Author Archive

輸入品の商標権侵害のリスク管理

2025-01-21

はじめに:仮の相談者から寄せられた相談事例のご紹介

本日は、輸入ビジネスを営む上で警戒すべき法的リスクの一つである商標権侵害について、その法的構造から実務的な回避策までを網羅的に解説いたします。まずは、当事務所に実際に寄せられる相談内容を模した、以下の架空事例をご覧ください。グローバルな取引を志す企業様にとって、非常に示唆に富む内容となっております。

【相談者】

神奈川県内で海外ブランドの雑貨やアパレル製品の輸入販売を行うA社 代表取締役 B氏

【相談内容】

「当社はこの度、イタリアのセレクトショップから、現地で高い評価を得ているスニーカーブランド『ベローチェ』の商品を百足ほど買い付け、日本国内での販売を開始いたしました。現地ではもちろん正規に流通している真正品であり、仕入れの際の領収書もすべて保管しております。ところが、販売を開始してまもなく、日本国内で『ベローチェ』の商標を保有しているという日本企業C社から、商標権侵害を理由とする販売差し止めと、これまでの売上に対する損害賠償を求める警告書が届きました。B氏は、現地で正当に購入した本物の商品である以上、日本国内での販売も自由であると考えていましたが、法的にどのような問題があるのでしょうか。また、C社の請求には応じなければならないのでしょうか。もし輸入時に税関で止められた場合、どのような手続きが必要になるのかも含め、専門的な見地からの詳細な解説を求めています」

このような事例は、知的財産権の属地主義を正しく理解していない場合に、非常に多く見受けられます。合法的に購入した商品であっても、日本国内では商標権侵害に該当するケースがあります。事前の調査と適切な対応を通じて、トラブルを未然に防ぐことが不可欠です。本日は、商標権侵害の基本から、特許庁や税関での実務、そして損害賠償の算定根拠等を解説いたします。

1 商標権侵害の法的定義と属地主義の原則

輸入ビジネスを営む事業者は、商標権侵害のリスクに十分注意する必要があります。実際、輸入された商品が知らず知らずのうちに日本国内の商標権を侵害しているケースが多々あります。日本の商標法では、登録商標が他人の許諾なく使用されることを防ぐため、商標権が保護されています。商標権は特許庁への登録によって発生する独占排他権であり、その効力は日本国内全域に及びます。

(商標法第二条第三項)

この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。

一 商品又は商品の包装に標章を付する行為

二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為

(中略)

このように、商標が付されたものを「輸入」すること自体が、商標法上の「使用」に該当いたします。したがって、日本国内で有効な商標権が存在する場合、その権利者の許諾を得ずに輸入を行うことは、原則として侵害行為を構成することになります。ここで重要なのが「属地主義」という考え方です。商標権は各国の法律に基づき、各国ごとに独立して成立いたします。イタリアで適法に販売されている商品であっても、日本国内で別の者が商標権を保有している場合、その日本国内での権利が優先されることになります。

(商標法第二十五条)

商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。

この専有権を侵害する行為について、商標法第三十七条は以下のように侵害とみなす行為を規定しております。

(商標法第三十七条)

次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。

一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用

二 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為

(中略)

事業者が意図せずに商標権を侵害するケースでは、これらの規定が問題となることが多いです。特に「類似」の範囲は広く、外観、称呼、観念のいずれかが似通っており、消費者が混同する恐れがある場合には侵害と認定されます。

2 真正商品の並行輸入が認められるための三要件

B氏の事例のように、偽物(コピー品)ではなく海外の正規店で購入した「本物」を輸入する場合、一定の条件を満たせば「真正商品の並行輸入」として適法と認められることがあります。日本の最高裁判所判例(フレッドペリー事件等)によれば、以下の三つの要件をすべて満たしている場合に限り、商標権侵害とはならないとされています。

====================================

真正商品の並行輸入適法性判定チェック表

====================================

項目|判定基準の内容|実務上の確認ポイント

--|----------------|----------------

第一要件|当該商標が海外の商標権者により適法に付されたものであること|偽造品でないことの証明(仕入伝票等)

第二要件|海外の商標権者と日本の商標権者が同一、または密接な関係にあること|資本関係、代理店契約、ライセンス関係

第三要件|製品の品質が、日本の商標権者が管理するものと実質的に差異がないこと|仕様の違い、保管状況、保証内容の比較

====================================

B氏のケースにおいて、日本のC社がイタリアのメーカーと全く無関係に独自に日本で商標を登録していた場合、第二要件(同一権原の要件)を満たさないため、本物であっても輸入は差し止められることになります。これは、日本の商標権者が長年日本国内で築き上げてきたブランドの信用(業務上の信用)を保護するためです。一方で、C社が単なる日本総代理店であり、イタリアのメーカーからライセンスを受けているに過ぎない場合は、同一権原の要件を満たし、並行輸入が認められる可能性が高まります。

3 関税法に基づく水際での差し止めと認定手続

商標権侵害は、単なる民事上の争いのみならず、税関における水際阻止の対象となります。関税法第六十九条の十一に基づき、商標権を侵害する物品は「輸入してはならない貨物」として規定されています。

(関税法第六十九条の十一第一項第九号)

九 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品

税関は輸入申告の際、商標権侵害の疑いがある貨物を発見すると「認定手続」を開始いたします。

一 税関から輸入者及び権利者に対し、認定手続開始の通知がなされます。

二 輸入者及び権利者は、一定期間内に当該貨物が侵害品であるか否かについての意見を述べ、証拠を提出する機会が与えられます。

三 税関長が双方の意見を踏まえ、侵害の有無を認定いたします。

輸入者としては、前述の「並行輸入の三要件」を満たしていることを客観的な資料をもって証明しなければなりません。この手続きは極めて専門的であり、法的な主張が認められない場合、貨物は没収・廃棄されるか、あるいは積み戻しを命じられることになります。これによる経済的損失は計り知れません。

4 商標権侵害に伴う深刻な法的責任と損害賠償

もし侵害が認められた場合、輸入業者は多大な損害を被るリスクがあります。

(1)商標権者からの差止請求。輸入された商品の販売停止、廃棄、広告の削除などが求められます。これにより販売機会を完全に失うことになります。

(2)損害賠償請求。商標権侵害は、過失が推定されるため(商標法第三十九条、特許法第百三条準用)、知らなかったという言い訳は通用しません。商標法第三十八条には、損害額の算定根拠が規定されています。

(商標法第三十八条)

商標権者(中略)が故意又は過失により自己の商標権(中略)を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、商標権者(中略)が受けた損害の額と推定する。

このように、侵害者の利益額がそのまま損害額とみなされる場合や、ライセンス料相当額を請求される場合があります。高額な賠償金が発生するケースも少なくありません。

(3)刑事罰

悪質な場合には、商標法第七十八条に基づき、刑事罰が科されることもあります。

(商標法第七十八条)

商標権又は専用使用権を侵害した者(中略)は、十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

法人に対しても、三億円以下の罰金刑が科されるという非常に重いペナルティが存在いたします。

5 リスク回避のための具体的ポイント

輸入業者として商標権侵害を防ぎ、安全なビジネス運営を実現するためには、次の対応策が有効です。

====================================

商標権リスク回避・実務管理表

====================================

対策区分|具体的な実施内容|使用するツール・資料

----|----------------|----------------

事前調査|日本国内の商標登録状況の確認|特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)

権利関係確認|海外メーカーと国内権利者の関係性の把握|権利関係図、ライセンス契約の有無

仕入先精査|正規流通ルートであることの確認|インボイス、正規代理店証明書

契約の整備|侵害発生時の損害補償条項の導入|表明保証条項、インデムニティ

専門家相談|複雑な案件の事前リーガルチェック|弁護士、弁理士、通関士のアドバイス

====================================

特に、特許庁の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を活用することは、輸入実務者にとって必須のスキルです。商品名だけでなく、ロゴの図形要素についても検索を行い、似通った商標が日本国内に存在しないかを徹底的に調査すべきです。少しでも不安がある場合は、そのまま進めずに、法律の専門家と連携しながら慎重に対応することを強くお勧めします。

6 輸入ビジネスにおける他法令との関連性

商標権のみならず、輸入実務においては関税法、外為法(外国為替及び外国貿易法)、不正競争防止法など、多角的な視点からのコンプライアンスが求められます。

一 不正競争防止法

商標登録がなくても、広く一般に知られている商品等表示と混同を生じさせる行為は、不正競争行為として差し止めの対象となります。

二 外為法(リスト規制・キャッチオール規制)

アパレル製品等であっても、その素材が特殊な高機能繊維である場合や、軍事転用可能な技術が含まれる場合には、経済産業大臣の許可が必要になる場合があります。

三 関税法(輸入事後調査)

輸入許可が下りた後であっても、税関は数年以内に事後調査を実施いたします。この際、適切な商標権使用料(ロイヤリティ)が課税価格に算入されているかが精査されます。もしロイヤリティを申告価格から除外していた場合、過少申告とみなされ、重加算税などのペナルティを受ける恐れがあります。

(関税法第十二条の四 重加算税)

納税義務者がその税額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告をしていたときは(中略)不足税額の百分の三十五に相当する重加算税を課する。

このように、商標権は知的財産としての側面だけでなく、輸入時の税金(関税評価)にも深く関わっております。

7 専門家による法的サポートの重要性と当事務所の役割

商標権の問題は専門的で複雑です。輸入を検討している商品がある場合は、事前に弁護士等の専門家にご相談いただき、リスク評価を行いましょう。当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、法務と実務の両面から強力なサポートを提供することが可能です。弁護士でありながら通関実務の深い知見を持つことで、単なる法令の解釈に留まらず、税関当局がどのような視点で調査を行い、どのような証拠書類を重視するかという実践的なアドバイスを提示することができます。

【当事務所が提供できる主なサポート】

一 輸入予定商品の商標権侵害リスクの精緻な事前診断

二 真正商品の並行輸入における適法性の立証および証拠資料の整理

三 税関での認定手続における意見書提出および代理交渉

四 商標権者からの警告書に対する交渉、訴訟対応

五 海外サプライヤーとの売買契約書における知的財産保護条項の策定

六 関税評価におけるロイヤリティ算入の適正性アドバイス

8 まとめ:適正な管理こそがグローバルビジネスの安定を支える

商標権侵害は、輸入業者にとって見過ごせない重大なリスクです。合法的に購入した商品であっても、日本国内では商標権侵害に該当するケースがあります。企業としては、輸入する貨物の内容や取引相手に支払う代金のみを気にしておけばよく、それ以外の手続面のことはほとんど気にしていない場合も多いものと思われます。しかしながら、このような姿勢には大きなリスクがあると言わざるを得ません。通関手続きや法的権利の確認について、専門家に任せることは非常に有用ですが、企業としてもそれらの点について最低限の知識を持ち、各手続において重要な点については逐一確認をとる等の対応が必要です。

正しい法令知識に基づき、一つひとつの取引を精査すること。その地道な努力が、貴社のグローバルビジネスを安定させ、不測の事態から会社を守ることに繋がります。当事務所は、貴社の良きパートナーとして、その専門性を最大限に発揮して、安定した海外展開をサポートし続けます。適正な通関こそが、グローバルビジネスを安定させる唯一の道です。

【お問合せは、こちらから】

・・・・・・・・・・・

執筆:有森FA法律事務所 代表弁護士有森文昭(詳細プロフィールは、こちら

(注)2026年3月時点の法令に基づき内容を改定

本記事は2026年3月現在の法令に基づいた一般的な情報の提供を目的としています。個別の事案については、具体的な状況により判断が異なるため、必ず専門家にご相談ください。

該非判定の重要性

2025-01-16

本日は、外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)の概要と、「該非判定」の重要性について、経済安全保障の視点を交えてご説明いたします。

 

1 そもそも外為法とは?

外為法は、日本の国家安全保障や国際的な平和維持、経済的安定を目的として、外国為替や貿易を規制する法律です。特に、戦略物資や軍事転用が可能な技術・製品の輸出には厳しい管理が求められます。

外為法に基づく輸出管理制度では、輸出者に対して、自社の商品や技術が規制対象に該当するかどうかを確認する「該非判定」の義務が課されています。この判定を誤ると、重大な法的リスクが発生します。

 

2 該非判定とは?

該非判定とは、輸出しようとする製品や技術が、国際的な規制リストや日本独自の規制に該当するか否かを確認する手続きです。例えば、以下の2つの規制が代表的なものとなります。

①リスト規制

兵器転用可能な製品や技術を対象とした規制

②キャッチオール規制

特定の用途やユーザーに対する輸出規制

これらの判定が適切に行われないと、意図せず国家安全保障上のリスクを生じさせたり、国際社会からの信頼を損ねたりする可能性がありますので、慎重に行う必要があります。

 

3 具体的な事例

①事例1『技術輸出の誤判定による経済制裁』

ある企業が新型材料の輸出を行った際、該非判定を誤り、実際にはリスト規制に該当する製品を輸出していました。この製品は軍事用途への転用が可能であり、輸出先の国は国際的な制裁対象国でした。その結果、企業は罰則を受けたうえ、経済制裁違反として国際的な非難を浴び、取引先からの信用を失いました。

典型的なケースではありますが、該非判定が適切に行われないと、日本国内での法的責任だけでなく、そもそも将来的な事業継続にも大きな影響を及ぼすことがあります。

 

②事例2『技術提供の不適切な管理』

日本の企業が、海外の研究機関と共同研究を行う際、該非判定を怠り、規制対象の技術データを提供してしまいました。

その結果、当該技術が第三国の軍事計画に転用される可能性が浮上し、企業は日本政府から指導を受けました。

たまに勘違いをされている事業者の方がおりますが、外為法では物品の輸出だけでなく、技術情報の提供も規制対象ですので、技術に関しても慎重な確認が必要です。

 

4 該非判定を適切に行うためのポイント

①社内体制の整備
輸出管理に関する社内規程を整え、担当者の教育・訓練を徹底する必要があります。

②専門家の活用
該非判定は複雑なプロセスを伴うため、法律や技術の専門家によるサポートを活用することが有効です。

③最新の規制動向の把握
国際情勢や法改正に伴い規制内容は変化します。常に最新情報を入手し、適切に対応することが求められます。

 

5 適切な体制を整えることが重要です

外為法とそれを踏まえた該非判定は、企業が国際的な責任を果たし、事業を継続的に発展させるための重要な柱です。

経済安全保障の観点からも、該非判定を正確かつ慎重に行うことが求められます。このためには上記のとおり、輸出管理に関する社内体制の強化と最新情報の収集が不可欠です。

該非判定や外為法に関する疑問が少しでもある場合は、専門家にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

何か問題が発生してからでは手遅れとなる場合も多く、事前の対応が非常に重要です。

 

 

輸入事後調査の現状

2025-01-06

本日は、輸入事業者の皆様にとって無視できない『輸入事後調査』についてご説明します。

この調査は、輸入事業者にとって避けて通れないものであり、正しく対応しなければ思わぬペナルティを受けるリスクがあります。以下では、輸入事後調査の概要、よくある指摘事項、また、適切な対応方法についてご説明いたしますので、ご参考となれば幸いです。

 

1 輸入事後調査とは?

輸入事後調査とは、輸入許可後に税関が輸入事業者の取引内容や書類を調査し、輸入申告内容が正確で適切であるかを確認する制度です。主に以下の目的があります。

①関税・消費税の適正な納付確認
輸入申告で申告した課税価格を踏まえて、納付した関税額や消費税額が正確かをチェックします。

②適法な輸入手続きの確保
禁制品や規制対象品が適切に取り扱われているかを確認します。

通常、税関は過去5年以内の輸入取引を対象に調査を行い、不適切な申告が見つかった場合には追加課税やペナルティが科されることがあります。

 

2 よくある指摘事項

輸入税関事後調査では、以下のような点がよく問題とされます。

①課税価格の過少申告
輸入品の価格を意図的または誤って低く申告し、関税や消費税を少なく納めるケースです。

たとえば、運賃や保険料を含めない形で価格を申告している場合や加算要素を適切に加算できていない場合には、課税価格が過少となる可能性があります。

②税率の誤適用
関税分類(HSコード)の誤りによる税率の適用ミスが挙げられます。

例えば、食品と工業用化学品で異なる税率が適用される場合、分類ミスが追加納税の原因となります。

③規制品の適正な取り扱い
輸入品が規制対象である場合、必要な許可や証明書を取得していないと指摘されることがあります。

⑤書類の保存不備
輸入事業者は、輸入取引に関する書類を5年間は保存する義務があります。保存が不十分だと、調査で適正な保存をするように指導される可能性があります。

 

3 税関事後調査への適切な対応

税関事後調査は、突然の通知で輸入事業者にとって大きな負担になることがあります。

しかし、適切に対応すれば負担やリスクを最小限に抑えることが可能です。

税関事後調査は法律的・技術的な知識が必要な場面が多くあります。関税法や輸入手続きに精通した弁護士や税関コンサルタントに相談することで、リスクを軽減できます。

改めてになりますが、輸入事後調査は、輸入事業者にとって避けられないプロセスですが、適切に準備し対応することでリスクを最小限に抑えることができます。不安や疑問を抱えたままでは、事業運営に支障をきたす可能性がありますので、ぜひ専門家にご相談ください。

輸入事業を安心して継続するためのサポートを全力で提供いたします。

お困りの際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

該非判定は慎重に行いましょう

2025-01-01

外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」といいます)は、国際的な平和と安全を維持するための重要な法律です。

特に、日本から貨物を輸出するに際しては、輸出する貨物が戦略物資や軍事転用可能な技術に該当しないかどうか等を適切に判断(いわゆる、該非判定)する必要があります。しかしながら、この該非判定を軽視し、誤った輸出行為を行った場合、単なる法的リスクだけでなく、昨今話題となっている経済安全保障の観点からも深刻な影響を及ぼします。

そこで本日は、外為法の規定の順守を疎かにすることのリスクについて、概要とはなりますがご説明いたします。

 

1 該非判定を怠る場合の様々なリスク

該非判定を適切に行わずに輸出を行う場合、以下のようなリスクが発生します。

(1) 法的リスク

外為法違反に該当すると、例えば、以下の厳しい罰則が科される可能性があります。

①刑事罰

外為法第70条では、無許可輸出が判明した場合、最高で10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合は5億円以下)が科されます。

②行政処分

経済産業省から事業停止命令や輸出許可の取り消しを受けるリスクがあります。

(2) 経済的リスク

罰金や事業停止による直接的な経済的損失だけでなく、取引先からの信頼を失い、契約の破棄や市場からの排除といった二次的な損害も生じます。

(3) 国際社会での信用失墜

外為法違反が国際的に報じられると、日本全体の信頼を損ねる可能性があります。

特に輸出先国が敏感な技術や資材を輸入した場合、外交問題に発展する危険性すら存在することは改めて強調しておきます。

 

2 経済安全保障の観点からのリスク

経済安全保障は、近年注目を集めている分野です。

特に以下の点で、該非判定を怠る行為は日本の安全保障に直結する問題となります。

(1) 軍事転用のリスク

一見無害に見える技術や部品が、軍事目的で使用されるケースがあります。

たとえば、半導体や高精度機械は、ミサイルや監視技術の開発に利用される可能性があります。

(2) テロリストや制裁対象国への流出

該非判定を怠ると、意図せずにテロリストや国際的な制裁対象国に戦略物資を供与する結果を招きかねません。これにより、国際的な制裁や報復措置を受けるリスクがあります。

 

3 該非判定を怠らないための対策

輸出者としては、以下の対策を徹底することが求められます。

①適切な該非判定

対象物品や技術が輸出貿易管理令に定められた「リスト規制」に該当するかを確認し、必要に応じて専門家や弁護士の助言を受けること。

②社内コンプライアンス体制の整備

社内で輸出管理の専門部署を設け、該非判定を二重・三重にチェックする体制を整えること。

③定期的な教育と研修

社員に外為法の重要性を理解させ、違反行為を未然に防ぐための教育を徹底すること。

 

4 外為法のルールは非常に難しく、専門家も交えた体制作りが重要です

外為法に基づく該非判定を軽視する行為は、単なる法律違反にとどまらず、経済安全保障や国際的な信頼に深刻な影響を及ぼします。

輸出者は「知らなかった」「確認不足だった」という言い訳が通用しないことを認識し、法令遵守を最優先に行動すべきです。

万が一、該非判定に関する疑問や不安がある場合は、専門家に相談することを強くお勧めします。違法行為を未然に防ぎ、健全なビジネス活動を維持するために、法令の遵守を徹底していきましょう。

若者が巻き込まれる密輸の現状

2024-12-27

近年、大学生などの若者が『簡単に稼げる副業』として禁制品や金地金の密輸入に関わるケースが増加しています。

特にSNSやインターネットを通じて、「海外旅行のついでに荷物を運ぶだけ」、「観光の帰りに簡単な副業」、「実質無料で観光に行こう」等の甘い言葉で勧誘されることが多いようです。しかしながら、このような行動がもたらすリスクは非常に深刻であり、一度関与すると人生を大きく狂わせる可能性があります。

本日は、その危険性について説明します。

 

1 若者が巻き込まれる現状

警察庁の2022年の統計情報によると、日本における薬物密輸関連の検挙者数は前年より約15%増加しており、そのうち20代以下の若者が占める割合は約30%と報告されています。こうした背景には、SNSや求人アプリを通じて「割の良いバイト」として勧誘されることが挙げられます。

この傾向は2024年の現在でも同様であり、犯罪組織にとっては、社会経験の浅い若者は「リスクを理解していない」、「違法性に鈍感」等と見られるため、非常に利用しやすく、問題が発覚した場合には簡単に見捨てることができる使い勝手のよい存在です。

 

2 密輸は人生を狂わせるので、絶対に行ってはいけません

日本の法律では、禁制品の密輸は極めて重い罪です。

たとえば、麻薬取締法や関税法に基づく罰則では、以下のような処罰が規定されています。

①麻薬取締法違反:最高で無期懲役、または10年以上の懲役に加え、数千万円規模の罰金が科されることがあります。

②関税法違反:密輸入を目的とした行為は、5年以上の懲役または罰金が科されます。

 

最終的な処罰の前には逮捕、勾留、刑事裁判と続き、経済的負担や社会的信用の喪失を招きます。

 

3 実際に起こりうるリスク

(1) 刑罰とその影響

先述の通り、禁制品や金地金の密輸に関与した場合、極めて厳しい刑罰が科されます。

一度有罪判決を受けると前科がつき、就職や進学といったその後の人生にも大きな悪影響を及ぼします。

(2) 知らずに「運び屋」にされる可能性

「ただ荷物を預かっただけ」といった場合でも、禁制品や金地金が入っていれば違法行為とみなされます。

「知らなかった」という弁解は通用しないことがほとんどであるとお考えください。

 

4 誘惑に負けないために

若者が犯罪に巻き込まれないためには、以下のポイントに注意することが重要です。

①安易な勧誘に乗らない:特に「高額報酬」「簡単」といった文言には注意を払いましょう。

②荷物を預かる際のリスクを認識する:他人の荷物を運ぶ場合、その内容物に責任が伴うことを自覚しましょう。

③法律知識を身につける:日本の厳しい法律について正確に理解しておくことで、違法行為を未然に防ぐことができます。

 

5 専門家に相談することもご検討ください

禁制品の密輸は決して「簡単な副業」ではなく、人生を台無しにするほどのリスクを伴う犯罪です。

もしも自分自身やご家族が誘いを受けたり、不安に思うことがあれば、弁護士や警察に相談してください。自分自身を守るためにも、軽率な行動を避け、慎重な判断を心がけましょう。

禁制品や金地金の密輸

2024-12-22

禁制品の輸入や金地金の密輸は、いわゆる関税法違反事件となり、刑事告発された場合には、懲役刑等の厳罰に処せられる可能性もあります。

禁制品の輸入を軽い気持ちで行うことはあまりないと思いますが、他方で金地金に関しては、簡単な運び屋の気分で安易に行われてしまうケースが散見されます。

本日は、令和6年上半期(令和6年1月から6月まで)において、関税法違反事件として取り締まりが実行された案件をご紹介いたします。

 

1 不正薬物関連

まず、不正薬物の内訳としては、覚醒剤、大麻、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物を指すものとします。

不正薬物全体の摘発件数は500件、押収量は約1301kgであり、摘発件数は増加し、押収量は減少した模様です。

具体的な内訳をみると、

①覚醒剤

摘発件数は85件、押収量は約814kgと、共に減少した。

押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約2715万回分、末端価格にして約538億円に相当するとのことです。

 

②大麻

大麻草の摘発件数は96件、押収量は約103kgであり、前年比で大幅に増加したようです。

また、大麻樹脂等(大麻リキッド等の大麻製品を含む。)の摘発件数は61件、押収量は約46kgとなり、前年比で共に大幅に増加したようです。

 

③麻薬

コカインの摘発件数は30件、押収量は約235kgでした。

また、MDMA等の摘発件数は49件、押収量は約79kgでした。

 

④指定薬物

指定薬物の摘発件数は76件、押収量は約7kgでした。

 

2 金地金

金地金の摘発件数は228件、押収量は約937kgでした。

 

3 安易に貨物を日本に持ち込む行為にはご注意ください

上記のとおり、不正薬物関連や金地金等の密輸は非常に多く行われておりますが、特段罪の意識がない若者等が運び屋として利用されてしまうケースも多くあります。

自分では大したことがなく、単に土産物のようなものを運んで日本に持って帰ってくるだけで相当程度の報酬がもらえる、と思い安易な気持ちで関与してしまう方もおりますが、自分の一生を棒に振ってしまいかねない行為ですので絶対に関わってはいけません。

あくまでも関与しないことが一番ではありますが、万一関りを持ってしまった場合には、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

輸入貨物における原産地規則

2024-11-27

はじめに:仮の相談者から寄せられた相談事例のご紹介

本日は、輸入ビジネスにおいて関税率の決定や国内販売時のラベル表示に直結する「原産地規則」について、その基礎から実務的な判定基準までを網羅的に解説いたします。まずは、当事務所に実際に寄せられる相談内容を模した、以下の架空事例をご覧ください。グローバルなサプライチェーンを構築されている企業様にとって、非常に示唆に富む内容となっております。

【相談者】

東京都内で海外アパレル製品や雑貨の輸入販売を行うA社 代表取締役 B氏

【相談内容】

「当社はこの度、ベトナムの縫製工場と提携し、オリジナルのバックパックを日本へ輸入することになりました。この製品に使用される生地や金具などの主要な原材料は中国から調達し、ベトナムの工場で裁断および縫製を行っております。B氏は、最終的な組み立てがベトナムで行われているため、製品に『Made in Vietnam』と表示し、日本とアセアンとの経済連携協定(EPA)に基づく特恵関税を適用して輸入しようと考えています。しかし、通関業者から『原材料の中国比率が高い場合、ベトナム産と認められない可能性がある』との指摘を受けました。原産地はどのような基準で決定されるのでしょうか。また、もし誤った原産地表示を付したまま国内で販売してしまった場合、どのような法的リスクがあるのでしょうか。専門的な見地からの詳細な解説を求めています」

このような事例は、複数の国を跨いで製造が行われる現代の貿易実務において非常に多く見受けられます。貨物を輸入する際に、原産地を貨物上に記載、掲載している場合も多いと思います。原産地表示は、原産地規則に基づいて行う必要があり、また、日本国内で商品を販売する場合も、正確な原産地を記載しないと不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)等で問題となるリスクがありますので、正確に記載する必要があります。貨物の原産地を決定するための基準の概要は、以下の通りですので、ご参考となれば幸いです。

1 原産地規則の定義と二つの大きな区分

『原産地規則』は、ある製品がどの国で「生産された」とみなされるかを決定する基準を指し、輸入ビジネスを行う上で、このルールを正しく理解することは、関税や通関の手続き、また日本国内での商品の販売のいずれにおいても不可欠です。原産地規則は、その目的によって大きく二つの区分に分けられます。

(一)非特恵原産地規則

通常の関税率(基本税率、暫定税率、MFN税率)を適用する場合や、貿易統計の作成、あるいは今回B氏が懸念されている景品表示法等に基づく適正なラベル表示を判断するための基準です。関税法や関税定率法に基づく基準がこれに該当いたします。

(二)特恵原産地規則

日本が締結している経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)に基づき、特定の締約国からの輸入に対して免税や低い関税率を適用するための基準です。B氏がベトナム産としてEPA税率を適用したい場合には、この特恵原産地規則を満たす必要があります。

2 貨物の原産地を決定する二大基準の詳細

関税評価や表示の適正性を判断するための基準は、主に以下の二つに集約されます。

(1)完全生産品基準(Wholly Obtained Criterion)

貨物が完全に特定の国で生産された場合、この基準が適用されます。他国の材料を一切使用せず、その国の資源のみで完結している場合に限られます。

一 その国で収穫された農産物。

二 その国の領土内から採取された鉱物や資源。

三 その国で生まれ、かつ飼育された動物、及びその動物から得られた産品。

四 その国の領海等で採取された水産物。

五 その国内での製造過程で発生したくずや、使用済みの物品。

(2)実質変更基準(Substantial Transformation Criterion)

貨物がある国で加工・製造され、その結果、製品の性質や用途が大きく変わった場合に適用されます。二ヶ国以上にわたって生産される製品の原産地を特定するための極めて重要な基準です。この基準には、具体的には以下の三つの手法があります。

一 HSコード変更基準(関税分類番号変更基準)

貨物の関税分類(HSコード)が製造過程で変更された場合です。例えば、生地(HSコード:5208)が特定の国で縫製されてシャツ(HSコード:6105)になった場合、加工により商品分類の4桁(項)が変わるため、実質的変更が行われたと判断されます。この基準は、単純な梱包や組み立て、切断、洗浄などの「軽微な工程」では適用されず、製品の性質や用途が明確に異なることが求められます。

二 付加価値基準(アドバロレム基準)

加工後の貨物における特定国での付加価値の割合が一定以上の場合です。たとえば、自動車部品の輸入材料がある国で組み立てられ、完成車として輸出される場合です。この際、完成品に占める原材料費や輸入部品の割合を差し引いた「現地での加工付加価値」が、原則として40%以上(協定により異なります)であれば、実質的変更と見なされます。

三 製造工程基準(特定加工工程基準)

特定の製造工程が行われた場合に適用されます。例えば、未加工のカカオ豆がある国でローストされ、チョコレートに加工される場合、特定の製造工程(焙煎や成形など)が行われたことにより、商品が別のものとみなされます。この基準では、工程の重要性や不可逆性が重視されます。また、化学反応を伴う製造工程などもこれに該当いたします。

3 原産地表示に関する法的リスクと罰則規定

不適切な原産地表示は、行政処分や刑事罰の対象となるだけでなく、企業の社会的信頼を根底から揺るがす事態に発展いたします。B氏のA社においても、以下の法律に細心の注意を払う必要があります。

(一)景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

日本国内で商品を販売する場合、景品表示法上の「不当な表示」として、原産地を誤認させる表示が禁じられています。

(景品表示法第五条第一項第一号)

一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示

これを受けて、「商品の原産地に関する不当な表示」という告示が出されており、実質的変更をもたらさない加工(例えば輸入品の詰め合わせなど)を行った国を原産地として表示することは違法となります。違反した場合には、措置命令や、売上額の3%という高額な課徴金納付命令が下される可能性があります。

(二)関税法による輸入差し止め

原産地を偽った表示がなされている貨物は、関税法に基づき、輸入を許可されません。

(関税法第七十一条 原産地を偽つた表示がされている貨物の輸入)

第一項 原産地について直接若しくは間接に偽つた表示又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物については、輸入を許可しない。

もし税関で指摘を受けた場合、表示の抹消や訂正を行わなければならず、そのための多大なコストや納期遅延が発生いたします。

4 実務で役立つ原産地判定および表示確認一覧表

B氏のような経営者が、取引開始前に活用できるチェックリストを作成いたしました。

【原産地規則・表示適正化チェックリスト】

確認項目|判定の指針|留意すべき点

--------|----------------|------------

材料の調達国|全ての原材料の生産国を把握しているか|完全生産品か実質的変更かの初動

HSコードの変化|加工前後の4桁コードが変化しているか|CTH(項変更基準)の適否

現地付加価値率|現地での原価や利益が40%を超えるか|VA(付加価値基準)の計算

特定工程の実施|不可逆的な化学反応や製造工程があるか|工程基準の適用の有無

表示の日本語訳|「ベトナム製」等の表現が実態と合うか|消費者の誤認防止

原産地証明書|特恵適用の場合、正式な証明書があるか|有効期限や署名の真正性

5 特恵原産地規則における「積算規定」と「僅少の基準」

B氏の事例をさらに専門的に分析するために、経済連携協定(EPA)特有のルールも確認しましょう。

一 積算規定(累計規定)

日本のEPAにおいては、複数の締約国(例えば日本とベトナム)の材料を組み合わせて生産した場合、それらを一つの原産品として合算して計算できる場合があります。これにより、中国産の材料を一部使用していても、日本由来の部品やベトナムでの加工費を合わせることで、原産地要件をクリアできる可能性が高まります。

二 僅少の基準(デ・ミニミス)

HSコード変更基準において、わずかな割合(一般に10%以下)であれば、コードが変わらない他国材料が含まれていても、原産品として認めるという緩和規定です。

6 不適切な管理が招くビジネス上の損害

間違った原産地表示や、特恵関税の不当な適用は、単なる事務的なミスでは済まされされない重大な経営リスクに直結いたします。

(一)多額の追徴課税

税関の事後調査により、原産地が否認された場合、過去数年分の免税額を遡って徴収されます。これに加え、過少申告加算税(10%から15%)や延滞税が課されます。

(二)重加算税の賦課

事実を隠蔽または仮装して原産地を偽ったとみなされた場合、35%という極めて重い重加算税が課されます。

(関税法第十二条の四 重加算税)

納税義務者がその税額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告をしていたときは、過少申告加算税に代え、不足税額の100分の35に相当する重加算税を課する。

(三)刑事事件化。悪質な原産地偽装は、刑法上の詐欺罪や、不正競争防止法違反、関税法違反として刑事告発される恐れがあります。法人の代表者が逮捕されれば、企業の社会的評価は完全に失墜いたします。

7 専門家による法的サポートの重要性と当事務所の役割

原産地規則の判定は、製品の構造、材料費の構成、製造プロセスの詳細など、多岐にわたる情報の分析を必要とします。当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、法務と実務の両面から強力なサポートを提供することが可能です。

【当事務所が提供できる具体的な支援内容】

一 製品の製造プロセスに基づく精緻な原産地判定の実施と意見書の作成。

二 経済連携協定(EPA)に基づく特恵関税適用のためのコンサルティング。

三 海外の製造元に対するデューデリジェンス(実態調査)の同行および指導。

四 不当景品類及び不当表示防止法に抵触しないためのラベル表示のリーガルチェック。

五 税関事後調査に対する事前シミュレーションおよび調査当日の立ち会い。

六 万が一の原産地否認時における当局との法的交渉、及び不服申立て手続き。

弁護士でありながら通関実務の深い知見を持つことで、単なる法令の解釈に留まらず、当局がどのような視点で調査を行い、どのような証拠書類を重視するかという実践的なアドバイスを提示することができます。

8 まとめ:適正な通関こそがビジネスを安定させる唯一の道

本日は、輸入ビジネスの健全な発展に不可欠な原産地規則について解説いたしました。B氏のようなケースであっても、当初から正しい法令知識に基づき、材料比率や加工工程を精査していれば、法的リスクを回避しつつ特恵関税のメリットを享受することが可能です。企業としては、輸入する貨物の内容や取引相手に支払う代金のみを気にしておけばよく、それ以外の手続面のことはほとんど気にしていない場合も多いものと思われます。

しかしながら、このような姿勢には大きなリスクがあると言わざるを得ません。通関手続きや貨物の運送などの手続き面について、専門家に任せることは非常に有用ですが、企業としてもそれらの点について最低限の知識を持ち、各手続において重要な点については逐一確認をとる等の対応が必要です。正しい法令知識に基づき、一つひとつの取引を精査すること。その地道な努力が、貴社のグローバルビジネスを安定させ、不測の事態から会社を守ることに繋がります。

当事務所は、貴社の良きパートナーとして、その専門性を最大限に発揮して、安定した海外展開をサポートし続けます。

適正な通関こそが、グローバルビジネスを安定させる唯一の道です。

【お問合せは、こちらから】

・・・・・・・・・・・

執筆:有森FA法律事務所 代表弁護士有森文昭(詳細プロフィールは、こちら

(注)2026年3月時点の法令に基づき内容を改定

本記事は2026年3月現在の法令に基づいた一般的な情報の提供を目的としています。個別の事案については、具体的な状況により判断が異なるため、必ず専門家にご相談ください。

用途の回答が曖昧なケース

2024-11-18

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

日本の大学のA教授は、外国ユーザーリストに掲載されている海外の大学から輸出令別表第1の16の項に該当する機器の提供依頼を受けた。用途を海外の大学側に確認したところ、曖昧な回答に終始された。A教授としては、海外の大学側は民生用途に使用するものと考えてはいるが、海外の大学側の回答内容を踏まえて、どのように対応すべきかを大学側に照会した。

 

2 正しい対応

海外の大学側が用途確認を事実上拒んでおりますので、需要者要件に関する明らかガイドラインに該当します。

そのため、大量破壊兵器キャッチオール規制の需要者要件に該当し、輸出許可を取得する必要があります。

A教授の主観的な考えはさておき、明らかガイドラインを踏まえて輸出許可の取得の有無は検討する必要がある点は改めて注意が必要です。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

絶版書籍と外為法

2024-11-03

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

日本の大学のA教授は、海外の知人の依頼で、10年前に出版されたものの現在は絶版となっておりほとんど手に入れることが不可能となっている専門書を郵送することにした。ただし、当該専門書においてはリスト規制該当技術の説明がなされていたため、当該専門書を郵送するにあたり役務取引許可を取得する必要があるかどうかを大学側に照会した。

 

2 正しい対応

既に絶版となっており、入手がほぼ困難になっているとしても、不特定多数の者に対して公開されている技術です。そのため、貿易外省令第9条第2項第9号に基づき、役務取引許可を取得することは不要です。

ただし、大学のコンプライアンスの観点からは輸出を認めるかどうか別途検討が必要です。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

無償告示と少額特例

2024-10-29

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

日本のメーカAは、1年前に海外に輸出した貨物について、故障したことから同等の製品を交換することを考えている。

その際にいわゆる無償告示の利用を検討しているが、1年前に輸出した際には少額特例を利用しており、通常の手続とは異なる手続で輸出していたことから、交換品の輸出に当たっては無償告示を利用することができず、他の特別な手続をとる必要があるのではないか、と考えている。

 

2 正しい対応

上記メーカーAの対応、慎重な姿勢であり輸出管理の観点からは望ましい姿勢ではありますが、本件に関しては、少額特例を利用して輸出した貨物についても、無償告示を利用することは可能です。ただし、無償告示の利用にあたっての各要件については一般貨物と同様に充足する必要があります。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

03-5877-4099電話番号リンク 問い合わせバナー