こんな時は弁護士に~知的財産関連の紛争について~

知的財産権侵害物品は、輸出入が制限、禁止されています。

以下では、知的財産権侵害物品の輸出入の制限・禁止に関する概要をご紹介いたします。

 

1.並行輸入について

知的財産権侵害物品の輸出入の制限・禁止に関する概要のご紹介の前に、知的財産権侵害物品のイメージを持っていただく観点から、よく問題となる並行輸入に関する論点を簡単にご紹介いたします。

並行輸入とは、貨物の輸入販売に関して海外ブランド等と代理店契約を結んでいない輸入者が、海外で合法的に製造された真正品を、日本の正規の代理店等の許可を得ずに海外から輸入することです。

一般に、ブランド品は、その商標権を持つ海外ブランド等から日本の代理店が仕入れ、日本で販売される、という流れが取られます。そして、当該ブランドについては、日本国内では、日本の代理店が商標登録をしているケースが多く、原則として当該代理店からの許可を得ない限り、当該ブランド品を輸入販売することは商標権の侵害に該当すると考えられます。

しかしながら、並行輸入については、一定の要件を満たす場合、商標権の侵害に該当しないと判断されております(関税法基本通達69の11-7)。

具体的には、ブランド品の並行輸入が認められるためには、以下の3つの要件を充足する必要があります。

  1. 当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けたものにより適法に付されたものであること(輸入商品の真正商品性)
  2. 当該外国における商標権者と日本の商標権者が同一人であるかまたは法律的もしくは経済的に同一人と同視しうるような関係があることにより当該商標が日本の登録商標と同一の出所を表示するものであること(内外権利者の実質的同一性)
  3. 日本の商標権者が直接的にまたは間接的に当該物品の品質管理を行いうる立場にあり、当該物品と日本の商標権者が登録商標を付した物品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価されること(品質の実質同一性)

なお、上記のとおり真正品の並行輸入は、商標権の侵害に該当しない可能性がありますが、真正品を模したコピー商品の場合は知的財産権を侵害する物品として輸入が禁止されておりますので、ご注意ください(関税法第69条の11第1項第9号)。

 

2.知的財産権侵害物品の輸入・輸出規制の概要

(1)知的財産権侵害物品の輸入・輸出の禁止

特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権等を侵害する物品等については、関税法第69条の2及び69条の11において輸入・輸出が禁止されております。これらの物品等を輸入しようとした場合には、税関に没収され、処分場において、裁断・焼却等の処置がなされます(関税法第69条の11第2項)。

ただし、当該物品が、権利者から許諾を得たものである等の場合には、輸入・輸出が認められております。

 

(2)輸入・輸出差止申立制度

以下では、輸入差止申立制度をご紹介いたします(同様の制度が輸出の場合も存在します。)。

特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権等を有する者は、税関長に対し、自己の知的財産権を侵害すると認める貨物が輸入されようとする場合には、侵害物品か否かを認定するための手続を執るよう申立てることができます。ただし、税関において、権利者が提出した証拠等を審査し、侵害の事実を確認することができない場合等一定の場合には、その申立ては受理されないことがあります。

この場合、税関長は、認定手続が終了するまでの間に輸入者が被るおそれのある損害(逸失利益、倉庫保管料等)の賠償を担保するため、必要に応じて、申立人に対し、相当と認める額の金銭を供託するよう命令することができます。この命令に従わない場合には、税関長は、認定手続を取り止めて輸入を許可する場合があります。

認定手続を終了したときは、認定結果が権利者及び輸入者に通知されます。そして、申立人の知的財産を侵害すると認定した場合には、税関長は、その貨物を没収することができます。

輸入差止申立ての要件としては、主に以下の3つの要件が必要です。

  1. 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権等を有する権利者であること
  2. 権利の内容に根拠があること(権利の有効性については、特許庁等への登録によって有効(著作権等は除く)となり、登録申請中のものについては、輸入差止申立てを行うことができませんので、ご注意ください)
  3. 権利侵害の事実が確認できること(すでに貨物が日本に輸入されている場合に加え、今後日本に輸入されることが見込まれる場合も含みます)

当事務所では、通関士資格を有する代表弁護士が中心となり、輸入・通関に関するサポートを幅広くご提供しております。自社が知的財産権侵害物品を輸入する可能性があるとお考えの場合や、自社が有する知的財産権を侵害される可能性があるとお考えの場合には、いずれの立場からのご相談もお受けしておりますので、ご遠慮なくご相談ください。

 

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