そばの原材料の虚偽記載について

1 そばの原材料の虚偽記載について

そばの原材料に虚偽記載があったケースについて、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成23年9月9日付措置命令)。

事案の概要としては、そばを販売していた事業者が、そばの商品ラベルや包装紙上に、「深山に自生する山芋は粘り強くて器量良し」等の広告表示を行っていました。

しかしながら、実際には、対象商品に使用されている自然薯の粉末は、極めて少量(配合割合 約 0.019%)であり、かつ、当該粉末は、自然に自生する自然薯を原材料とするものではなかったことが判明しました。

このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

商品をより魅力的なものとして消費者に訴求するために試行錯誤をすることはよくありますが、その工夫が行き過ぎると、一般消費者に意図的に誤解を生じさせるものとして違法なものとなります。

本ケースは、工夫が行き過ぎたという程度のものではなく、意図的な虚偽記載であり、その虚偽の程度としても、消費者心理を利用した非常に悪質なもであるとすらいえるものです。

食料品の原材料は、一般消費者が当該商品を購入するかどうかに大きな影響を与えるものですので、本ケースが優良誤認表示として違法な広告表示であることに異論はないでしょう。

なお、仮に業界の慣行としてこのような表示がなされていた、または業界の人間であれば誤解はしなかった等の事情があったとしても、いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されませんので注意が必要です。

2 食品の広告表示に関しては、正確な表示こそが重要です

最近のインターネットやSNSの利用状況を踏まえますと、商品やサービスに関する広告表示が景品表示法等の法令違反であった等と指摘された場合、その情報は瞬く間にSNS等で拡散してしまいます。

特に食品の場合、当然のことではありますが、一般消費者は自身の体内に摂取するものですので、一般消費者に対してレピュテーションの影響は非常に大きく、当該商品やサービスの販売などに直接的な影響が発生することはもちろん、その他の食品関連の商品や、ひいては会社全体の資質などに関しても悪い評判が広まってしまいます。

しかも、その影響は長期的に尾を引いてしまうケースが多く、レピュテーションには最大限の注意を払うことが必要です。

このようなリスクを避け、円滑なビジネスの運営を維持することが重要であり、広告表示については正確な表示を心がけるとともに、第三者の視点を踏まえるという意味でも、日常的な業務の一つとしてリーガルチェックを実施していただくことをお勧めいたします。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

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