発信者情報開示に関する新制度

発信者情報開示請求に関して、従来の法律が改正され、新たな制度が創設されました。

この件は、テレビのニュース番組等でも特集されておりますので、なんとなく聞いたことがあるという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

従来の制度を変更し、被害者救済をより確実に行うことができるようにすることが制度変更の趣旨となります。

本日は、どのような変更があったのか、その概要をご紹介いたします。

1 従来の発信者情報開示請求手続の基本的な流れ

従来、例えば、匿名掲示板上において誹謗中傷などを行った投稿者を特定するためには、大きく2段階の手続を経る必要がありました。

具体的には、1段階目として、コンテンツプロバイダに対してIPアドレスの開示を求める仮処分手続、2段階目として、アクセスプロバイダに対して投稿者の氏名住所等の情報の開示を求める裁判手続、を順に行う必要がありました。

このように、2段階の裁判手続を順に行う必要があったことから、最終的な投稿者の特定までに半年以上の時間が掛かることが通常であり、1年以上かかる場合もよくあるという状況でした。

また、アクセスプロバイダの通信ログの保存期間の問題もあり、時間との戦いという側面も強くあり、被害者救済の観点からは非常に多くの問題があるという状況でした。

2 新制度の下での発信者情報開示命令事件の基本的な流れ

新制度の下でも、概念として2段階の手続が必要となることに変わりはないのですが、実際には1つの裁判手続で統一的に進めることができるようになりました。

その結果、手続上は、従来よりも数か月程度早く投稿者の特定まで至ることができるようになったと考えられております。

開示命令の申立、提供命令の申立、消去禁止命令の申立等の新たな手続が新設された結果といえます。

これらの手続の詳細については、後日改めてご紹介いたします。

3 被害者、加害者いずれの立場を踏まえても、早期に弁護士にご相談いただくことが重要です

上記のとおり、発信者情報開示に関する新たな手続は、被害者救済の観点からは大きな前進といえますが、だからといって悠長に構えていることはできません。

これまでよりも若干時間的に余裕ができたとはいえ、アクセスプロバイダの通信ログが残っている間に消去禁止命令を実施する必要があります。

そのため、インターネット上のトラブルにおいて被害者の立場の方は、可及的速やかに弁護士までご相談いただき、手続をスタートさせていただくことが必要です。

また、加害者の立場の方にとっても、投稿後速やかに被害者側から慰謝料請求等がなされる可能性がありますので、自身がトラブルの加害者となってしまった場合には、その後の手続を踏まえてできるだけ速やかに対応を検討することが必要です。

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