Archive for the ‘コラム~税関対応、事後調査対応~’ Category

輸入取引における「売手」と「買手」

2021-03-23

0 はじめに

まずは、当事務所に寄せられた具体的な相談事例をご紹介いたします。

「私は国内でアパレルショップを経営しております。この度、イタリアのメーカーから直接商品を購入することになりましたが、実際の契約手続きや代金の支払いは、香港にある仲介会社を通じて行っています。貨物はイタリアから日本へ直送されますが、インボイス(仕入書)の発行元は香港の会社です。この場合、税関への輸入申告において、誰を『売手』とし、誰を『買手』として申告すべきなのでしょうか。また、仲介手数料が発生している場合、それも課税価格に含まれるのでしょうか。正しい申告を行わなかった場合、後日税関の事後調査で指摘を受けるのではないかと不安を感じております。専門的な視点から、売手と買手の正確な認定基準について詳しく教えてください」

このような複雑な商流を伴う取引は、現代の国際貿易において決して珍しいものではありません。しかし、輸入通関の土台となる課税価格を決定するためには、まず「誰と誰の間の取引が、法的な輸入取引に該当するのか」を正確に見極める必要があります。

本日は、関税定率法に基づく売手と買手の考え方について、具体例を詳しく解説いたします。

1 原則的な課税価格の決定方法と売手・買手の定義

輸入貨物の課税価格を算出する際の最も基本的なルールは、関税定率法第四条第一項に定められています。

「輸入貨物の課税価格は、当該輸入貨物の輸入取引(買手が本邦に住所、居所、事務所、事業所その他これらに準ずるものを有しない者であるものを除く。)がされた場合において、買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加算した価格とする」 この条文が示す通り、課税価格は「買手」から「売手」へ支払われる価格がベースとなります。したがって、実務の第一歩として、この両者を正しく特定することが不可欠である点

(1)売手及び買手の本質的な意義

輸入取引における売手及び買手とは、単に書類上に名前が記載されている者ではなく、「実質的に自己の計算と危険負担の下に輸入取引をする者」を指します。

具体的には、以下のような役割と責任を負っているかどうかが判定の基準となります。

①自ら輸入貨物の品質、数量、価格、納期などの取引条件を交渉し、決定していること

②貨物の瑕疵(不良品)や数量不足、輸送中の事故、あるいは代金の回収不能といった経済的なリスクを自らの責任で負担していること

典型的な取引では、海外の輸出者が売手、日本の輸入者が買手となりますが、必ずしも「荷送人=売手」「荷受人=買手」とは限らない点に注意が必要です。

(2)具体例:仲介者が介在する場合の判定

冒頭の相談事例のように、メーカーと国内業者の間に仲介者が入る場合、その仲介者が単なる「代理人」なのか、それとも自らリスクを負う「売手」なのかによって、課税価格の計算根拠が変わります。仲介者が在庫リスクを負わず、単に手数料を受け取って取引を仲介しているだけであれば、売手は元のメーカー、買手は国内業者となります。この場合、買手から売手に支払われる代金が課税価格の基礎となります。

2 「輸入(申告)者」と「売手・買手」の関係

実務において混同されやすい概念に「輸入(申告)者」があります。輸入者とは、関税法上の用語であり、一般的には保税地域から貨物を引き取ろうとする者を指します。

(1)輸入者の資格

輸入者には、売手であっても買手であってもなることができます。

例えば、海外の売手が自ら輸入手続きを行い、日本国内の倉庫まで貨物を届ける(DDP条件など)場合、売手が輸入者となることもあります(税関事務管理人等の適正な手続をとる必要はあります。)。しかし、誰が輸入者であるかに関わらず、課税価格の算出の基礎となるのは、常に「輸入取引における売手と買手の間の取引価格」である点には注意が必要です。

(2)連続する転売取引がある場合

貨物が日本に到着するまでの間に、A社(外国)からB社(外国)、さらにB社からC社(日本)へと転売が繰り返されることがあります。この場合、どの取引が「本邦に到着させるために行われた輸入取引」に該当するかを判定しなければなりません。基本的には、日本への輸出を目的として締結された最後の売買契約が輸入取引とみなされます。この判定を誤ると、不当に低い価格や、逆に過大な価格で申告してしまうリスクが生じるため、慎重な検討が求められる点

以下に、売手と買手の認定における主要な確認項目を整理した図表を掲載いたします。

【表1 売手・買手の認定における判断基準】

項目名/具体的な確認内容/判定への影響

取引交渉の主体/価格や数量を誰が決定しているか/主導権を持つ者が当事者となる

代金の支払義務/誰が売手に対して送金を行うか/支払う者が買手となる

貨物の損傷リスク/輸送中の事故の損失を誰が被るか/リスク負担者が当事者となる

瑕疵担保責任/不良品の返品や交換を誰が要求するか/責任を追求する者が買手となる

転売の有無/輸入後に誰が誰に対して販売するか/最終的な輸出目的取引を特定する

3 実務上のトラブル事例と法的リスク

売手や買手の認定を誤った状態で輸入申告を継続すると、後日の税関事後調査において多額の追徴課税を受ける可能性があります。

(1)価格の過少申告リスク

例えば、実際には買手が売手のために別途負担している費用があるにもかかわらず、インボイスに記載された表面上の金額だけで申告してしまった場合、それは過少申告とみなされます。関税法に基づき、不足分の関税・消費税に加え、過少申告加算税や延滞税が課されることとなる点

(2)特殊関係の影響

売手と買手の間に、親子会社のような「特殊関係」がある場合、その関係によって取引価格が恣意的に低く設定されていないかが厳しくチェックされます。関税定率法第四条第二項の規定により、特殊関係が価格に影響を与えていると判断された場合、実際の取引価格を課税価格として認めてもらえないことがあります。

【表2 輸入取引に関連する各主体の役割比較】

呼称/法的な定義や役割/課税価格決定における位置付け

売手/自己の計算とリスクで貨物を販売する者/価格の受領者であり計算の基礎

買手/自己の計算とリスクで貨物を購入する者/価格の支払者であり計算の主体

荷送人/貨物の発送手続きを行う実務上の主体/必ずしも売手とは限らない

荷受人/貨物の受け取りを行う実務上の主体/必ずしも買手とは限らない

輸入(申告)者/税関に対して輸入の申告を行う者/買手または売手等がなり得る

4 弁護士へのご相談をご希望の方へ

輸入貨物の課税価格の決定は、単なる事務的な手続きではなく、複雑な法令が絡み合うプロセスです。当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する国家資格である通関士資格を保有しており、貿易実務で生じるトラブルに対して、アドバイスを提供することが可能です。

特に、以下のような課題でお困りの際には、お気軽にお問い合わせください。

①複雑な仲介取引や連続取引における「売手」及び「買手」の正確な法制度上の認定

②税関の事後調査に対する立ち会いおよび法的な主張の構成

③特殊関係にある企業間の取引価格の妥当性に関するリーガルオピニオンの作成

④関税法違反等で貨物が差し押さえられた場合の権利救済手続き

⑤国際売買契約書の作成・レビューを通じた、通関リスクの未然防止

輸入手続き上の疑問や不安を放置することは、将来的な経営リスクを抱え続けることと同義です。少しでもご不安な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。

【お問合せは、こちらから】

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執筆:有森FA法律事務所 代表弁護士有森文昭(詳細プロフィールは、こちら

(注)2026年3月時点の法令に基づき内容を改定

本記事は2026年3月現在の法令に基づいた一般的な情報の提供を目的としています。個別の事案については、具体的な状況により判断が異なるため、必ず専門家にご相談ください。

輸入事後調査における事前通知と備え

2021-01-26

0 はじめに:相談事例

まずは、当事務所に実際に寄せられた相談をベースにした、典型的な事例をご紹介いたします。

【相談者:中堅輸入商社 C社 物流管理部長】

「当社は長年、家具や雑貨の輸入を行っております。先日、事前の連絡もなく、突然税関の職員が数名、本社に調査にやってきました。『輸入事後調査を実施します』とのことでしたが、通常は事前に電話や書面で通知が来るものだと思っていましたので、非常に驚き、現場は混乱してしまいました。その日は主要な担当者が不在だったこともあり、十分な説明や資料の提示ができませんでした。このように、事前通知なしで調査が始まることは法的に許されるのでしょうか。また、抜き打ち調査が行われる場合にはどのような背景があるのでしょうか。今後の適切な対応方法を知りたいです。」

このような「突然の事後調査」に直面した企業の動揺は計り知れません。

以下では、輸入事後調査における通知の仕組みと、根拠となる法令、そして企業が取るべき対策について詳しく解説いたします。

1 輸入事後調査と事前通知の原則

輸入事後調査とは、貨物の輸入許可後において、税関が輸入者の事業所などを訪問し、申告内容の適正性を帳簿や書類等に基づき確認する手続きです。

【事前通知の運用実態】

一般的に、税関は調査の円滑な遂行と輸入者側の準備期間を考慮し、調査実施の数週間前に電話または書面にて事前通知を行う運用をしています。これにより、輸入者は過去の輸入書類を整理し、担当者のスケジュールを確保することが可能となります。しかし、この事前通知は「絶対的な義務」ではないという点に、実務上の大きな落とし穴があります。

2 事前通知を規定する法令とその例外

輸入事後調査の事前通知については、関税法そのものよりも、行政手続法および税務調査の手続きに準じた運用がなされています。

関税法第105条第1項第6号では税関職員の検査権限が規定されていますが、通知に関しては国税通則法第74条の9第1項の規定が実務上の指針となっています。

「税務署長等は、国税庁等又は税務署の職員に納税義務者に対し実地調査を行う場合には、あらかじめ、当該納税義務者に対し、その旨及び調査を開始する日時、調査を行う場所その他政令で定める事項を通知するものとする。」

【事前通知を要しない場合の例外規定】

しかし、同法第74条の10には、以下のような重要な例外規定が存在します。

「税関長は、申告の内容、過去の調査の結果、事業の内容その他の事情に照らし、事前通知をすることによって、適正な税額等の把握を困難にするおそれ、又は調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、前三項の規定にかかわらず、事前通知をすることなく調査を行うことができる。」

つまり、税関が「通知をすると証拠隠滅や口裏合わせをされるリスクがある」、あるいは「正確な実態把握ができない」と判断した場合には、法的根拠に基づいて、予告なしの調査(無予告調査)を強行することが認められているのです。

3 事前通知がなされない具体的な判断基準

税関の公式見解や実務指針に基づくと、以下のような状況下では事前通知が行われない可能性が高まります。

①隠蔽・仮装の疑い:過去の申告において意図的な過少申告や書類の偽造が発覚している場合

②事業形態の特殊性:現金取引が主体である、あるいは在庫の流動性が極めて高く、抜き打ちでなければ実数把握が困難な場合

③第三者からの情報提供:脱税や不当申告に関する具体的な情報が税関に寄せられている場合

ただし、冒頭の相談事例のように、特に身に覚えがない企業であっても、税関側の「リスク分析」の結果として無予告調査の対象に選定されるケースは十分にあり得ます。

4 輸入事後調査の形式と通知の有無(比較一覧表)

事後調査の形態と通知の関係を、以下の表にまとめました。

【表:輸入事後調査の種類と運用の比較】

調査の形態 事前通知の有無 主な目的と特徴 輸入者側の対応準備
一般事後調査 原則としてあり(4週間前程度) 申告全体の適正確認、帳簿管理状況の把握。 過去5年分のインボイス、契約書等の整理。
無予告調査 法令に基づきなし(当日訪問) 隠蔽・仮装の防止、現況の即時把握。 弁護士への即時連絡、当日の応接体制の確認。
特別調査 あり、またはなし 特定の重要案件や、大規模な脱税疑念がある場合。 専門チームの編成、徹底した内部調査。
簡易的な照会 なし(電話や書面) 単一の輸入申告に対する疑義の解消。 該当資料の迅速な提出。

5 無予告調査が行われた際の対応の注意点

もし事前通知なしに税関職員が訪問してきた場合、輸入者はどのように振る舞うべきでしょうか。

5-1 身分証の確認と調査目的の把握

まずは、来訪した職員の「税関職員証」の提示を求め、所属部署と氏名を確認します。

また、関税法第105条第1項に基づき、どの範囲(どの貨物やどの期間)についての調査なのかを明確に質問する必要があります。

5-2 専門家(弁護士等)への連絡

無予告調査であっても、弁護士等の立ち会いを求める権利はあります。

職員に対し、「顧問弁護士が到着するまで待機してほしい」と伝えることは正当な要求です。ただし、調査自体を不当に拒否することは、関税法上の罰則(検査拒否罪)の対象となるため、協力姿勢を示しつつも慎重に対応する必要があります。

5-3 書類の提示と預かり証

税関職員が書類の持ち出し(領置)を希望した場合は、必ず「預かり証」の発行を求めてください。どの書類が回収されたかを正確に把握しておかないと、その後の防御活動に支障をきたします。

6 「通知を待つ」ことのリスクと事前対策

「通知が来てから準備すればよい」という考えは、無予告調査の可能性を排除している点において非常に危険です。万が一の抜き打ち調査で不適切な対応をしたり、資料が散逸していたりすると、本来は「過失」であった間違いが「隠蔽」と疑われ、重加算税を課されるリスクが増大します。

【推奨される事前対策】

①自主的な内部監査:年に一度は過去の申告書類を抽出し、実際の送金記録や契約書との整合性をセルフチェックする。

②保存書類のデジタル化と整理:関税法で義務付けられている帳簿等の保存期間(原則7年)を遵守し、誰でもすぐに出せる状態にしておく。

③対応マニュアルの策定:突然の訪問時に、誰が受付をし、誰が対応責任者となるかを決めておく。

7 当事務所が提供する事後調査サポート

輸入事後調査は、事前の通知があってもなくても、輸入者にとって精神的・実務的に大きな負担となります。税関側の意図を正確に汲み取り、不当な不利益を被らないようにするためには、通関と法律の両面を知り尽くしたアドバイザーが必要です。

当事務所の代表弁護士は通関士資格を有しており、数多くの事後調査において輸入者の立ち会いを行ってまいりました。

①調査前のシミュレーション:現状の申告体制の脆弱性を指摘し、是正をサポートします。

②調査当日の立ち会い:税関職員の質問に対し、法的に適切な範囲で回答を補佐し、現場の混乱を防ぎます。

③調査後の交渉と修正申告:指摘事項に対する反論書面の作成や、加算税の減免に向けた交渉を代理します。

8 おわりに

輸入事後調査の通知は、あくまで税関側の「配慮」による運用の一環であり、法的権利として保証されているものではありません。いつ、どのような形で調査が始まっても揺るがない体制を築いておくことこそが、真のコンプライアンス経営といえます。

「もし今、税関が来たらどうなるだろうか」と少しでも不安に感じられた方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。事後調査を恐れるのではなく、適切に受け入れ、乗り越えるためのパートナーとして貴社を支えます。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。

【お問合せは、こちらから】

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執筆:有森FA法律事務所 代表弁護士有森文昭(詳細プロフィールは、こちら

(注)2026年3月時点の法令に基づき内容を改定

本記事は2026年3月現在の法令に基づいた一般的な情報の提供を目的としています。個別の事案については、具体的な状況により判断が異なるため、必ず専門家にご相談ください。

輸入事後調査の罰則リスクと正しい対応策

2021-01-07

1 はじめに:輸入事後調査を甘く見てはいけない理由

「税関の輸入事後調査は、強制捜査ではない『任意』の調査だから、適当にあしらっておけば大丈夫だろう」

もし貴社がそのようにお考えであれば、今すぐその認識を改める必要があります。

実際に当事務所に相談に来所された方の中で、稀にですがこのようなことを仰る方がおりますが、非常にリスクの高い認識と言わざるを得ません。

2026年現在、コンプライアンス遵守の機運はかつてないほど高まっており、輸出入実務における「誠実な対応」こそが、あらゆる面で企業を守る最大の防御となります 。

結論から申し上げます。

輸入事後調査は形式上「任意」ではありますが、法令に基づく強力な「質問検査権」に裏打ちされており、不適切な対応には罰金等の刑事罰が科される明確なリスクが存在します 。

本記事では、輸入事後調査で陥りやすい誤解と、実務家(通関士資格を有する弁護士)の視点から見た、不測の事態を避けるための最初に一歩と言える知識を解説していきます。

2 「任意調査」に潜む法的強制力と罰則の真実

輸入事後調査の法的性格は、関税法に基づいています。

確かに輸入事後調査は、税関職員がいきなり土足で踏み込んでくるような強制捜査ではありません(反則調査の場合はこのようなケースもございます)。

しかし、法は調査の有効性を担保するために、以下の厳しいルールを設けています 。

(1)帳簿書類等の提示・提出拒否のリスク

調査の際、税関職員から取引に関する帳簿や書類(インボイス、パッキングリスト、契約書、送金記録など)の提示を求められることがあります。これに対し、「面倒だ」「見せたくない」といった主観的な理由で拒むことはできません。正当な理由なくこれらを拒否、または妨害した場合、「1年以下の懲役(現在は拘禁刑)又は50万円以下の罰金」という刑事罰の対象となる可能性があるのです。

(2)虚偽記載・書類改ざんの代償

最もやってはいけないのが、自社にとって不都合な事実を隠すために書類を「修正」したり、虚偽の回答を行ったりすることです。

「少し数字をいじれば追徴課税を免れられる」といった安易な判断は、前述の刑事罰を招くだけでなく、税関からの社会的信用を完全に失墜させます。一度「不誠実な輸入者」とみなされれば、その後の通関検査が厳格化されるなど、長期的なビジネス上のデメリットは計り知れません。

書類を改ざんすることは絶対に行ってはいけません。

3 「個人の私物」なら隠せるという大きな誤解

実務の現場でたまに聞かれるのが、「会社名義ではない個人のスマホや手帳、私的なノートなどは調査の対象外であり、提示を拒否できるはずだ」という主張です。

しかし、これは大きな誤解です。

税関職員の調査権限は、輸入者の事業に関連する事項に及びます。そのため、たとえ形式上は個人の私物であっても、そこに輸入業務に関するやり取り(SNSのチャット履歴、個人的なメモ書きなど)が含まれている、あるいは含まれていると疑われる合理的な理由がある場合、提示・提出義務が発生することがあります 。

「私物だから」という一点張りで頑なに拒絶し続けることは、かえって「何か隠蔽しているのではないか」という強い疑念を抱かせる結果となり、調査を長期化させる一因となります。このような事態を避けるためにも、日常的な準備をはじめ、輸入事後調査の実施が決まった時点での徹底した準備、調査当日の専門家の立ち会いは非常に重要であり、現場では法的にどこまでが開示範囲かを冷静に見極める必要があります 。

4 専門家が教える:輸入事後調査に向けた「3つの備え」

事後調査の通知が届いてから慌てるのではなく、日頃から以下の管理体制を構築しておくことが、結果として貴社を守ることにつながります 。

①結論先行の説明ができるような備え

調査当日は、税関職員に対して「結論から述べる」回答を徹底した方がスムーズです。

調査において「当時は適当に行っており……」といった世間話や曖昧な前置きは不要ですし、徒に調査を長引かせることにつながります。

「今回の取引価格の根拠は●●契約に基づくもので、資料はこれです」とはっきりと提示することで、調査はスムーズに進みます 。

②一次情報の整備と定期確認

法令は常に変化します。

過去の成功体験に頼るのではなく、常に最新の関税法、関係政省令を確認しておく必要があります。

また、社内の業務マニュアルも、「●年●月の法改正に対応済み」といった形で常にアップデートしておくことが、組織としての信頼性を高めます 。

③「よくある質問」をネタ帳にする

社内で頻繁に発生する「この経費は加算要素になるのか?」、「無償提供品はどう扱うべきか?」といった疑問をリスト化し、専門家のアドバイスを受けて整理しておきましょう。これがそのまま事後調査時に指摘される可能性のある論点となります。

5 通関士資格を有する弁護士によるサポート

輸入事後調査は、単なる事務手続きではありません。

それは「法律の解釈」と「実務の運用」が複雑に絡み合う場です。

当事務所の代表弁護士は、弁護士であると同時に、「通関士」試験に合格しており「通関士」の資格を保有しております。

これは、教科書的な法律論だけでなく、現場での「生の声」や「慣習」を把握していることを意味します 。

輸入事後調査の対応においては、例えば以下のようなサポートを提供しております。

①事前準備:過去数年分の申告書類を精査し、リスク箇所を事前に特定します。

②当日立会:不当な質問や範囲外の検査に対しては、法的根拠に基づき即座に異議を申し立てます。

③事後交渉:万が一の指摘事項に対しても、修正申告の妥当性を精査し、過度なペナルティを防ぎます。

「とりあえず自分で対応してみよう」という判断が、取り返しのつかないデメリットを招く前に、ぜひ一度ご相談ください。

輸入事後調査においては事前にどの程度準備できるかが調査の結果の9割を占めると言っても過言ではありません。

6 お問い合わせ

輸入事後調査に関する不安や、具体的な対策についてのご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。

【お問合せは、こちらから】

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執筆:有森FA法律事務所 代表弁護士有森文昭(詳細プロフィールは、こちら

(注)2026年3月時点の法規制に基づき内容を改定

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