同種貨物の交換のための再輸出

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

日本法人Aは、自社で製造した機械Xについて、タイへの輸出許可(外為法48条1項)を取得し、タイ法人Bに対して輸出した。輸出後半年後に機械Xが故障したため、修理をするため日本にいったん戻したが、修理が不可能であったため機械Aと同じ機種、同じ性能の物を交換品としてBに対して輸出しようと考えている、この場合改めて経済産業大臣の輸出許可を取得する必要があるかどうか。

 

2 正しい対応

上記の事例では、無償告示第一号1に規定する修理であるため、改めての輸出許可は不要です(輸出令第4条第1項第二号ホ、運用通達4-1-2(5)(イ)参照)。

他方で、機種や性能などが少しでも異なる物である場合には、代替品であったとしても輸出許可を再度取得する必要がある点には注意が必要です。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

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