ディスカッションとキャッチオール規制

外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。

また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。

本日は取扱いを間違いやすい(勘違いしやすい)事例をご紹介いたします。

 

1 事例

日本の大学のA教授は、海外の学会で様々な話題についてディスカッションする必要性があるところ、一対一のやり取りではキャッチオール規制には該当しないというようなうろ覚えの知識があったことから、大学側にどのように場合にキャッチオール規制に該当しないと考えられるのかを照会した。

 

2 正しい対応

貿易外省令第9条第2項第七号柱書においては、「令別表の16の項に掲げる技術を提供することを目的とする取引であって、当該技術を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体の提供若しくは電気通信による当該技術を内容とする情報の送信を伴わないもの」については、役務取引許可が不要であると規定されております。

そのため、具体的には、対面での口頭でのやり取りについてはキャッチオール規制の適用対象外となりますが、電子メールやチャットのやり取りでの技術提供についてはキャッチオール規制の適用対象となります。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。

また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

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