治療の効果に関する広告表示の虚偽記載について

1 治療の効果に関する広告表示の虚偽記載について

治療の効果に関する広告表示に虚偽記載があったケースについて、措置命令の対応がとられた事案をご紹介いたします(平成26年7月4日付措置命令)。

事案の概要としては、事業者が、「150もの慢性疾患を治療する治療法です」、「そしてこの治療は対症治療ではなく、原因除去による治療であるため、的確な治療法がなくて長年困られていた方にとっては 特効的作用に驚かれます」等の広告表示をウェブサイト上に行っていました。

このような記載がある場合、一般消費者としては、表示されるとおりの治療の効果がある、すなわち、顎関節症、睡眠時無呼吸症候群、腰痛、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛等の特定の 疾患又は症状が治癒又は改善する効果があるものと認識するところです。

しかしながら、実際には、当該事業者は、当該効果の裏付けとなる合理的な資料の提出をすることが出来ませんでした。

その結果、このような広告表示について、景品表示法が禁止する優良誤認表示に該当するとして措置命令が取られました。

本ケースでは、治療の効果について合理的な裏付けがないということに関して一般消費者が正確な認識を有していた場合には、一般消費者の消費者行動は異なるものとなった可能性は十分と考えられるところであり、本ケースが優良誤認表示として違法な広告表示であったことに異論はないでしょう。

なお、いわゆる「業界の慣行」は、優良誤認表示に該当するかどうかの判断においては考慮されない点には十分注意することを心がける必要があります。

「この業界では、常識だ」等と主張したとしても、それは業界自体に問題があるというだけであり、自社の広告表示が適切であったことにはなりません。

2 商品の広告表示の正確性には十分な注意が必要です

インターネットやSNSは、良い評判が広まれば、企業の売上を大きく伸ばすことに結びつきますが、その反対も同様であり、一度悪い評判がインターネット上で広まってしまうと、挽回が不可能になってしまう場合も珍しいことではありません。

特に治療の効果という人の健康に関する問題について、意図的又は意図的と認識されるような虚偽記載の場合には、悪い評判は長く続いてしまう傾向があります。

円滑なビジネス運営を行うためには、企業への信頼を維持するために広告表示を適切に行う点に日常的に注意を払うとともに、第三者の視点を加味する意味でも広告表示に対するリーガルチェックを適切に実施していただくことを強くお勧めいたします。

弊事務所は、広告法務やインターネットトラブル等を含む企業法務を幅広く取り扱っておりますので、広告表示に関する定期的なリーガルチェックをはじめ、お力になれること等ございましたら、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。

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