Archive for the ‘広告関連法務’ Category
消費者庁による改善指導その2
消費者庁は、ロボット型全文検索システムを用いて、検索キーワードによる無作為検索の上、検索された商品のサイトを確認し、問題がある場合には改善指導を行うといった対応を行っております。
本日は、消費者庁が公開している令和5年1月から3月にかけての実績をご紹介いたします。
1 健康増進法65条1項
健康増進法65条1項では、以下のように誇大表示が禁止されています。
「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」
2 問題とされた表示
①生鮮食品に関して、生活習慣病予防、動脈硬化・高血圧予防、免疫力向上、肝臓機能強化、生殖機能活性化、老化防止に効果を有すること等を標ぼうする表示
②加工食品に関して、生活習慣病予防・改善、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞予防、免疫細胞活性化、肝機能改善、抗酸化・抗肥満・抗糖尿病作用、脂肪燃焼、脳細胞活性化・学習機能・認知機能向上に効果を有すること等を標ぼうする表示
③飲料等に関して、動脈硬化予防、脂肪肝予防、肝機能向上、二日酔い、免疫機能改善、新陳代謝促進、美白・保湿に効果を有すること等を標ぼうする表示
④健康食品に関して、(i)生活習慣病予防・改善、動脈硬化予防、腸管免疫力アップ、脂肪肝、二日酔い、骨粗しょう予防、白内障・緑内障予防、脳年齢・記憶力アップ、便秘・むくみ解消、ターンオーバー活性化に効果を有すること等を標ぼうする表示、また、(ii)女性ホルモンの活性化に働きかけ、ダイエット、デトックス、美肌、美爪、美髪に効果を有すること等を標ぼうする表示
3 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
消費者庁による改善指導について
消費者庁は、ロボット型全文検索システムを用いて、検索キーワードによる無作為検索の上、検索された商品のサイトを確認し、問題がある場合には改善指導を行うといった対応を行っております。
本日は、消費者庁が公開している令和5年4月から6月にかけての実績をご紹介いたします。
1 健康増進法65条1項
健康増進法65条1項では、以下のように誇大表示が禁止されています。
「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」
2 問題とされた表示
①加工食品に関して、高血圧予防、アレルギー対策、自然治癒力UP、歯周病・口内炎、便秘解消、血管の老化防止、血液サラサラに効果を有すること等を標ぼうする表示
②飲料等に関して、高血圧抑制・血圧降下作用、花粉症対策、アレルギー症状改善、口臭・加齢臭予防、自然治癒力、 老廃物排出、血液浄化、活性酸素除去、体内毒素の中和・排出、筋肉・血管・骨の老化防止、飲む脂肪吸引に効果を有すること等を標ぼうする表示
③健康食品に関して、高血圧・動脈硬化予防、自己治癒力向上、自然免疫細胞活性化、免疫・代謝・治癒力アップ、口臭・体臭・加齢臭改善、活性酸素除去、強肝・解毒作用、宿便排出、生理不順・骨粗鬆症の改善、細胞修復促進、NK細胞活性化に効果を有すること等を標ぼうする表示、また、女性ホルモンの活性化に働きかけ、デトックス、むくみ解消、アンチエイジング、痩身、肥満予防に効果を有すること等を標ぼうする表示
3 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
最新の裁判例その5
事業者にとって広告は消費者に対して自社の商品等の魅力を伝えるための重要な方法ですが、行き過ぎた広告表示を行う場合、有利誤認表示として景表法違反が問題とな
ったケースをご紹介いたします(名古屋地判令和元年12月26日(LLI/DB(判例秘書登載)))。
1 事案の概要
消費者契約法2条4項の適格消費者団体であるXが、健康食品Aをインターネット上で販売するYに対し、本件商品の購入契約は、実際は本件商品を最低4回は継続して購入することを条件として初回については本件商品を定価から84%割引した価格で購入できるものであるにもかかわらず、本件商品を1回だけ購入する契約であるかのように装い、又、最低4回は継続購入する契約であるから1回当たりの平均支払金額よりも初回の支払金額を低額とする必要性及び合理性がないにもかかわらず初回の支払金額を強調して表示するものであり、有利誤認表示に該当するとして、景表法30条1項2号に基づき当該表示の差止めを求めた事案です。
2 裁判所の判断
本件契約がいかなる内容の契約であるかについて関心を有する一般消費者であれば、記載に目を通すことが通常想定される。この点に加えて、本件契約の申込みを行うには、本件申込ボタンをクリックする必要があるところ、本件申込ボタンの真下には、本件募集要項3項として、赤字で、「初回を含め最低4回(4か月)以上のご継続がお申込みの条件です。」と記載され、本件契約の定期購入条件が明示されているため、健全な常識を備えた一般消費者において、最低4回の継続が必要であることは容易に認識し得るといえる。
3 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
最新の裁判例その4
本日は、消費者庁長官が行った措置命令が違法なものであるとして取消しを求めた裁判例をご紹介いたします。(東京高判令和2年10月28日(LLI/DB判例秘書登載))。
1 問題となった広告表示
主として以下の表現が問題とされました。
①「ボンヤリ・にごった感じに!!」、②「1日1粒(目安)30日分に納得!!」、③「60代でも衰え知らずが私の自慢!! ようやく出会えたクリアでスッキリ!!」、④「クリアな毎日に●●でスッキリ・クリアな毎日を実感、納得の1粒を体感出来ます。」、⑤「クリアさに納得できない毎日・・・放っておけないその悩み 40代を過ぎた頃から急激に増え始める気がかり。『読書に集中できない』『パソコンや携帯の画面が・・・』などの悩みを抱える方々が,高年齢化と共に増加中と言われる。そんな悩みをケアする、●●が、くもりの気にならない、鮮明な毎日へと導きます。」との記載のほか、
眼鏡を掛け,読み物をしている中高年男性の写真と共に「新聞・読書 楽しみたい方に□目からウロコの実感力!! 爽快なクリア感 ●●を今すぐ始めませんか? クリアな毎日を応援します。 『若い頃はもっとスッキリ,しっかりとしていたのに・・・』40代半ばを過ぎた頃から急激に衰えが始まるといわれています。●●とクリアな毎日との関係に早くから着目し、実感にこだわった7つの成分の濃縮配合を実現させました。多くのお客様より嬉しいお声をいただいている●●は1日1粒目安お飲み頂くことで,晴れやかな毎日をサポートします!」
との表現が問題とされました。
2 裁判所の判断
①広告中の表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がされていない
②表示は単に商品に含まれる●●が目に良い成分であるという一般的な内容にとどまらず、視覚の不良感が改善されるという商品の優良性を強調するものであり、目に良い成分を含むことが直ちに商品の効能・効果の実証になるとはいえない
3 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
最新の裁判例その3
本日は、デジタルコンテンツのプラットフォームの責任が問題となった事案をご紹介いたします(東京地判令和3年7月16日(LLI/DB判例秘書登載))。
1 事案の概要
Yが提供するデジタルコンテンツのプラットフォームに投稿された記事の有料部分の購入者であるXが、上記記事の無料部分には有料部分に重要な記載があるかのように誤信させる記載があるにもかかわらず、有料部分には価値のない4文字の情報しかなかった以上は当該記事の投稿者による投稿は欺罔行為として違法であるとし、プラットフォーマーであるYに関しても、各コンテンツの最低限の審査や調査をする義務等があることを理由として、Yに対して損害賠償請求を行った事案です。
2 裁判所の判断
①Yは、Aというデジタルコンテンツの配信プラットフォームを提供する事業者であるところ、そのようなプラットフォーマーの法的責任を定めた法令は見当たらない上、本件規約においても、デジタルコンテンツの有料販売をする場合には、クリエイターとユーザーとの間に直接の契約が成立すると明記されているとおり、Yは、配信記事の売買に関する契約の当事者ではないのであるから、Aを用いた配信記事の売買契約においてトラブルが生じたとしても、原則として、被告は責任を負わないというのが相当である。
②近年のデジタルコンテンツ等をめぐる実情に照らすと、プラットフォーマーが信義則上利用者に対し責任を負うことがあり得ることは一概には否定できないところであるが、本件においてYが本件記事の売買契約に実質的に関与していたとか本件記事が犯罪行為に利用されていることを知り得たなど、Yにおいて信義則上の責任を負うべき特別な事情があったと認めることはできない。
3 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
最新の裁判例その2
事業者にとって広告は消費者に対して自社の商品等の魅力を伝えるための重要な方法ですが、行き過ぎた広告表示を行う場合、景表法違反として措置命令等が下されることがあります。
本日は、措置命令が下されたことに対して事業者側が取消訴訟を提起した事案をご紹介いたします(東京地判令和4年4月28日(LLI/DB判例秘書登載))。
1 問題となった広告表示
商品に同封された広告冊子の記載が問題とされました。
問題とされた主要な部分は以下の通りです。
①表紙部分
「中年太り解決読本」という表題が記載され、その下、同じ服装を身に着けた太った体型の暗い表情をした女性のイラストと、痩せた体型の明るい表情をした女性のイラストが配置されていた。
「もう一度、あの頃のスリムな私に!」、「メーカーシェア日本一の中年太りサポート茶とは!?」等の文章が記載されていた
②冊子内の漫画部分
中年太りに悩むキャラクターが、該当の商品を日々の食事とともに毎日摂取すること等により、体重が減少して体型の変化を遂げ、これを見た家族も影響を受けて該当の商品の摂取を開始して体型の変化を遂げるというものである。
③裏表紙部分
各冊子の裏表紙部分には、中央部分に「Aで大違い」との文章が記載されており、その右側には「まだ、飲んでいない人。」との文言とともに比較的太った体型の女性の画像が掲載され、左側には「飲んでいる人。」との文言とともに比較的痩せた女性の画像が掲載されていた。
2 裁判所の判断
該当の広告表示が優良誤認表示に該当し、かつ裏付けとなる合理的資料の提出もなされていないとして事業者側の請求を棄却しました。
3 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
最新の裁判例その1
事業者にとって広告は消費者に対して自社の商品等の魅力を伝えるための重要な方法ですが、行き過ぎた広告表示を行う場合、景表法違反として措置命令等が下されることがあります。
本日は、オンラインゲームにおいて事業者が行った表示が問題となったケースをご紹介いたします(東京地判令和4年2月3日(LLI/DB(判例秘書登載)))。
1 事案の概要
Yが運営管理していた、大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲームであるAに係るサービスの会員であったXが、
①Yは、本件サービスに係る利用規約に則った適切な運営管理を怠り、その杜撰な運営管理によって、Xが不当なストレスを受けて精神的外傷を負った、
②また、Xは、Yが当該利用規約に則った適切な運営管理を行うものと誤信して本件ゲームに課金したものであり、当該利用規約は景表法5条1号のいわゆる優良誤認表示又は詐欺に当たる、
などと主張して、Yに対して不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
2 裁判所の判断
①規約及び「ルールとマナー」の規定に鑑みれば、会員のある行為がハラスメント行為等の禁止事項に該当するか否かの判断、及びその行為が禁止事項に該当すると判断した場合にいかなる措置を講ずるか否かの判断は、いずれもYの合理的な裁量に委ねられている
②本件各通報に対するYの本件各対応に係る判断は、いずれも合理的な裁量の範囲を逸脱するものとはいえないから、本件各対応は、規約及び「ルール及びマナー」に則った適切なものと認めるのが相当である。
3 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
事業者による表示内容の決定
ステルスマーケティングについては、令和5年10月1日から景表法において規制対象とりました。
要するに、事業者が、一般消費者が事業者の表示であることを分からないような形で自社の商品等の広告表示をすることが禁止されるようになったということですが、実際問題としてどのようなケースが問題となるかを線引きすることはなかなか難しいといえます。
本日は、消費者庁が公表する資料を踏まえてご説明いたします。
1 『事業者が表示内容の決定に関与した』といえるかどうか
事業者が自社のウェブサイトの一部において、第三者が行う表示を利用する場合であっても、以下の2点をクリアする場合には、『事業者が表示内容の決定に関与した』とは認められず、規制対象となるステルスマーケティングには該当しないと考えられています。
- 当該第三者の表示を事業者が恣意的に抽出すること(例えば、実際には第三者のSNSの投稿から事業者に対してポジティブな意見のみを抽出しているにもかかわらず、そのような作為について一般消費者に判別困難な方法で表示すること。)をしないこと
- 当該第三者の表示内容に事業者が変更を加えること(例えば、実際には当該第三者のSNSでは事業者の商品等に対してプラスの点、マイナスの点の両方を混ぜて記載してあるにもかかわらず、プラスの点のみを取り上げ、マイナスの点がないかのように表示すること)をせず、そのまま引用すること
もっとも上記のようなケースは実際には判断が難しい場合も多く、また、仮に法的には規制対象ではなかったとしても、企業に対するネガティブな評判を招いてしまうリスクもありますので、慎重に対応することが必要です。
2 ステルスマーケティングにはご注意ください
ステルスマーケティングが景表法上の規制対象となったことは間違いありませんが、従前ステルスマーケティングと呼ばれていた広告表示の方法が全て規制対象となったわけではありませんので十分注意が必要です。
例えば、事業者が、インフルエンサー等の第三者に対して無償で商品等を提供してSNS等に投稿することを依頼するものの、インフルエンサー等の第三者が自主的な意思に基づき表示する場合については、従前からステルスマーケティングといわれている方法ではありますが、第三者が自主的な意思に基づき表示を行っていることから、景表法上は規制対象とはなりません。
難しい判断ではありますが、今後事業者としては、景表法上の規制対象となっているステルスマーケティングではない方法だから大丈夫と高を括ることなく、従前SNS等で炎上の対象となっていたステルスマーケティングについても十分に注意して実施することが重要と考えられます。
ステルスマーケティングには十分ご注意ください
ステルスマーケティングについては、令和5年10月1日から景表法において規制対象とりました。
要するに、事業者が、一般消費者が事業者の表示であることを分からないような形で自社の商品等の広告表示をすることが禁止されるようになったということですが、実際問題としてどのようなケースが問題となるかを線引きすることはなかなか難しいといえます。
本日は、消費者庁が公表する資料を踏まえてご説明いたします。
1 『一般消費者が事業者の表示であることが不明瞭で分からないもの』の具体例
具体的には、以下のようなケースではステルスマーケティングとして問題となる可能性がありますので注意が必要です。
- 事業者の表示であることが広告等において全く記載されていない場合
- いわゆるアフィリエイト広告において、事業者の表示であることが全く記載されていない場合
- 事業者による表示である旨について、広告内において部分的な表示にとどめている場合
- 広告表示の冒頭において『広告』と記載する一方で、広告表示の文中に『第三者の感想』等と記載するなど、事業者が表示をおこなっていることが分かりにくい表示となっている場合
- 動画において、視聴者である一般消費者が通常認識できないほど短い時間で、事業者の表示である旨を表示する場合
- 一般消費者が事業者の表示であることを認識しにくい文言・場所・大きさ・色等の形式的な要素を踏まえた表示を行う場合
- SNS等において、事業者の表示であることを大量のハッシュタグの中に表示する場合
2 ステルスマーケティングにはご注意ください
ステルスマーケティングが景表法上の規制対象となったことは間違いありませんが、従前ステルスマーケティングと呼ばれていた広告表示の方法が全て規制対象となったわけではありませんので十分注意が必要です。
例えば、事業者が、インフルエンサー等の第三者に対して無償で商品等を提供してSNS等に投稿することを依頼するものの、インフルエンサー等の第三者が自主的な意思に基づき表示する場合については、従前からステルスマーケティングといわれている方法ではありますが、第三者が自主的な意思に基づき表示を行っていることから、景表法上は規制対象とはなりません。
難しい判断ではありますが、今後事業者としては、景表法上の規制対象となっているステルスマーケティングではない方法だから大丈夫と高を括ることなく、従前SNS等で炎上の対象となっていたステルスマーケティングについても十分に注意して実施することが重要と考えられます。
ステルスマーケティングの具体例
令和5年10月1日から、いわゆるステルスマーケティングが景表法に違反することとなります。
これまで、SNSの投稿やレビューサイトの口コミ等において、ステルスマーケティングが利用されることも多くありましたが、今後はこのようなマーケティング方法は違法となりますので、くれぐれもご注意ください。
1 規制対象外となる具体例
景表法5条3号に基づく告示としてステルスマーケティングが不当表示として指定されましたが、具体的には、
「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」
がステルスマーケティングとして規制対象となります。
しかしながら、広告である旨が一般消費者から見て分かりやすい表示になっているもの等、一般消費者にとって事業者の表示であることが社会通念上明らかなものは、告示の規制対象外です。
例えば、以下のような場合には告示の規制対象外となると考えられております。
①「広告」、「宣伝」、「PR」といったSNS等で広く一般に利用されている文言による表示を明瞭に行う場合
②「X社から提供を受けて投稿している。」等のように文章による表示を明瞭に行う場合
③テレビCMのように、広告と番組が切り離されている表示を行う場合
④商品等の紹介自体が目的である雑誌やその他の出版物における表示を行う場合
⑤社会的な立場や職業等から、事業者の依頼を受けて広告宣伝していることが社会通念上明らかな者を通じて、事業者が表示を行う場合
⑥事業者自身のSNSアカウントを通じて表示を行う場合
2 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
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