最新の裁判例その2

事業者にとって広告は消費者に対して自社の商品等の魅力を伝えるための重要な方法ですが、行き過ぎた広告表示を行う場合、景表法違反として措置命令等が下されることがあります。

本日は、措置命令が下されたことに対して事業者側が取消訴訟を提起した事案をご紹介いたします(東京地判令和4年4月28日(LLI/DB判例秘書登載))。

1 問題となった広告表示

商品に同封された広告冊子の記載が問題とされました。

問題とされた主要な部分は以下の通りです。

①表紙部分

「中年太り解決読本」という表題が記載され、その下、同じ服装を身に着けた太った体型の暗い表情をした女性のイラストと、痩せた体型の明るい表情をした女性のイラストが配置されていた。

「もう一度、あの頃のスリムな私に!」、「メーカーシェア日本一の中年太りサポート茶とは!?」等の文章が記載されていた

②冊子内の漫画部分

中年太りに悩むキャラクターが、該当の商品を日々の食事とともに毎日摂取すること等により、体重が減少して体型の変化を遂げ、これを見た家族も影響を受けて該当の商品の摂取を開始して体型の変化を遂げるというものである。

③裏表紙部分

各冊子の裏表紙部分には、中央部分に「Aで大違い」との文章が記載されており、その右側には「まだ、飲んでいない人。」との文言とともに比較的太った体型の女性の画像が掲載され、左側には「飲んでいる人。」との文言とともに比較的痩せた女性の画像が掲載されていた。

2 裁判所の判断

該当の広告表示が優良誤認表示に該当し、かつ裏付けとなる合理的資料の提出もなされていないとして事業者側の請求を棄却しました。

3 広告表示に関する規制についてはご注意ください

インターネットやSNSの発展に伴い、広告表示の方法は多種多様なものが登場しております。それに伴い、広告表示に関する規制も新たに様々な内容で設けられており、また、新たに検討もされております。

少し前までは問題なく行うことができた広告表示であっても、違法な広告表示となる場合もありますので、広告表示の方法が適切に行うことができるかどうかについては日常的に注意をすることが必要です。

消費者庁等のHPにおいて適宜情報は公開されておりますので、情報については常にアップデートしていただくことが重要ですが、自社においてそこまで手が回らない、公表されている内容が良く理解できない等必要に応じて、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。

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