Archive for the ‘広告関連法務’ Category

景表法違反の具体例その4

2023-12-16

本日は、電子機器販売会社Xに対する景表法に基づく措置命令に関してご紹介いたします。

1 有利誤認表示

有利誤認表示は、景表法5条2号において規制対象となっております。

「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」

また、措置命令に関しては、景表法7条1項において、以下のとおり規定されています。

「内閣総理大臣は、第四条の規定による制限若しくは禁止又は第五条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。」

2 問題とされた表示

電子機器販売会社Xは自社ウェブサイトで販売する商品に関して、以下のような広告表示を行っていた。

『WEB価格(税込) 187,880円 キャンペーン価格(税込) 148,425円 21%OFF(10/5 14時まで)』

このような価格表示はいわゆる二重価格表示として、それ自体が直ちに景表法上問題となるわけではない。

しかしながら、実際には、WEB価格は、自社ウェブサイトにおいて、本件商品について販売された実績のないものであった。

そこで、消費者庁は、電子機器販売会社Xに対して有利誤認表示を理由として措置命令を下した。

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

景表法違反の具体例その3

2023-12-11

本日は、食品販売会社Xに対する景表法に基づく措置命令に関してご紹介いたします。

1 有利誤認表示

有利誤認表示は、景表法5条2号において規制対象となっております。

「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」

また、措置命令に関しては、景表法7条1項において、以下のとおり規定されています。

「内閣総理大臣は、第四条の規定による制限若しくは禁止又は第五条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。」

2 問題とされた表示

食品販売会社Xは店舗で販売する商品に関して、以下のような広告表示を行っていた。

①「お持ち帰り/半額 \毎日、いつでも、どの●●でも、好きなだけ/ お持ち帰り」

②「お持ち帰り/半額 Ⓜ¥950(税込) Ⓡ¥1249(税込) Ⓛ¥1550(税込)」③「デリバリー Ⓜ¥1900(税込) Ⓡ¥2499(税込) Ⓛ¥3100(税込)」

しかしながら、実際には、「サービス料」と称して、「お持ち帰り」又は「デリバリー」と称する表示価格に、同価格に同表「料率」欄記載の料率を乗じて得た額が、299円を上限として加算されるという取扱いが行われているものであった。

そこで、消費者庁は、食品販売会社Xに対して有利誤認表示を理由として措置命令を下した。

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

景表法違反の具体例その2

2023-12-06

本日は、機能性表示食品の販売会社Xに対する景表法に基づく措置命令に関してご紹介いたします。

なお、機能性表示食品とは、あくまでも事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品になります。販売前に、安全性や機能性の根拠となる情報を消費者庁長官に届け出る必要はありますが、個別の許可までは必要とされていない点が特徴です。

1 優良誤認表示

優良誤認表示は、景表法5条1号において規制対象となっております。

「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」

2 問題とされた表示

販売会社Xは機能性表示食品Aについて、以下のような広告表示を行っていた。

①「高めの血圧を下げる機能性サプリ」

②「血圧をグーンと下げる」

③「機能性表示食品 ●●」

④「酸化LDLコレステロールを減少させる機能性取得 ○」

⑤「血圧を下げる機 News Release 1能性取得 ○」

⑥「中性脂肪を低下させる機能性取得 ○」

しかしながら、消費者庁が、景表法7条2項に基づき、販売会社Xに対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、提出された資料を確認したところ、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。

そこで、消費者庁は、販売会社Xに対して措置命令を下した。

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

景表法違反の具体例その1

2023-12-01

本日は、電力会社に対する景表法に基づく措置命令に関してご紹介いたします。

1 有利誤認表示

有利誤認表示は、景表法5条2号において規制対象となっております。

「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」

2 問題とされた表示

電力会社Xは『従量電灯A』について、サービスプランを使用すれば料金が安くなるような以下のような広告表示を行っていた。

①「電気料金を少しでも安くしたい。どのコースがおすすめなの?」

②「電気料金が年間約1,200円おトクに!」

③「ご家庭のお客さまに最も多くご契約いただいている『従量電灯A』よりも、1年間で約1,200円おトクになる新コースです。」

④「電気のご使用量が比較的少なく、時間帯を気にせずに電気をご使用になりたいお客さま(月平均ご使用電力量400kWh以下)におすすめです。」

しかしながら、適用される燃料費調整額が従量電灯Aに適用される燃料費調整額を上回るため、サービスプランにおけるそれぞれの電気料金が、従量電灯Aの電気料金より安価にならない場合が実際には存在した。

そのため、電力会社Xによる広告表示が景表法の規制対象である有利誤認表示に該当するものと判断された。

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

機能性表示食品について

2023-11-27

先日機能性表示食品に関して、景表法に基づく措置命令が下されるという事案が発生いたしました。

機能性表示食品は、一般食品とは異なり機能性を表示することが法律上認められたものですが、その位置づけは特定保健用食品(いわゆるトクホ)等とは異なります。

本日は、改めて機能性表示食品についてご紹介いたします。

1 機能性表示食品について

いわゆる保健機能食品としては、①特定保健用食品、②栄養機能食品、③機能性表示食品、の3種類に分かれます。

このうち、特定保健用食品については、国が事前に審査し、食品ごとに消費者庁長官が許可することが必要です。

また、栄養機能食品については、科学的根拠が確認されている栄養成分を一定の基準量含有する食品である場合には、届出等をすることなく、国が定めた表現によって機能性を表示することができます。

他方で機能性表示食品とは、あくまでも事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品になります。販売前に、安全性や機能性の根拠となる情報を消費者庁長官に届け出る必要はありますが、個別の許可までは必要とされていない点が特徴です。

機能性表示食品は平成27年に始まった新しい制度ですが、消費者にとって従来よりも商品の選択の幅を広げること等を目的として導入されました。

ただ、制度導入から10年弱の今年、機能性表示食品に対して措置命令が下されるという事案が発生したことから、今後どこまで機能性表示食品全体に対する影響が拡大するかは未知数です。機能性表示食品をめぐる状況には細心の注意を払っていく必要があります。

2 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

消費者庁による改善指導その2

2023-11-23

消費者庁は、ロボット型全文検索システムを用いて、検索キーワードによる無作為検索の上、検索された商品のサイトを確認し、問題がある場合には改善指導を行うといった対応を行っております。

本日は、消費者庁が公開している令和5年1月から3月にかけての実績をご紹介いたします。

1 健康増進法65条1項

健康増進法65条1項では、以下のように誇大表示が禁止されています。

「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」

2 問題とされた表示

①生鮮食品に関して、生活習慣病予防、動脈硬化・高血圧予防、免疫力向上、肝臓機能強化、生殖機能活性化、老化防止に効果を有すること等を標ぼうする表示

②加工食品に関して、生活習慣病予防・改善、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞予防、免疫細胞活性化、肝機能改善、抗酸化・抗肥満・抗糖尿病作用、脂肪燃焼、脳細胞活性化・学習機能・認知機能向上に効果を有すること等を標ぼうする表示

③飲料等に関して、動脈硬化予防、脂肪肝予防、肝機能向上、二日酔い、免疫機能改善、新陳代謝促進、美白・保湿に効果を有すること等を標ぼうする表示

④健康食品に関して、(i)生活習慣病予防・改善、動脈硬化予防、腸管免疫力アップ、脂肪肝、二日酔い、骨粗しょう予防、白内障・緑内障予防、脳年齢・記憶力アップ、便秘・むくみ解消、ターンオーバー活性化に効果を有すること等を標ぼうする表示、また、(ii)女性ホルモンの活性化に働きかけ、ダイエット、デトックス、美肌、美爪、美髪に効果を有すること等を標ぼうする表示

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

消費者庁による改善指導について

2023-11-18

消費者庁は、ロボット型全文検索システムを用いて、検索キーワードによる無作為検索の上、検索された商品のサイトを確認し、問題がある場合には改善指導を行うといった対応を行っております。

本日は、消費者庁が公開している令和5年4月から6月にかけての実績をご紹介いたします。

1 健康増進法65条1項

健康増進法65条1項では、以下のように誇大表示が禁止されています。

「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」

2 問題とされた表示

①加工食品に関して、高血圧予防、アレルギー対策、自然治癒力UP、歯周病・口内炎、便秘解消、血管の老化防止、血液サラサラに効果を有すること等を標ぼうする表示

②飲料等に関して、高血圧抑制・血圧降下作用、花粉症対策、アレルギー症状改善、口臭・加齢臭予防、自然治癒力、 老廃物排出、血液浄化、活性酸素除去、体内毒素の中和・排出、筋肉・血管・骨の老化防止、飲む脂肪吸引に効果を有すること等を標ぼうする表示

③健康食品に関して、高血圧・動脈硬化予防、自己治癒力向上、自然免疫細胞活性化、免疫・代謝・治癒力アップ、口臭・体臭・加齢臭改善、活性酸素除去、強肝・解毒作用、宿便排出、生理不順・骨粗鬆症の改善、細胞修復促進、NK細胞活性化に効果を有すること等を標ぼうする表示、また、女性ホルモンの活性化に働きかけ、デトックス、むくみ解消、アンチエイジング、痩身、肥満予防に効果を有すること等を標ぼうする表示

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

最新の裁判例その5

2023-11-14

事業者にとって広告は消費者に対して自社の商品等の魅力を伝えるための重要な方法ですが、行き過ぎた広告表示を行う場合、有利誤認表示として景表法違反が問題とな

ったケースをご紹介いたします(名古屋地判令和元年12月26日(LLI/DB(判例秘書登載)))。

1 事案の概要

消費者契約法2条4項の適格消費者団体であるXが、健康食品Aをインターネット上で販売するYに対し、本件商品の購入契約は、実際は本件商品を最低4回は継続して購入することを条件として初回については本件商品を定価から84%割引した価格で購入できるものであるにもかかわらず、本件商品を1回だけ購入する契約であるかのように装い、又、最低4回は継続購入する契約であるから1回当たりの平均支払金額よりも初回の支払金額を低額とする必要性及び合理性がないにもかかわらず初回の支払金額を強調して表示するものであり、有利誤認表示に該当するとして、景表法30条1項2号に基づき当該表示の差止めを求めた事案です。

2 裁判所の判断

本件契約がいかなる内容の契約であるかについて関心を有する一般消費者であれば、記載に目を通すことが通常想定される。この点に加えて、本件契約の申込みを行うには、本件申込ボタンをクリックする必要があるところ、本件申込ボタンの真下には、本件募集要項3項として、赤字で、「初回を含め最低4回(4か月)以上のご継続がお申込みの条件です。」と記載され、本件契約の定期購入条件が明示されているため、健全な常識を備えた一般消費者において、最低4回の継続が必要であることは容易に認識し得るといえる。

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

最新の裁判例その4

2023-11-10

本日は、消費者庁長官が行った措置命令が違法なものであるとして取消しを求めた裁判例をご紹介いたします。(東京高判令和2年10月28日(LLI/DB判例秘書登載))。

1 問題となった広告表示

主として以下の表現が問題とされました。

①「ボンヤリ・にごった感じに!!」、②「1日1粒(目安)30日分に納得!!」、③「60代でも衰え知らずが私の自慢!! ようやく出会えたクリアでスッキリ!!」、④「クリアな毎日に●●でスッキリ・クリアな毎日を実感、納得の1粒を体感出来ます。」、⑤「クリアさに納得できない毎日・・・放っておけないその悩み 40代を過ぎた頃から急激に増え始める気がかり。『読書に集中できない』『パソコンや携帯の画面が・・・』などの悩みを抱える方々が,高年齢化と共に増加中と言われる。そんな悩みをケアする、●●が、くもりの気にならない、鮮明な毎日へと導きます。」との記載のほか、

眼鏡を掛け,読み物をしている中高年男性の写真と共に「新聞・読書 楽しみたい方に□目からウロコの実感力!! 爽快なクリア感 ●●を今すぐ始めませんか? クリアな毎日を応援します。 『若い頃はもっとスッキリ,しっかりとしていたのに・・・』40代半ばを過ぎた頃から急激に衰えが始まるといわれています。●●とクリアな毎日との関係に早くから着目し、実感にこだわった7つの成分の濃縮配合を実現させました。多くのお客様より嬉しいお声をいただいている●●は1日1粒目安お飲み頂くことで,晴れやかな毎日をサポートします!」

との表現が問題とされました。

2 裁判所の判断

①広告中の表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がされていない

②表示は単に商品に含まれる●●が目に良い成分であるという一般的な内容にとどまらず、視覚の不良感が改善されるという商品の優良性を強調するものであり、目に良い成分を含むことが直ちに商品の効能・効果の実証になるとはいえない

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

最新の裁判例その3

2023-11-06

本日は、デジタルコンテンツのプラットフォームの責任が問題となった事案をご紹介いたします(東京地判令和3年7月16日(LLI/DB判例秘書登載))。

1 事案の概要

Yが提供するデジタルコンテンツのプラットフォームに投稿された記事の有料部分の購入者であるXが、上記記事の無料部分には有料部分に重要な記載があるかのように誤信させる記載があるにもかかわらず、有料部分には価値のない4文字の情報しかなかった以上は当該記事の投稿者による投稿は欺罔行為として違法であるとし、プラットフォーマーであるYに関しても、各コンテンツの最低限の審査や調査をする義務等があることを理由として、Yに対して損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

①Yは、Aというデジタルコンテンツの配信プラットフォームを提供する事業者であるところ、そのようなプラットフォーマーの法的責任を定めた法令は見当たらない上、本件規約においても、デジタルコンテンツの有料販売をする場合には、クリエイターとユーザーとの間に直接の契約が成立すると明記されているとおり、Yは、配信記事の売買に関する契約の当事者ではないのであるから、Aを用いた配信記事の売買契約においてトラブルが生じたとしても、原則として、被告は責任を負わないというのが相当である。

②近年のデジタルコンテンツ等をめぐる実情に照らすと、プラットフォーマーが信義則上利用者に対し責任を負うことがあり得ることは一概には否定できないところであるが、本件においてYが本件記事の売買契約に実質的に関与していたとか本件記事が犯罪行為に利用されていることを知り得たなど、Yにおいて信義則上の責任を負うべき特別な事情があったと認めることはできない。

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

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