二重価格表示にはご注意ください

1 二重価格表示のリスクについて

実際の販売価格として併記する形で「●●価格」と記載したものの、「●●価格」が根拠がないものであったことから、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成23年2月4日付措置命令)。

事案の概要としては、スーパーのチラシに、実際の販売価格に「当店価格」と称する比較

対照価格を併記することによって、実際の販売価格が当該「当店価格」よりも安いかのような広告表示がなされていました。

しかしながら、実際には、「当店価格」については、実際に販売する予定の又は販売されていた対象商品の価格ではなく、何の根拠もない価格表示でした。

このような広告表示について、景品表示法が禁止する有利誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

商品の価格の安さを強調するために工夫することはよくありますが、その工夫が行き過ぎると、一般消費者に誤解を生じさせるものとして違法なものとなります。

このケースが典型的な例で、二重価格表示における比較対象価格が根拠のないものであったことから景品表示法が禁止する有利誤認表示に該当するものと判断されました。

例えば、販売価格が100円であるところ、「通常価格200円」等と併記されている場合には、一般消費者から見れば非常にお買い得な商品と言えます。

しかしながら、当該商品を200円で売った実績はなく終始100円で売っているような場合には、やりすぎであると判断されることには異論はないでしょう。

なお、仮に業界の慣行としてこのような表示がなされていたとしても、いわゆる「業界の慣行」は、有利誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されませんので注意が必要です。

2 広告表示のやり過ぎには十分ご注意ください

最近のインターネットやSNSの利用状況を踏まえますと、商品やサービスに関する広告表示が景品表示法等の法令違反であった等と指摘された場合、その情報は瞬く間にSNS等で拡散してしまい、当該商品やサービスの販売などに直接的な影響が発生することはもちろん、その他の商品やサービス、ひいては会社全体の資質などに関しても悪い評判が広まってしまいます。

このようなリスクを避け、円滑なビジネスの運営を維持することが重要であり、広告表示については日常的な業務の一つとしてリーガルチェックを実施していただくことをお勧めいたします。

特に広告表示は、往々にして一般消費者に訴求するためにやや行き過ぎた表現が取られる傾向にありますので、慎重に表現を検討することが肝要です。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

keyboard_arrow_up

0358774099 問い合わせバナー 無料法律相談について