事業者にとって広告は消費者に対して自社の商品等の魅力を伝えるための重要な方法ですが、行き過ぎた広告表示を行う場合、有利誤認表示として景表法違反が問題とな
ったケースをご紹介いたします(名古屋地判令和元年12月26日(LLI/DB(判例秘書登載)))。
このページの目次
1 事案の概要
消費者契約法2条4項の適格消費者団体であるXが、健康食品Aをインターネット上で販売するYに対し、本件商品の購入契約は、実際は本件商品を最低4回は継続して購入することを条件として初回については本件商品を定価から84%割引した価格で購入できるものであるにもかかわらず、本件商品を1回だけ購入する契約であるかのように装い、又、最低4回は継続購入する契約であるから1回当たりの平均支払金額よりも初回の支払金額を低額とする必要性及び合理性がないにもかかわらず初回の支払金額を強調して表示するものであり、有利誤認表示に該当するとして、景表法30条1項2号に基づき当該表示の差止めを求めた事案です。
2 裁判所の判断
本件契約がいかなる内容の契約であるかについて関心を有する一般消費者であれば、記載に目を通すことが通常想定される。この点に加えて、本件契約の申込みを行うには、本件申込ボタンをクリックする必要があるところ、本件申込ボタンの真下には、本件募集要項3項として、赤字で、「初回を含め最低4回(4か月)以上のご継続がお申込みの条件です。」と記載され、本件契約の定期購入条件が明示されているため、健全な常識を備えた一般消費者において、最低4回の継続が必要であることは容易に認識し得るといえる。
3 広告表示に関する規制についてはご注意ください
インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。
少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。
消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。