「ノーワーク・ノーペイの原則、というものがあると聞いたのだが、どういった内容の原則なのか?概要だけでも教えてくれないか?」といったご相談をお受けすることがあります。
このような場合、ノーワーク・ノーペイの原則は、会社内における就業規則や労働協約をはじめとする各種の規程の存在や、労働契約の具体的内容によっては適用されることがない原則であるということを伝えた上で、あくまでも概念としての当該原則の内容のご説明を行うにとどまることが通常です。
もっとも、労使関係においては前提ともいえる原則であり、理解しておくことは重要といえますので、以下では、ノーワーク・ノーペイの原則の概要をご紹介いたします。
このページの目次
1 ノーワーク・ノーペイの原則について
労働契約は、労務を提供し、賃金を支払うという有償、双務契約です。
そのため、労務の提供がない以上は、賃金請求権は発生しないのが原則であり、このことを指して、ノーワーク・ノーペイの原則といいます。
以上を踏まえ、労働契約で労働すべきことが定められている日である所定労働日に欠勤、遅刻、早退などで従業員が労働できなかった場合には、一般に従業員の都合による労働契約の不履行に該当しますので、ノーワーク・ノーペイの原則に従い、使用者の賃金支払義務がなくなることになります。
具体的には、従業員が遅刻、早退、私用外出などにより提供すべき労務を提供しなかった時間がある場合にその時間に応じて賃金を減額することは、基本的には、ノーワーク・ノーペイの原則から適法ということになります(ただし、上記のとおり、各種の規程等の内容によってはその限りではありません。)。
2 ノーワーク・ノーペイの原則の例外
ノーワーク・ノーペイの原則をそのまま適用することで、従業員に対して過度な負担を強いることになると認められる場合には、具体的な事情を踏まえて、例外的に当該原則が適用されないケースも考えられます。
もっとも、これはあくまでも非常に例外的な場合にとどまり、一般的な話ではないという点には十分注意する必要があります。
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