外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。
また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。
本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。
このページの目次
1 事例
日本の大学のA教授は、外国ユーザーリストに掲載されている海外の大学から輸出令別表第1の16の項に該当する機器の提供依頼を受けた。用途を海外の大学側に確認したところ、曖昧な回答に終始された。A教授としては、海外の大学側は民生用途に使用するものと考えてはいるが、海外の大学側の回答内容を踏まえて、どのように対応すべきかを大学側に照会した。
2 正しい対応
海外の大学側が用途確認を事実上拒んでおりますので、需要者要件に関する明らかガイドラインに該当します。
そのため、大量破壊兵器キャッチオール規制の需要者要件に該当し、輸出許可を取得する必要があります。
A教授の主観的な考えはさておき、明らかガイドラインを踏まえて輸出許可の取得の有無は検討する必要がある点は改めて注意が必要です。
3 外為法の規制には十分ご注意ください
貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。
日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。
日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。
また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。
知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。