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知的財産権侵害物品の具体的な差止実績

2023-11-14

知的財産権の侵害は、独創的な技術やアイデアの発展を損なうものですので、幅広く規制が行われていますが、輸入品が知的財産権を侵害しているとして問題になる場合も多くあります。

本日は、税関が公表した令和5年上半期における知的財産権侵害物品の差止状況についてご紹介いたします。

 

1 令和5年上半期における知的財産権侵害物品の具体的な差止実績について

税関(財務省)から公表された令和5年上半期における知的財産権侵害物品の具体的な差止実績の概要は、以下の通りです。

①輸入差止件数は、偽ブランド品などの商標権侵害物品が14,991件(構成比95.8%、前年同期比25.1%増)で、引き続き全体の大半を占めました。次に、偽キャラクターグッズなどの著作権侵害物品が374件(同2.4%、同5.1%減)でした。

②輸入差止点数は、商標権侵害物品が238,004点(構成比51.0%、前年同期比11.0%減)で、次いで意匠権侵害物品が178,916点(同38.4%、同295.4%増)、著作権侵害物品が41,112点(同8.8%、同44.9%減)でした。

 

知的財産権侵害物品の差止状況ですが、全体としては年々増加傾向にあるといえます。

知的財産権侵害については、権利者にとっては回復できない損害を与えるものですので、税関としても検査や摘発を厳しく行っているといえますが、問題のある輸入はなかなか減らない現状です。

権利者側としては、自身の権利を侵害する貨物が出回っていないかを常に注意するとともに、もしそのような疑いがある場合には速やかに税関に相談する、差止の申し立てを行う等適切な対応を取り、権利を守っていく姿勢を示すことが重要です。

 

2 輸出、輸入に関しては様々な法規制がありますのでご注意ください

日本は貿易大国ですが、輸出や輸入に関しては様々な法規制が存在します。

輸出に関しては、外為法を中心に厳格な規制が存在しており、それに反する輸出をすると刑事事件等に発展するリスクがあります。

また、輸入に関しては、基本的には申告納税方式が採用されておりますが、輸入後には輸入事後調査等が存在しておりますので、安易に間違った申告をすることは絶対に避ける必要があります(場合によっては脱税等に該当するリスクもあります。)。

事業として輸出や輸入に従事している以上は、知らなかったでは済まされませんので、自社の事業に関する輸出や輸入に関連した法規制については十分注意する必要があります。

これらの法規制は変更になることも多いので、定期的に自社に関連する法規制を確認いただく必要があることは改めてご留意ください。

なかなか自社で法規制を確認することが難しい場合には、適宜専門家を含めてご相談等いただくことを強くお勧めいたします。

リスト規制と該非判定について

2023-10-31

様々な技術革新によって、現代社会は人やモノの行き来がこれまでになく自由に行われている状況です。

しかしながら、そのような中でも国際平和及び安全の観点から、国際的な輸出管理レジームが存在します。

日本ではそのような国際輸出管理レジームを踏まえて独自の安全保障貿易管理制度を設けております。

本日は、その内のリスト規制をご紹介いたします。

 

1 リスト規制と該非判定の重要性について

リスト規制とは、国際的な合意を踏まえ、武器並びに大量破壊兵器等及び通常兵器の開発等に用いられるおそれの高いものを法令等でリスト化して、そのリストに該当する貨物や技術を輸出や提供する場合には、経済産業大臣の許可が必要になる制度です。

・規制対象の貨物は、「輸出令・別表第1」の 1 項~15 項、

・規制対象の技術は、「外為令・別表」の 1 項~15 項にリスト化され、

・規制対象の貨物や技術の機能や仕様(スペック)は、「貨物等省令」に規定されています。

 

その為、実務上はリスト規制に該当する貨物や技術に該当するかどうかを判断するために該非判定が非常に重要となります。

この該非判定を慎重にかつ厳格に行わずに間違った対応を取ってしまった場合には、無許可輸出等の違法行為に該当することになってしまいますので十分ご注意ください(該非判定を行う際には、仕入元等にも協力してもらう必要がありますので、輸出の前の製品の製造、購入の段階から適切な取り扱いを行うことが重要です。)。

 

2 輸出、輸入に関しては様々な法規制がありますのでご注意ください

日本は貿易大国ですが、輸出や輸入に関しては様々な法規制が存在します。

輸出に関しては、外為法を中心に厳格な規制が存在しており、それに反する輸出をすると刑事事件等に発展するリスクがあります。

また、輸入に関しては、基本的には申告納税方式が採用されておりますが、輸入後には輸入事後調査等が存在しておりますので、安易に間違った申告をすることは絶対に避ける必要があります(場合によっては脱税等に該当するリスクもあります。)。

事業として輸出や輸入に従事している以上は、知らなかったでは済まされませんので、自社の事業に関する輸出や輸入に関連した法規制については十分注意する必要があります。

これらの法規制は変更になることも多いので、定期的に自社に関連する法規制を確認いただく必要があることは改めてご留意ください。

なかなか自社で法規制を確認することが難しい場合には、適宜専門家を含めてご相談等いただくことを強くお勧めいたします。

安全保障貿易管理制度

2023-10-25

様々な技術革新によって、現代社会は人やモノの行き来がこれまでになく自由に行われている状況です。

しかしながら、そのような中でも国際平和及び安全の観点から、国際的な輸出管理レジームが存在します。

日本ではそのような国際輸出管理レジームを踏まえて独自の安全保障貿易管理制度を設けております。

 

1 日本における安全保障貿易管理制度について

我が国の安全保障貿易管理制度は、国際輸出管理レジームでの合意を受けて、外為法を含む以下の法令等に基づき実施しています。

①外為法:貨物の輸出と技術の提供の規制を規定。なお、外為法に基づく規制は、『リスト規制』と『キャッチオール規制』から構成されており、これらの規制に該当する貨物の輸出や技術の提供は、経済産業大臣の許可が必要になる点に特徴があります。

②輸出令:規制対象の貨物を規定

③外為令:規制対象の技術を規定

④貨物等省令:規制対象の貨物や技術の機能や仕様を規定

 

なお、たまにご質問いただくことがありますが、これらの輸出規制は、「輸出しようとする者」が対象となりますので、個人(自然人)についても当然規制は及びます。

たまにこれらの大規模な規制は法人が対象であり、単なる個人に対しては規制が免除されると誤解されている方もおりますので、改めて個人であっても規制対象となる点には十分ご注意ください。

 

2 輸出、輸入に関しては様々な法規制がありますのでご注意ください

日本は貿易大国ですが、輸出や輸入に関しては様々な法規制が存在します。

輸出に関しては、外為法を中心に厳格な規制が存在しており、それに反する輸出をすると刑事事件等に発展するリスクがあります。

また、輸入に関しては、基本的には申告納税方式が採用されておりますが、輸入後には輸入事後調査等が存在しておりますので、安易に間違った申告をすることは絶対に避ける必要があります(場合によっては脱税等に該当するリスクもあります。)。

事業として輸出や輸入に従事している以上は、知らなかったでは済まされませんので、自社の事業に関する輸出や輸入に関連した法規制については十分注意する必要があります。

これらの法規制は変更になることも多いので、定期的に自社に関連する法規制を確認いただく必要があることは改めてご留意ください。

なかなか自社で法規制を確認することが難しい場合には、適宜専門家を含めてご相談等いただくことを強くお勧めいたします。

国際輸出管理レジーム

2023-10-17

様々な技術革新によって、現代社会は人やモノの行き来がこれまでになく自由に行われている状況です。

しかしながら、そのような中でも国際平和及び安全の観点から、国際的な輸出管理レジームが存在します。

このような国際輸出管理レジームの中で主要なものが4つあります。

 

1 主要な国際輸出管理レジームについて

①NSG(Nuclear Suppliers Group)

核兵器の製造等に使用される可能性のある原材料や技術等の輸出規制を主たる内容としています(輸出令別表第1・外為令別表2の項)。

②オーストラリア・グループ(Australia Group)

核兵器や生物兵器の原材料や技術等の輸出規制を主たる内容としています(輸出令別表第1・外為令別表3の項・3の2の項)。

③MTCR(Missile Technology Control Regime)

大量破壊兵器の運搬に寄与できるミサイルやその他の部分品等の輸出規制を主たる内容としています(輸出令別表第1・外為令別表4の項)。

④ワッセナー・アレンジメント(WA)

地域の安定を損なう通常兵器の過剰な蓄積を防止する目的に原材料等の輸出規制を主たる内容としています(輸出令別表第1・外為令別表5から15の項)。

 

以上の主要な国際輸出管理レジームについて、日本は全てに参加しておりますが、全く参加していな国、一部にのみ参加している国等も多数存在しておりますので、世界で共通のレジームとなってまではいないというのが実情です。

 

2 輸出、輸入に関しては様々な法規制がありますのでご注意ください

日本は貿易大国ですが、輸出や輸入に関しては様々な法規制が存在します。

輸出に関しては、外為法を中心に厳格な規制が存在しており、それに反する輸出をすると刑事事件等に発展するリスクがあります。

また、輸入に関しては、基本的には申告納税方式が採用されておりますが、輸入後には輸入事後調査等が存在しておりますので、安易に間違った申告をすることは絶対に避ける必要があります(場合によっては脱税等に該当するリスクもあります。)。

事業として輸出や輸入に従事している以上は、知らなかったでは済まされませんので、自社の事業に関する輸出や輸入に関連した法規制については十分注意する必要があります。

これらの法規制は変更になることも多いので、定期的に自社に関連する法規制を確認いただく必要があることは改めてご留意ください。

なかなか自社で法規制を確認することが難しい場合には、適宜専門家を含めてご相談等いただくことを強くお勧めいたします。

犯則調査の通常の実施状況

2023-10-10

輸入を事業として取り扱っている方の中には、犯則調査、通告処分等の言葉を聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

犯則調査と刑事事件の区別がつかず、警察が家宅捜索にくる等と誤解される場合もよくありますが、犯則調査は刑事事件の前段階の調査手続であり調査主体は税関であると理解する必要があります。

犯則調査の結果によっては刑事事件となる場合もありますし、調査の結果、通告処分で終わる場合もありますので対応には十分な注意が必須となります。

本日は、関税等脱税事件に係る犯則調査の状況に関してご紹介いたします。

 

1 犯則調査の状況について

平成29事務年度における犯則調査による処分件数は合計841件、内、告発件数は33件、通告処分の件数は808件でした。

具体的な脱税額に関してですが、告発分に係る関税の合計額は1億309万円、内国消費税の合計額は3億6250万円、通告処分分にかかる関税合計額は870万円、内国消費税合計額は12億5019万円でした。

また、品目としては①金地金720件(脱税額:15億389万円)、②たばこ82件(779万円)、③腕時計14件(1341万円)、④バッグ類7件(280万円)、⑤アクセサリー類9件(312万円)等となっております。

 

次に平成28事務年度に関してご紹介いたします。

平成28事務年度における犯則調査による処分件数は561件、内、告発件数は12件、通告処分の件数は549件でした。

告発分に係る関税合計額は4388万円、内国消費税の合計額は1億4813万円、通告処分分にかかる関税合計額は1531万円、内国消費税合計額は7億6005万円でした。

また、品目としては①金地金467件(脱税額8億7361万円)、②たばこ54件(603万円)、③腕時計10件(648万円)、④バッグ類23件(959万円)、⑤アクセサリー類3件(44万円)、等となっております。

 

2 犯則調査への対応には十分注意が必要です

冒頭でご説明した通り、犯則調査は、行政処分で終了する場合もありますが、刑事事件化される可能性もあります。

そのため、犯則調査は大部分は行政処分で終わっているからどうせ通告処分で終わり大した問題には発展しない等と安易に考えてしまうことは非常に危険であると言わざるを得ません。

実際問題として、犯則調査の結果刑事事件化されるケースも相当程度ありますし、刑事事件化されてしまった場合には事業の存続に関わる重大な問題となりますので犯則調査への対応には十分注意が必要です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、犯則調査への対応等に関して少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

犯則調査の具体的な実施状況

2023-10-03

輸入を事業として取り扱っている方の中には、犯則調査、通告処分等の言葉を聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

また、知人が税関による犯則調査を受けており事業に大きな悪影響が発生してしまっている等の話を聞いたことがある方も相当程度いらっしゃるものと思います。

犯則調査は刑事事件であると誤解される場合もよくありますが、犯則調査は刑事事件の前段階の調査手続と理解することができます。

犯則調査の結果によっては刑事事件となる場合もありますし、調査の結果、通告処分で終わる場合もありますので注意が必要です。

本日は、関税等脱税事件に係る犯則調査の状況に関してご紹介いたします。

 

1 犯則調査の状況について

令和元事務年度における犯則調査による処分件数は271件、内、告発件数は9件、通告処分の件数は262件でした。

具体的な脱税額に関してですが、告発分に係る関税の合計額は2580万円、内国消費税の合計額は7870万円、通告処分分にかかる関税合計額は955万円、内国消費税合計額は3億3774万円でした。

また、品目としては①金地金199件(脱税額:3億6071万円)、②たばこ33件(344万円)、③腕時計24件(1996万円)、④バッグ類8件(150万円)、⑤アクセサリー類8件(233万円)等となっております。

 

次に平成30事務年度に関してご紹介いたします。

平成30事務年度における犯則調査による処分件数は536件、内、告発件数は12件、通告処分の件数は524件でした。

告発分に係る関税合計額はなし、内国消費税の合計額は4億147万円、通告処分分にかかる関税合計額は984万円、内国消費税合計額は6億4692万円でした。

また、品目としては①金地金404件(脱税額9億6004万円)、②たばこ89件(949万円)、③腕時計19件(1547万円)、④バッグ類11件(671万円)、⑤アクセサリー類4件(97万円)、等となっております。

 

2 犯則調査への対応には十分注意が必要です

冒頭でご説明した通り、犯則調査は、行政処分で終了する場合もありますが、刑事事件化される可能性もございます。

そのため、犯則調査はどうせ行政処分でおわる、大部分は行政処分で終わっているから大した問題ではない等と安易に考えてしまうことは非常に危険であると言わざるを得ません。

実際問題として、犯則調査の結果刑事事件化されるケースも相当程度ありますし、刑事事件化されてしまった場合には事業の存続に関わる重大な問題となりますので犯則調査への対応には十分注意が必要です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、犯則調査への対応等に関して少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

犯則調査の現況について

2023-09-26

輸入を事業として取り扱っている方の中には、犯則調査、通告処分等の言葉を聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

また、知人が犯則調査を受けており大変なことになっている等の噂を聞いたことがある方も相当程度いらっしゃるものと思います。

犯則調査と刑事事件はよく混同される表現ですが両者は似て非なるものですので注意が必要です。

本日は、関税等脱税事件に係る犯則調査の状況に関してご紹介いたします。

 

1 犯則調査の状況について

令和3事務年度における犯則調査による処分件数は39件、内、告発件数は2件、通告処分の件数は37件でした。

告発分に係る内国消費税の合計額は1117万円、通告処分分にかかる関税合計額は1695万円、内国消費税合計額は5184万円でした。

また、品目としては①金地金13件(2048万円)、②たばこ3件(122万円)、③腕時計11件(2147万円)、④バッグ類14件(3219万円)、⑤アクセサリー類5件(233万円)、⑥化粧品3件(1万円)等となっております。

 

次に令和2事務年度に関してご紹介いたします。

令和2事務年度における犯則調査による処分件数は36件、内、告発件数は4件、通告処分の件数は32件でした。

告発分に係る関税合計額は1億4798万円、内国消費税の合計額は2億5980万円、通告処分分にかかる関税合計額は351万円、内国消費税合計額は3705万円でした。

また、品目としては①金地金20件(脱税額8913万円)、②たばこ5件(418万円)、③腕時計4件(294万円)、④バッグ類7件(2499万円)、⑤アクセサリー類3件(14万円)、等となっております。

 

2 犯則調査への対応には十分注意が必要です

犯則調査は、行政処分で終了する場合もありますが、刑事事件化される可能性もございます。

そのため、犯則調査はどうせ行政処分でおわるからほっておけばよい等と安易に考えることは非常に危険です。

実際問題として、犯則調査の結果刑事事件化されるケースも相当程度ありますので犯則調査への対応には十分注意が必要です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、犯則調査への対応等に関して少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

輸出事業者の帳簿書類の保存義務

2023-09-19

輸出事業者の方であれば、輸出許可書やインボイスなどをある程度の期間保存しておかなければならない、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

もちろん、法令の規定に沿って適切に対応している事業者の方も多くいらっしゃるものと思いますが、日々の業務に忙殺されてしまい、適切な対応をすることができていない事業者の方も相当程度いらっしゃるものと思います。

本日は、輸出事業者の方の帳簿書類の保存義務に関してご紹介いたします。

 

1 輸出事業者の帳簿書類の保存義務について

輸出事業者が保存すべき帳簿書類については、具体的には以下のとおりです。

 

まず、品名、数量、価格、仕向人の氏名(名称)、輸出許可年月日、許可書の番号を記載された帳簿(必要事項が網羅されている既存帳簿、仕入書等に必要項目を追記したものでも可)については、5年間(輸出許可の日の翌日から起算)の保存義務があります。

 

次に、①輸出許可貨物の契約書、②仕入書、③包装明細書、④価格表、⑤製造者又は売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類、⑥その他税関長に対して輸出の許可に関する申告の内容を明らかにすることができる書類については、5年間(輸出許可の日の翌日から起算)の保存義務があります。

 

また、電子取引(いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メール等により取引情報を授受する取引)を行った場合における当該電子取引の取引情報(貨物の取引に関して授受する契約書、仕入書等に通常記載される事項)については、5年間(輸出許可の日の翌日から起算)の保存義務があります。

 

2 帳簿書類の保存は輸出事業者の義務ですので注意が必要です

輸出事業は、貨物が無事に相手国に届くかどうか、ということに特に注意が傾きがちであり、そのような日々の業務に忙殺されてしまい、それ以外の形式的な部分等はおろそかにされがちです。

しかしながら、帳簿書類の保存は輸出事業者の義務ですので、違反した場合には最悪の場合ペナルティもあり得ますので十分注意する必要があります。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、帳簿書類の保存方法や日々の輸出業務に関して少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

輸入事業者の帳簿書類の保存義務

2023-09-12

輸入事業者の方であれば、輸入許可書やインボイスなどをある程度の期間保存しておかなければならない、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

もちろん、法令の規定に沿って適切に対応している事業者の方も多くいらっしゃるものと思いますが、日々の業務に忙殺されてしまい、適切な対応をすることができていない事業者の方も相当程度いらっしゃるものと思います。

本日は、輸入事業者の方の帳簿書類の保存義務に関してご紹介いたします。

 

1 輸入事業者の帳簿書類の保存義務について

輸入事業者が保存すべき帳簿書類については、具体的には以下のとおりです。

 

まず、品名、数量、価格、仕出人の氏名(名称)、輸入許可年月日、許可書の番号が記載(必要事項が網羅されている既存帳簿、仕入書等に必要項目を追記したものでも可)された帳簿については、保存期間は7年間(輸入許可の日の翌日から起算)とされています。

 

次に、①輸入許可貨物の契約書、②仕入書、③運賃明細書、④保険料明細書、⑤包装明細書、⑥価格表、⑦製造者又は売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類、⑧その他税関長に対して輸入の許可に関する申告の内容を明らかにすることができる書類については、保存期間は5年間(輸入許可の日の翌日から起算)とされています。

 

そして、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存については、電子取引(いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メール等により取引情報を授受する取引)を行った場合における当該電子取引の取引情報(貨物の取引に関して授受する契約書、仕入書等に通常記載される事項)について、保存期間は5年間(輸入許可の日の翌日から起算)とされています。

 

2 帳簿書類の保存は輸入事業者の義務ですので注意が必要です

輸入事業は、貨物が無事に日本に届くかどうか、また、届いたものが問題ない物かどうかということに特に注意が傾きがちであり、そのような日々の業務に忙殺されてしまい、それ以外の形式的な部分等はおろそかにされがちです。

しかしながら、帳簿書類の保存は輸入事業者の義務ですので、違反した場合には最悪の場合ペナルティもあり得ますので十分注意する必要があります。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、帳簿書類の保存方法や日々の輸入業務に関して少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

キャリアメディアの輸入について

2023-09-05

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法や基本通達において規定された内容を適切に把握して正確に輸入申告価格を算定することが重要です。

本日は、ソフトウェアを記録したキャリアメディアを輸入する場合の考え方をご紹介いたします。

 

1 キャリアメディアの輸入について

例えば、何らかのソフトウェアを記録したDVDを輸入する場合を想定してみてください。

この場合、輸入申告価格はどのように考えるべきでしょうか。

 

この点を検討する上において、重要な規定が関税定率法の基本通達で定められています。

具体的には、関税定率法第4条第1項本文において、輸入貨物の課税標準となる価格は、当該輸入貨物に係る輸入取引がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格とすると規定されています。

また、関税定率法基本通達4-1(1)において、「輸入取引」とは、本邦に拠点を有する者が買手として貨物を本邦に到着させることを目的として売手との間で行った売買であって、現実に当該貨物が本邦に到着することとなったものをいうと規定されています。

そして、同通達4-5(1)イにおいて、データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアについて規定されており、その中で「ソフトウェア」とはデータ処理機器の運用に関係する計算機プログラム、手順、規則またはデータ処理機器に使用されるデータをいい、サウンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まないとされています。

 

したがって、キャリアメディアに記録されたソフトウェアが、当該通達上のソフトウェアに該当するかどうかを慎重に判断する必要があります。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。

このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。

また、ソフトウェアを記録したキャリアメディアの輸入に関しては誤解も多いので十分注意する必要があります。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

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