書籍の海外への輸出

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

日本国籍を有し日本の居住者に該当する研究者Aは、アメリカ合衆国在住の研究者仲間の求めに応じて、15年前に大手出版社から出版された専門書Xを日本の書店で購入し、研究者仲間に郵送しようと考えている。専門書Xにはリスト規制該当技術の説明がなされているが、このような書籍を海外に輸出する場合には、事前に経済産業大臣の許可が必要となるかどうか。

 

2 正しい対応

リスト規制該当技術が説明されている書籍である場合には、海外への技術提供に当たっては原則として事前の許可取得が必要となります。しかしながら、既に出版されて公知の技術である場合には、貿易外省令第9条第2項第九号イの「書籍」に該当しますので「公知の技術を提供する取引」に該当し、許可取得は不要となります。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。どのような物が気を付けるべきかという点については、なかなか一概にはいえないところではありますので、初めのうちは網羅的に注意しておいた方が安全です。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

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