最新の裁判例その3

本日は、デジタルコンテンツのプラットフォームの責任が問題となった事案をご紹介いたします(東京地判令和3年7月16日(LLI/DB判例秘書登載))。

1 事案の概要

Yが提供するデジタルコンテンツのプラットフォームに投稿された記事の有料部分の購入者であるXが、上記記事の無料部分には有料部分に重要な記載があるかのように誤信させる記載があるにもかかわらず、有料部分には価値のない4文字の情報しかなかった以上は当該記事の投稿者による投稿は欺罔行為として違法であるとし、プラットフォーマーであるYに関しても、各コンテンツの最低限の審査や調査をする義務等があることを理由として、Yに対して損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

①Yは、Aというデジタルコンテンツの配信プラットフォームを提供する事業者であるところ、そのようなプラットフォーマーの法的責任を定めた法令は見当たらない上、本件規約においても、デジタルコンテンツの有料販売をする場合には、クリエイターとユーザーとの間に直接の契約が成立すると明記されているとおり、Yは、配信記事の売買に関する契約の当事者ではないのであるから、Aを用いた配信記事の売買契約においてトラブルが生じたとしても、原則として、被告は責任を負わないというのが相当である。

②近年のデジタルコンテンツ等をめぐる実情に照らすと、プラットフォーマーが信義則上利用者に対し責任を負うことがあり得ることは一概には否定できないところであるが、本件においてYが本件記事の売買契約に実質的に関与していたとか本件記事が犯罪行為に利用されていることを知り得たなど、Yにおいて信義則上の責任を負うべき特別な事情があったと認めることはできない。

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

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