が必要な場合

③照会が繰り返されており、リスクを感じている場合

弁護士が関与することで、説得力ある説明文の作成や、税関との交渉支援が可能となります。

 

税関からの照会は、輸入申告がスムーズに通過するかどうかを左右する重要な局面です。

誠実かつ明快な説明、事実と根拠に基づいた回答を心がけ、誤解のないコミュニケーションを図ることがポイントです。

当事務所では、照会対応の文案作成、資料整備、税関との交渉支援まで幅広く対応しております。ご不安な場合は、お気軽にご相談ください。

 

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