輸入を事業として取り扱っている方の中には、犯則調査、通告処分等の言葉を聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
また、知人が税関による犯則調査を受けており事業に大きな悪影響が発生してしまっている等の話を聞いたことがある方も相当程度いらっしゃるものと思います。
犯則調査は刑事事件であると誤解される場合もよくありますが、犯則調査は刑事事件の前段階の調査手続と理解することができます。
犯則調査の結果によっては刑事事件となる場合もありますし、調査の結果、通告処分で終わる場合もありますので注意が必要です。
本日は、関税等脱税事件に係る犯則調査の状況に関してご紹介いたします。
1 犯則調査の状況について
令和元事務年度における犯則調査による処分件数は271件、内、告発件数は9件、通告処分の件数は262件でした。
具体的な脱税額に関してですが、告発分に係る関税の合計額は2580万円、内国消費税の合計額は7870万円、通告処分分にかかる関税合計額は955万円、内国消費税合計額は3億3774万円でした。
また、品目としては①金地金199件(脱税額:3億6071万円)、②たばこ33件(344万円)、③腕時計24件(1996万円)、④バッグ類8件(150万円)、⑤アクセサリー類8件(233万円)等となっております。
次に平成30事務年度に関してご紹介いたします。
平成30事務年度における犯則調査による処分件数は536件、内、告発件数は12件、通告処分の件数は524件でした。
告発分に係る関税合計額はなし、内国消費税の合計額は4億147万円、通告処分分にかかる関税合計額は984万円、内国消費税合計額は6億4692万円でした。
また、品目としては①金地金404件(脱税額9億6004万円)、②たばこ89件(949万円)、③腕時計19件(1547万円)、④バッグ類11件(671万円)、⑤アクセサリー類4件(97万円)、等となっております。
2 犯則調査への対応には十分注意が必要です
冒頭でご説明した通り、犯則調査は、行政処分で終了する場合もありますが、刑事事件化される可能性もございます。
そのため、犯則調査はどうせ行政処分でおわる、大部分は行政処分で終わっているから大した問題ではない等と安易に考えてしまうことは非常に危険であると言わざるを得ません。
実際問題として、犯則調査の結果刑事事件化されるケースも相当程度ありますし、刑事事件化されてしまった場合には事業の存続に関わる重大な問題となりますので犯則調査への対応には十分注意が必要です。
当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、犯則調査への対応等に関して少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。