農産物の育成時に使用する肥料の表示について

1 農産物の育成時に使用する肥料の表示について

農産物の育成時に使用する肥料の表示が正確なものではなかったことから、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成22年12月8日付措置命令)。

事案の概要としては、ある企業販売する米について、その育成時に使用する肥料に関する情報として、米の包装袋に「化学肥料(窒素成分)栽培期間中不使用」と記載することにより、あたかも、育苗を含む育成過程等において窒素成分を含む化学肥料を全く使用していないと理解することが出来るような表示をしてていました。

しかしながら、実際には、窒素成分を含む化学肥料が使用されており、表示内容は虚偽の者でした。

このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

農産物に関する広告表示に関しては、問題となることもよくありますが、このケースでは、農産物の性質そのものというよりは、その育成過程で使用する肥料に関する情報が虚偽のものであったという事案でしたが、一般の消費者の感覚としては、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当することに異論がないものと思われます。

販売業者側の立場からすると、農産物の内容そのものには虚偽がないのではないか、という点が疑問に思われると思いますが、化学肥料を使用していないことが当該農産物の販売する際に重要な要素、消費者に訴求する点であったことを踏まえると、優良誤認表示に該当する点はやむを得ないものと考えられます。

なお、仮に業界の慣行としてこのような表示がなされていたとしても、いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されませんので注意が必要です。

2 企業のレピュテーションへのリスクを避けることは非常に重要です

最近のインターネットやSNSの利用状況を踏まえますと、商品やサービスに関する広告表示が景品表示法等の法令違反であった等と指摘された場合、その情報は瞬く間にSNS等で拡散してしまい、当該商品やサービスの販売などに直接的な影響が発生することはもちろん、その他の商品やサービス、ひいては会社全体の資質などに関しても悪い評判が広まってしまいます。

特に、農産物のような食べ物の場合には、悪評が経ってしまうと、消費者心理としては当該商品の購入を控える風潮となってしまい、大きく売上を減少させるリスクが高く、主力製品の場合には、企業の存続にも関わるよう名非常に重大な問題となってしまいます。

このようなリスクを避け、円滑なビジネスの運営を維持することが重要であり、広告表については日常的な業務の一つとしてリーガルチェックを実施していただくことをお勧めいたします。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

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