食用塩の製造方法の虚偽記載について

1 食用塩の製造方法の虚偽記載について

食用塩の製造方法に虚偽記載があったケースについて、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成23年6月14日付措置命令)。

事案の概要としては、食用塩を販売していた事業者が、食用塩の商品ラベルや自社の商品販売用のウェブサイト上に、「最初から最後まで塩田で天日の力を使い、結晶させた完全天日塩です。」、「※本品は凝固防止剤や添加物を一切使用しておりません。」等の広告表示を行っていました。

しかしながら、実際には、対象商品に用いられていた食用塩の製造方法としては、天日蒸発 による海塩を溶解して洗浄した後、釜で乾燥させたものであり、天日塩とはいえないものであった他、凝固防止剤が使用されているものであることが判明しました。

このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

商品をより魅力的なものとして消費者に訴求するために試行錯誤をすることはよくありますが、その工夫が行き過ぎると、一般消費者に意図的に誤解を生じさせるものとして違法なものとなります。

本ケースは、意図的な虚偽記載であり、その虚偽の程度としても非常に悪質であるとすらいえるものです。

食用塩の製造方法や添加物の使用の有無は、一般消費者が当該商品を購入するかどうかに大きな影響を与えるものですので、本ケースが優良誤認表示として違法な広告表示であることに異論はないでしょう。

なお、仮に業界の慣行としてこのような表示がなされていたとしても、いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されませんので注意が必要です。

2 食品の広告表示に関しては、特に正確な表示を心がけてください

最近のインターネットやSNSの利用状況を踏まえますと、商品やサービスに関する広告表示が景品表示法等の法令違反であった等と指摘された場合、その情報は瞬く間にSNS等で拡散してしまいます。

特に食品の場合、レピュテーションの影響は非常に大きく、当該商品やサービスの販売などに直接的な影響が発生することはもちろん、その他の食品関連の商品や、ひいては会社全体の資質などに関しても悪い評判が広まってしまいます。

しかも、その影響は長期的に尾を引いてしまうケースが多く、レピュテーションには最大限の注意を払うことが必要です。

このようなリスクを避け、円滑なビジネスの運営を維持することが重要であり、広告表示については正確な表示を心がけるとともに、第三者の視点を踏まえるという意味でも、日常的な業務の一つとしてリーガルチェックを実施していただくことをお勧めいたします。

リーガルチェックの体制を整備することが出来れば、あとは日常的にしっかりとした確認を行うことが可能となりますので、まずはしっかりとした確認体制を構築することが重要です。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

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