Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category

インターネット上では行動の前に冷静に考えましょう

2022-08-04

1 インターネット上では、行動の前に一瞬冷静に考えましょう

インターネット上では、インターネットが発展する前には到底できなかったことが容易にできます。

例えば、不特定多数人に対して自身の意見や考えを表明することは、インターネットが登場する前は、雑誌や新聞、テレビなどのマスメディアを利用しなければほぼ不可能でした。

しかしながら、インターネットが登場して以降は、これらのマスメディアを利用しないでも自身のSNSを利用すれば世界中の不特定多数人に対して自身の考えを伝えることが可能です。

実際、10代の間では、新聞やテレビなどのマスメディアはほとんど利用せず、動画投稿サイト(アプリ)の配信者やインフルエンサーにより強く影響を受ける傾向が強くあると考えられております。

また、インターネットが登場する前は、いわゆる海賊版といった違法な著作物が横行していた側面はありますが、現在のように、著作物を簡単に複製できる状態とまではなっておりませんでした。

現在は、誰でも簡単に著作物を複製、頒布することが出来る状態となってしまっており、インターネット上には、非常に残念なことではありますが、違法にアップロードされた著作物が大量に存在している状況です。

以上のとおり、インターネット上の行動は、これまでとは比較にならない大きな意味合いを持つものとなっております。

影響力が大きく非常に便利である側面がある一方で、一歩間違えれば違法な行為となってしまいます。

したがって、インターネット上では、何らかの行動をする前に一瞬立ち止まり、その行動が問題ないものかどうかを確認することが非常に重要です。

2 迷ったら行動しないことの重要性

インターネット上では、その行動が違法性を帯びるかどうかは紙一重の側面があります。

特に誹謗中傷や名誉棄損といった問題については、論評等の枠内といえるか、それともその域を逸脱したものなのか、といった点は紙一重な部分も強くあります。

また、インターネット上での第三者の権利侵害行為については、発信者情報開示請求の対象となりますので、行為者が特定される可能性も相当程度あります。

したがって、インターネット上では、自身の行動が違法なものかどうかわからない場合には行動を行わないことが重要です。

弊事務所は、著作権侵害を含むインターネットトラブル(Bittorrent等のファイル共有ソフトの利用に伴う発信者情報開示請求への対応を含む)を幅広く取り扱っておりますので、発信者情報開示請求への対応等でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。

どこから他者の権利侵害となるのか

2022-07-28

1 他者に対する権利侵害には十分ご注意ください

インターネットを利用する場合、匿名性ゆえに他者の権利侵害に対する心理的なハードルが下がってしまう方が一定程度存在することは残念ながら否定できないところです。

例えば、有名人は言うに及ばず、知人についても少しでも気に食わないことがあればSNSや匿名掲示板において誹謗中傷や名誉棄損に該当する表現を投稿してしまうといったことをしてします方は相当程度いらっしゃいます。

また、インターネット上で違法にアップロードされている著作物について違法性があることを認識しつつダウンロードしてしまうという方も相当程度いらっしゃいます。

さらには、インターネット上で気に入ったアイコンや画像があったことから自身のSNSのアイコンなどに無断で使用してしまうといったケースもございます。

これらの行為は、第三者に対する名誉権侵害、著作権侵害、肖像権侵害等に該当します。

インターネット上での行為であることから心理的なハードルが下がっているようですが、現実問題としては、多数の公衆の面前で第三者を罵倒すること、他者の著作物を代金を使用せずに無断で使用すること、他人の写真を勝手に撮影して利用することに該当しますので、問題であることは一目瞭然ではあるものの、インターネット上という特殊性から心理的なハードルが下がってしまうということが実情のようです。

2 トラブルが発生してしまった場合

第三者の権利を侵害するインターネット上での行為は、発信者情報開示請求の対象となり、行為者が特定される可能性は十分ありますし、その結果、最終的には多額の損害賠償が課されることにつながりかねません。

他方で、発信者が特定された後で、(自称)権利者側が慰謝料等の名目で法外な金額を賠償金として請求してくることも残念ながらありますので、安易には対応せず、自分の行為を反省しつつも慎重に対応することが重要であるということにも留意が必要です。 弊事務所は、著作権侵害を含むインターネットトラブル(Bittorrent等のファイル共有ソフトの利用に伴う発信者情報開示請求への対応を含む)を幅広く取り扱っておりますので、発信者情報開示請求への対応等でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。

インターネットトラブルについて

2022-07-21

1 インターネットの類型

インターネットトラブルといっても、多岐にわたります。

代表的なものとしては、①SNSや匿名掲示板上における名誉棄損、誹謗中傷に関するトラブル、②インターネット上における著作権や商標権、肖像権の無断使用に関するトラブル、③ECサイト等におけるインターネット上の取引に関するトラブル、④インターネットの利用に伴うコンピューターウイルスによるPCやスマホ等の感染トラブル、といったものがあげられます。

このうち、④に関しては純粋な技術上の問題も多くかかわりますので、弁護士にご相談いただくというよりは、専門的な業者に直接問合せを行い、対応を検討することが必要です。

他方で、①から③は、いずれも弁護士にご相談いただくべきトラブルとなります。

ただし、①、②、③のいずれも対応可能な弁護士もいれば、一部のみしか対応していない弁護士もおりますので、その弁護士の対応分野をご確認いただき、お問合せいただく必要がある点にはご留意ください。

2 他人の権利侵害には十分ご注意ください

インターネットやSNS上での軽はずみなソフトウェアのダウンロードやアップロードと言った行為は、著作権法に違反するものとなりますし、自分としては何気ない投稿が他者の権利を侵害してしまっているということも、残念ながら非常によくあることです。

インターネット上において、他者の権利を侵害すると、発信者情報開示請求の対象となり、行為者が特定される可能性は十分ありますし、その結果、最終的には多額の損害賠償が課されることにつながりかねません。

そもそも上記の各問題行為については、著作権法、刑法上の刑事罰も規定されているものであり、犯罪に該当する可能性も非常に高い行為と言わざるを得ません。

他の人も行っていることだから大丈夫だろう、といった軽い気持ちで対応をすることは非常に危険です。

他方で、発信者が特定された後で、(自称)権利者側が慰謝料等の名目で法外な金額を賠償金として請求してくることも残念ながらありますので、安易には対応せず、自分の行為を反省しつつも慎重に対応することが重要であるということにも留意が必要です。 弊事務所は、著作権侵害を含むインターネットトラブル(Bittorrent等のファイル共有ソフトの利用に伴う発信者情報開示請求への対応を含む)を幅広く取り扱っておりますので、発信者情報開示請求への対応等でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。

DM等に関する対応について

2022-05-05

インターネットトラブルに関して代表的な類型の一つは、インターネット上の匿名掲示板やSNS上における誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿に関するトラブルです。

これに対して、ダイレクトメール(DM)や、フリーメール、プロバイダメール等の1対1でのやり取りにおいてトラブルが発生する場合もあります。

もっとも、プロバイダ責任制限法の対象外となりますので、通常の発信者情報開示請求等では対応することはできません。

そのため、これらの媒体におけるトラブルについては何らの対応も取ることができないと考えられることも多いのが実情ではありますが、一切何の対応も取ることができないというわけではありません。

以下では、各媒体ごとに、対応方法をご紹介いたします。

1 フリーメールの場合

フリーメールの場合、メールアドレスを送信する際にメールサーバーに接続されたIPアドレス等の開示を求めていくことが考えられます。

この開示を求める方法としては、弁護士会照会を利用する場合、または提訴前の証拠保全手続を行うことが考えられます。

2 プロバイダメールの場合

プロバイダメールの場合、アクセスプロバイダがプロバイダ契約者の情報を保有していることが考えられます。

そのため、弁護士会照会の方法、又は提訴前の証拠保全手続を利用することが考えられます。

3 DMの場合

DMに関してどのSNSかによってコンテンツプロバイダが保有している情報は異なります。

もっとも、情報を開示する手続としては、弁護士会照会又は提訴前の証拠保全手続である点は、上記1や2と同様です。

以上のとおり、DM等に関しては、通常の発信者情報開示請求の射程外となりますので、独自の対応が必要となる点には注意が必要です。

4 まずは弁護士にご相談ください

DMにおけるトラブルの場合には、利用できる法的手続きは限定されておりますが、一切何の対応もできないというわけではありません。

そのため、最終的にはどのような対応を取るにせよ、まずは弁護士にご相談いただき、慎重に対応をご検討いただくことをお勧めいたします。

当事務所は、インターネットトラブルに関して、被害者の方からのご相談、加害者の方からのご相談のいずれについても幅広くお受けしております。

インターネットトラブルに関してお悩みの方は、ご遠慮なく当事務所までご相談いただけますと幸いです。

仮処分手続の一般的な流れについて

2022-04-14

インターネットトラブルの代表的な類型には、誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿に関するトラブル、プライバシー侵害に関するトラブル、著作権侵害に関するトラブル、肖像権侵害に関するトラブルといったものがあります。

いずれについても、問題の投稿の削除を求める場合、投稿者の特定を試みる場合には、法的手続である仮処分手続を利用することが必要となる場合が多くあります。

本日は、仮処分手続の一般的な流れについてご紹介いたします。

1 仮処分手続の一般的な流れ

①仮処分の申立

②債権者面接

(③再面接:申立書や疎明資料に不備がある場合には、再面接が指定されることになります)

④双方審尋:債権者と債務者の双方が裁判所に呼び出され、主張、反論を行うことになります。

⑤担保決定:供託金の金額や納付期間、また場合によっては第三者供託の許可等が通告されます。

⑥供託手続:法務局において供託手続を進めます。

⑦発令:供託手続を経て取得した供託書正本、目録等を裁判所に納めた後に、仮処分決定が発令されます。

なお、問題の投稿の削除仮処分手続や投稿者の特定のための発信者情報開示請求にかかる仮処分手続の場合には、⑦の後、コンテンツプロバイダが、削除処理やIPアドレス(及びタイムスタンプ)の開示処理が行われますが、一部のコンテンツプロバイダは、保全異議等の不服申し立てを行ってくる場合がありますので、注意が必要です(不服申し立てを行うコンテンツプロバイダはある程度決まっておりますので、最初の段階から不服申し立てが行われる前提で対応をすることが重要です。)。

その後、供託金の取戻手続を行うことになります。

2 まずは弁護士にご相談ください

インターネットトラブルの解決を試みる場合には、仮処分手続を利用することは非常に多くあります。

しかしながら、仮処分手続様々な手続を迅速に取る必要がありますので、弁護士にご依頼いただかないと対応が難しいことが通常です。

したがいまして、最終的にどのような対応を選択するにせよ、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

当事務所は、インターネットトラブルに関して、被害者の方からのご相談のみではなく、加害者の方からのご相談も幅広くお受けしております。

インターネットトラブルでお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談いただけますと幸いです。

インターネット上の肖像権侵害について

2022-04-07

インターネットトラブルの代表的な類型の一つに、インターネット上の匿名掲示板やSNS上における肖像権の侵害があります。

自身が被写体となっている写真を無断で掲載されている場合には、無条件で肖像権侵害に該当すると考えられがちですが、法的には必ずしも肖像権侵害に該当しない場合もありますので、注意が必要です。

以下では、肖像権侵害の概要をご紹介いたします。

1 肖像権侵害の概要について

肖像権侵害を検討する際には、①撮影されない人格的利益と、②公表されない人格的利益の2段階を分けて検討することが重要です

すなわち、撮影の違法性により、公表の違法性の判断基準が変わります。

なお、肖像権侵害と類似の論点として、パブリシティ権の侵害というものがあります。当該写真が有する顧客吸引力の利用を専ら目的とする場合には、パブリシティ権の侵害の問題となります。

(1)撮影が違法な場合

被撮影者の明示又は黙示の承諾がない場合には、①被撮影者の社会的地位、②撮影された被撮影者の活動内容、③撮影の場所、④撮影の目的、⑤撮影の態様、⑥撮影の必要性等の事情を総合考慮して、社会生活上受忍の限度を超えるものであると判断される場合には、撮影は違法と判断されています。

なお、撮影が違法であると判断される場合、当該写真を公表することは当然に違法となります。

(2)撮影が適法である場合

上記(1)の検討、判断の結果、撮影が適法である場合、写真を公表することが違法であるかどうかを判断、検討していくことになります。

具体的には、写真の公表が社会生活上の受忍の限度を超えるものであるかどうかで判断します。

以上のとおり、肖像権侵害は2段階で検討、判断されることとなります。

2 まずは弁護士にご相談ください

上記のとおり、肖像権侵害といっても、法的には、複数の観点から検討を進めることが必要です。

最終的にどのような対応を選択するにせよ、まずは弁護士にご相談いただき、そもそも肖像権の侵害に該当するかどうかという点から慎重にご検討を進めていただくことをお勧めいたします。

当事務所は、インターネットトラブルに関して、被害者の方からのご相談のみではなく、加害者の方からのご相談も幅広くお受けしております。

インターネットトラブルでお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談いただけますと幸いです。

インターネット上のプライバシー侵害について

2022-03-31

インターネットトラブルの代表的な類型の一つに、インターネット上の匿名掲示板やSNSにおけるプライバシー侵害というものがあります。

プライバシーの該当性や、プライバシー侵害の該当性など、一般の方の認識とは異なる部分もあり、自分としてはプライバシー侵害に該当すると考えていたにも関わらず、法的にはプライバシー侵害とまで認められなかったというようなケースもあります。

そこで、以下では、プライバシー侵害の考え方についてご紹介いたします。

1 プライバシーの考え方について

プライバシーの考え方ですが、いわゆる「私生活上の事実」だけではなく、「私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがら」についてもプライバシーとして保護の対象となっています。

そのため、投稿された内容が「真実」ではない場合でも、プライバシーに該当するケースもあります。

2 プライバシー侵害の考え方について

問題となっている投稿について、以下の6つの要素等を総合考慮し、事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較考量し、前者が後者に優越する場合に、プライバシー侵害が認められます。

①事実の性質及び内容、②事実が伝達される範囲と具体的被害の程度、③対象者の社会的地位や影響力、④投稿の目的や意義、⑤投稿が掲載された時の社会的状況とその後の変化、⑥事実を記載する必要性

3 まずは弁護士にご相談ください

プライバシー侵害は、被害者にとっては非常に重要な問題ですが、加害者側の立場からは軽い気持ちでなされていることも珍しくはありません(むしろ、そちらの方が多い印象であり、加害者側は明確にプライバシー侵害と認識していないケースも相当程度あります。)。

上記のとおり、そもそもプライバシーに該当するのかどうか、また、該当するとして、プライバシー侵害にがいとうするかどうかを判断する必要があります。法的な観点を踏まえた検討が必要となりますので、最終的にどのように対応するかはさておき、まずは弁護士にご相談いただき、慎重に対応を検討いただくことをお勧めいたします。

当事務所は、インターネットトラブルの被害者の方からのご相談のみではなく、加害者の方からのご相談も幅広くお受けしております。

インターネットトラブルでお悩みの場合には、まずはご遠慮なく当事務所までご相談いただけますと幸いです。

名誉権侵害における社会的評価の低下について

2022-03-24

インターネットトラブルの代表的な類型は、インターネット上の匿名掲示板やSNSにおいて、誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿がなされたというものです。

誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿の問題点を法的に整理すると、要するに被害者の名誉権侵害に該当するということであり、反対に、一見すると誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿であっても法的には名誉権侵害には該当しないと判断されてしまうケースもあります。

そこで、本日は名誉権侵害の判断の中心的な論点となる「社会的評価の低下」の考え方に関して、ご紹介いたします。

1 「社会的評価の低下」の有無の考え方

まずは、問題となっている投稿について、まず「一般読者の通常の注意と読み方」を基準にして、当該投稿をどのような内容・趣旨であると理解できるかを検討する必要があります。例えば、関係者がじっくりと呼んだ場合には、「社会的評価の低下」にはつながらないと判断できる投稿であっても、「一般読者の通常の注意と読み方」を基準にすると社会的評価が低下したと判断できる場合には、名誉権侵害に該当するとの主張が可能です。

なお、「一般読者」の範囲については、一定の属性を持った読者や、一定の知識を有する者に限定した裁判例もあります。

また、裁判においては、社会的評価の判断に際しても、問題の書き込みがなされたスレッドにおける他の書き込みの内容や書き込みがなされた経緯等を考慮することが認められております。

このように、社会的評価の低下の判断については裁判上特殊な考え方が用いられていることには十分注意することが必要です。

2 まずは弁護士にご相談ください

以上のとおり、名誉権侵害の該当性の有無の中心的な論点である「社会的評価の低下」に関しては、法的な視点から正確に整理し主張をすることが非常に重要です。

最終的にどのような対応を取るにせよ、まずは、弁護士にご相談いただき、問題となっている投稿が法的に「釈迦的評価の低下」と言えるかどうかを慎重にご検討いただくことをお勧めいたします。

なお、当事務所では、インターネットトラブルに関して、被害者の方からのご相談、加害者の方からのご相談のいずれについても幅広くお受けしております。

弁護士へのご相談にはハードルがあるとお感じの方もいらっしゃいますが、そのようなことはございませんので、まずはご遠慮なくお問合せいただけますと幸いです。

名誉権侵害の判断基準の概要

2022-03-17

インターネットトラブルで代表的なものは、インターネット上の匿名掲示板やSNS上における誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿がなされるというものです。

この場合には、名誉権侵害の有無を検討することになります。

以下では、名誉権侵害を検討する上で重要な論点をご紹介いたします。

1 名誉権侵害を検討する上で重要な論点

(1)問題の投稿が事実摘示か意見論評か

問題の投稿でお悩みの被害者側の立場では、事実摘示として投稿を整理して主張することの方が圧倒的に多いのが実情です。なぜなら、事実摘示側として整理主張した方が、立証の観点からは圧倒的に有利となるからです(反対に、意見論評型としてしか構成できない場合には、名誉権侵害を立証することは非常に難しいといえます。)。

問題の投稿が事実摘示か意見論評かどちらに該当するかの判断基準は、「証拠等をもってその存否を決することが可能か否か」です。実際のところ、なかなか判断が難しい(どちらとも解釈できる)場合が多いといえます。

(2)違法性阻却事由の要件

問題の投稿が事実適示型である場合、①公共の利害、②公益目的、③摘示事実の重要部分が真実であること、3つが判断要素となります。

他方で、問題の投稿が意見論評型の場合、上記①②に加え、③前提事実の重要部分が真実であること、④人身攻撃に及ぶ等意見ないし論評としての域を逸脱したものではない、の4つが判断要素となります。

実際のところでは、問題の投稿が事実摘示型の場合は、③の要素が主たる争点となり、他方で、意見論評型の場合は、③または④の要素が主たる争点となります。

2 名誉権侵害を主張する場合には、弁護士へのご相談をご検討ください

以上のとおり、名誉権侵害の判断基準は一見すると明確ではありますが、実際にはなかなか判断が難しい場合が多いというのが実情です。

被害者の方のみでの対応では困難といえますので、最終的にどのような対応を取るにせよ、まずは弁護士にご相談いただき慎重に対応を検討いただくことをお勧めいたします。

当事務所では、インターネットトラブルを幅広く取り扱っております。

インターネットトラブルの被害者の方、加害者の方を問わず、ご相談をお受けしておりますので、インターネットトラブルでお悩み方は、ご遠慮なく当事務所までご相談いただけますと幸いです。

名誉権侵害における同定可能性について

2022-03-10

インターネットトラブルで最も多いものは、インターネット上の匿名掲示板やSNS上における誹謗中傷や名誉棄損に類する投稿がなされるというものです。

被害者の方は名誉権侵害を主張することになることが通常ですが、その際に、最初に問題となる論点は、同定可能性の論点です。

本日は、名誉権侵害における同定可能性の論点の考え方をご紹介いたします。

1 名誉権侵害における同定可能性の考え方

名誉権侵害における同定可能性の判断基準は、一般読者の注意と読み方となります。

ここで、「一般読者」といっても、国民一般が対象となるわけではありません(国民一般を判断基準とすると、同定可能性が認められるハードルは非常に高いものとなってしまいます。)。

そのため、①被害者の方を知らない読者であっても、インターネット上の投稿内容を踏まえると当該被害者の方を発見することができる場合や、②被害者の方の知人であれば、インターネット上の投稿内容を踏まえると、被害者のことと特定することができる場合、であれば同定可能性が認められるものと考えられております。

また、同定可能性を検討する上では、当該投稿の内容単体のみに基づいて判断するのではなく、「本件スレッドの他の書き込みの内容、本件書き込みがなされた経緯等を考慮」(最判平22・4・13民集64・3・758)することが認められている点も重要です。そのため、投稿内容単体では明確に被害者の方に言及していない場合でも、スレッドの前後の書き込みの内容から、被害者の方を言及していると判断できる場合には、名誉権侵害における同定可能性が認められますので、注意が必要です。

2 まずは弁護士にご相談ください

以上のとおり、名誉権侵害における同定可能性の判断は、法的な視点を踏まえて、慎重に検討を進める必要がある最初の論点となります。

そのため、最終的にどのような対応を進めるかは別として、まずは弁護士にご相談いただき、慎重に検討することが重要です。

当事務所は、インターネットトラブルを幅広く取り扱っております。

インターネットトラブルにおける被害者の方からのご相談、加害者からのご相談を問わずお受けしております。

インターネットトラブルでお悩みの方はご遠慮なく当事務所までご相談いただけますと幸いです。

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