輸入・輸出を業として行われている方は、犯則調査という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
また、税関から犯則調査を実施された場合には会社の存亡にかかわる重大な事態となってしまう等の噂や事例を聞いたことがある方も相当程度いらっしゃるものと思われます。
本日は税関から公表されている犯則調査の具体的な事例についてご紹介いたします。
1 犯則調査の事例について
例年、犯則調査の内、7割前後は金地金に関する密輸事件が占めている状況です。
金地金に関する密輸事件に関して税関のHPにて公表されている具体的な事例を紹介いたしますと、
犯則者は、マレーシアから入国する際に、金地金4キログラムを身辺に隠匿し、税関長の許可を受けることなく輸入しようとした事案において、消費税及び地方消費税約150万円を不正に免れようとしました。そして、その後の税関による犯則調査の結果、犯則者は、過去、マレーシア、シンガポール及び台湾から入国する際に、同様の手口で金地金合計62キログラムを税関長の許可を受けることなく輸入し、消費税及び地方消費税約2200万円を不正に免れていたことが認められました。
2 犯則調査の対象となった場合
犯則調査の対象となった場合には、突然のことで動転してしまい混乱してしまう方も多い一方で、刑事事件ではないから大丈夫だろう等と高を括ってしまう方もいらっしゃいます。
犯則調査とは、要するに脱税事件の調査であり、場合によっては刑事事件に発展する可能性も十分にありますので、実質的には刑事事件と同様の対応が必須です。そのため、安易な対応や軽率な対応は非常にリスクがあるものであると言わざるを得ません。
他方で、恐怖のあまり、早く事件を解決させようと虚偽の主張や虚偽の自白をしてしまおうとされる方もおりますが、このような対応は絶対にとってはいけません。このような対応を取るとどこかで客観的な事実との間での整合性が取れず、さらに税関から厳しい追及を受けることになる等厄介な状況となってしまうでしょう。
冷静に対応しつつ、税関側の調査に協力し、自分が行ってしまったことの反省をしていただくことが重要ではありますが、なかなか一般の方で突然このような対応を取ることは至難の業といえるでしょう。
まずは、冷静に落ち着いて状況を確認し、その後の流れを確認する意味でも、万一犯則調査の対象となってしまった場合には、速やかに弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、犯則調査の対象となった場合には、まずはご相談ください。