追徴課税は避けられない?「過少申告加算税」と「重加算税」の負担

1 追徴課税だけではない:加算税という重いペナルティ

税関の事後調査で関税や輸入消費税の申告漏れが指摘された場合、輸入事業者は本来納めるべき税額との差額を追徴されます。

しかし、真に企業にとって大きな負担となるのは、この追徴税額に加えて賦課される「加算税」です。

加算税は、申告義務の履行を促す行政罰的な側面を持ち、その種類と税率によって企業の財務に与える影響が大きく変わります。特に、「過少申告加算税」と「重加算税」のいずれが適用されるかで、ペナルティの重さが決定的に異なります。

(1)過少申告加算税:税率10%(原則)

過少申告加算税は、納税者が自ら申告した税額が、本来納めるべき税額よりも少なかった場合に課されます。

(2)重加算税:税率35%(最も重いペナルティ)

最も恐れるべきは重加算税です。これは、単なる申告ミスではなく、納税者が脱税のために事実を隠蔽したり、仮装したりして、意図的に過少申告を行ったと認められた場合に課される最も重いペナルティです。

重加算税の適用要件を満たさないことを疎明するためには、以下の要素が重要です。

①故意性の否定:申告漏れは、関税評価やHSコード分類の複雑な法解釈や計算ミスによるものであり、意図的な隠蔽ではないことを、具体的な書類やメールのやり取りを通じて主張します。

②合理的な理由の提示:輸入者が専門知識を持たない中で、通関業者や海外業者との連携ミスなど、やむを得ない理由でミスが発生したことを説明し、「納税義務を不当に免れようとする積極的な行為」ではないことを立証します。

③証拠の整理と選別:調査時に提出する書類を精査し、税関に誤解を与えかねない曖昧な記述や表現を事前に整理・説明することで、「隠蔽」と解釈されるリスクを排除します。

2 まとめ:初動と専門性が鍵

加算税の負担を最小限に抑える鍵は、事後調査の通知を受けた直後の「初動」と、関係法令を熟知した「専門性」です。不安な状況で焦って不適切な対応を取る前に、当事務所のような弁護士(通関士資格を保有)に相談することで、事後調査をスムーズに対応し、将来的に万全の体制を構築していくことが継続的なビジネスの発展の観点からは非常に重要と言えます。

 

 

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